倉下忠憲さんの〈びっくら本〉企画に乗って、2018年に読んで面白かった本を10冊挙げてみる #mybooks2018

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鷹野の本棚

年の瀬です。今年も、2018年に読んで面白かった本を10冊挙げてみます。例によって元ネタは、倉下忠憲さんの〈びっくら本〉企画です。

過去記事はこちら。

あ、2017年の写真が2016年の使い回しだ(汗)

さて、昨年に引き続き、読書履歴を自動で記録してくれる BOOK☆WALKER の「読書ノート」からデータを引っ張ってみました。

1月の読書:読んだ量 18468ページ、読了した本 77冊、読んだ時間 2777分間

2月の読書:読んだ量 10255ページ、読了した本 74冊、読んだ時間 3297分間

3月の読書:読んだ量 27757ページ、読了した本 124冊、読んだ時間 5471分間

4月の読書:読んだ量 15110ページ、読了した本 58冊、読んだ時間 2738分間

5月の読書:読んだ量 22408ページ、読了した本 108冊、読んだ時間 2424分間

6月の読書:読んだ量 10827ページ、読了した本 52冊、読んだ時間 1121分間

7月の読書:読んだ量 11729ページ、読了した本 53冊、読んだ時間 1475分間

8月の読書:読んだ量 22304ページ、読了した本 87冊、読んだ時間 5200分間

9月の読書:読んだ量 26923ページ、読了した本 121冊、読んだ時間 4284分間

10月の読書:読んだ量 10556ページ、読了した本 40冊、読んだ時間 4070分間

11月の読書:読んだ量 12828ページ、読了した本 59冊、読んだ時間 2607分間

12月の読書:読んだ量 12399ページ、読了した本 76冊、読んだ時間 2030分間(※12/27時点)

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2018年の読書:読んだ量 201564ページ、読んだ本 929冊、読んだ時間 37494分間(≒625時間≒26日間)

昨年の3分の2くらいになっているようです。あれあれ。まあ、これは BOOK☆WALKER だけの数字で、これ以外に楽天Kobo や eBookJapan でも読んでいるし、もちろん紙本も読んでいるわけなのですが。

ちなみに昨年の記事では、アプリの「一覧」から「読んだ順」の年間合計を見て「どうやら昨年の3倍くらい読んでいたようです」と書いたのですが、アプリのこの数字、同じ本を読み返すと過去の数字が減っていくようで、やっちまった感。訂正入れておきました。アプリの「一覧」はユニークで表示されるわけですから、考えてみれば当たり前の話です。素直に「読書ノート」をチェックすべきでした。とほほ。

そんな今年読んだ中から選んだ10冊(もしくはシリーズ)を紹介します。以下、タイトルと書影はぼくが購入した書店のアフィリエイトになっています。

ビジネス書

ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト

2013年刊行。電子化されていないため、珍しく紙で読みました。ビル・ゲイツとともに Microsoft を創業したポール・アレンの自伝です。Microsoft を退職するまでの前半と、退職してからの投資活動アレコレが語られている後半で、だいぶ印象が変わります。個人的には、前半のほうが面白かったです。10月に訃報が流れ、驚きました。享年65才。まだ若いのに。R.I.P.

読者ハ読ムナ(笑) 〜いかにして藤田和日郎の新人アシスタントが漫画家になったか〜【電子書籍】[ 藤田和日郎 ]

マンガ家・藤田和日郎氏と、初代担当編集者・武者正昭氏が交互に、架空の新人マンガ家へ創作術や心構えなどを伝授していくという体裁の1冊。架空の新人とはいえ、実際に藤田氏のもとでアシスタントをしてから独立・デビューしたマンガ家は何人もいることから、非常に説得力のある内容になっています。「編集者との付き合い方」という観点が面白い。これを読んだ直後くらいに、武者氏が小学館から comico へ電撃移籍して、驚愕した記憶があります。

ベストセラーはもういらないニューヨーク生まれ 返本ゼロの出版社【電子書籍】[ 秦隆司 ]

出版社から紙版をご恵贈いただきました。ありがとうございます。電子版は自分で買いました。アメリカの出版社もベストセラー頼みのギャンブル経営で返本の山に悩まされている中、返本ゼロ・読者への直接販売を目指し年商1億円超の出版社へ成長させた人の話。1~5章は主にアメリカ出版界の歴史の話なので、タイトルに沿った要点だけを掴むなら第6章から読むのが吉です。

ハードカバーを最初に出して後から電子化・文庫化する現状のモデルではなく、比較的ローコストで発行できる電子版・POD版を先に出し売れ行き次第で伝統的出版に切り替えるというモデルは、ぼくが思い描いていた今後の出版像と合致します。「実践者がいた!」というのが素直な感想。ハードカバーは自前で出さず、他社へサブライセンス(印刷製本流通コストは相手持ち=つまり自社はリスクを負わない)して、収益は山分けってのが賢い。日本でも出版権はサブライセンス可能(以前は法律で禁止されていたが、いまは再許諾可能に・ただし複製権者等が許諾した場合に限る)なので、そのまま応用できそうです。

小説

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。1 – ライトノベル(ラノベ) CHIROLU/トリュフ(HJ NOVELS):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

拾ってきた魔族の娘を愛でる冒険者の話。基本は「ラティナ可愛い」の馬鹿親っぷりを楽しむ作品です。ただ、異種族交流ですからもちろん一筋縄ではいきません。あちこちに伏線が張られていますが、ちゃんと回収されててお見事。やはり「可愛い」は世界を平和にするのです。結果的に。2巻以降、急に絵柄が変わったと思ったら、イラストレーターが変わっていてびっくり。なにがあった。コミカライズ版は「ぶくまる」でレビューしました。

ゴブリンスレイヤー – ライトノベル(ラノベ) 蝸牛くも/神奈月昇(GA文庫):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

近年まれに見る、ストイックで無口な主人公。口を開いたかと思うと「ゴブリン」「ゴブリン」ばかり。会話も「そうか?」「そうか」ばかり。ゴブリンを倒すことしか頭にない、すごーく質実剛健な感じの軸があり、周囲が物語を動かしている感じです。驚いたことに、登場人物に固有名詞は存在しません。もちろん、主人公が通称「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれているように、通称名はあります。しかしそれも、「牛飼娘」「受付嬢」「女神官」「勇者」など、一般名詞ばかり。それでも、少なくともぼくは混乱せず、ちゃんと読み進めることができました。なにげにすごい。感心します。コミカライズ版やアニメも楽しませてもらってます。

マンガ

映画大好きポンポさん2(最新刊) – マンガ(漫画) 杉谷 庄吾【人間プラモ】(MFC ジーンピクシブシリーズ):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

昨年の〈びっくら本〉企画で1巻を挙げ損ねていて、まさかの2巻が出たことにより選出。映画を観るのも撮るのも大好きなクリエイターたちのお話。熱い! というか、クリエイターのごうのようなものを感じます。演出面では、1巻も2巻も、クライマックスの「見開きドン!」にやられます。うまいなあ。「ぶくまる」にレビューを寄稿しました。

乙女文藝ハッカソン(1) – マンガ(漫画) 山田しいた(コミックDAYS):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

作者から紙版をご恵贈いただきました。ありがとうございます。電子版は自分で買ってます。出版創作イベント「NovelJam」を参考にして描かれた作品。とはいえ、チームで本を作って販売までやる「NovelJam」に対し、ハリウッド式のチームライティング(集団執筆)競技ということになっている「小説ハッカソン」では、少しルールが違います。が、「あー、こういうやり方もアリだよな」と感心しました。審査・講評する人も大変なのは、どちらも同じですが。

こちらの作品も「ぶくまる」にレビューを寄稿しました。脇道にそれちゃうのでレビューでは削ったのですが、冷蔵庫の中身がARアプリで管理されているとか、VRゴーグルでそうめんがラーメン味になる体験とか、創作とはあまり関係ないガジェット系のアレコレもなかなか楽しいです。好きなんだろうなあ。

転生したらスライムだった件(1) – マンガ(漫画) 川上泰樹/伏瀬/みっつばー(月刊少年シリウス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

いわゆる「なろう系」の異世界転生ものですが、「スライムに転生」という初期設定が面白い。そもそもスライムって、最弱モンスター扱いされることが多いですが、古典的なファンタジー世界では結構危険な存在なのですよね。「ドルアーガの塔」や「ドラゴンクエスト」などのゲームが元凶、ですかねぇ……。本作の主人公は転生時に反則的なスキルを習得して、あっというまに強くなってしまうわけですが。

転生前の知識が活きるのは異世界転生ものの定番ですが、ゼネコン系 → 街づくりという方面は想像できなかった。作者がもともと土木系の業界出身で、「月刊土木技術」にインタビューが載っているそうです。ちょっと興味ある。「ぶくまる」にもレビューを寄稿しました。原作小説版も、2019年にはたぶん読むことになりそうです。

別式(1) – マンガ(漫画) TAGRO(モーニング・ツー):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

作者のTAGRO氏は、ちょっと性癖のおかしい人々を描いた『変ゼミ』の印象が強く、可愛い絵柄とちょっと毒のある女剣士もの……くらいの軽い気持ちで読み始めたのですが、どんどんディープな展開に。そういえば、1巻冒頭でこういう展開になるのはしっかり明かされているのに、しばらく読み進めるまでそれをすっかり忘れていました。連載を打ち切られそうになっているようですが、最後まで描かせてあげて欲しい。彼女たちを最後まで見届けてやりたいです。

BEASTARS 1 – マンガ(漫画) 板垣巴留(少年チャンピオン・コミックス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

二足歩行し人語をしゃべる動物たちという、児童向けの作品ではよくある世界。しかし、肉食獣と草食獣、つまり、食う側と食われる側が同じ場にいたら、いくら法律で抑え込んでいようと、そりゃこうなるよねという殺伐さ。そして、本能に抗おうと葛藤する主人公。野性味をかなり残した「ケモナー」と表現すればいいのかな。「ぶくまる」にもレビューを寄稿しました。

「10冊」からあぶれた作品

「10冊」という縛りなので、選外となった作品です。どれも捨てがたい。

ソードアート・オンライン1 アインクラッド – ライトノベル(ラノベ) 川原礫/abec(電撃文庫):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

言わずと知れた「SAO」シリーズ原作。もちろんアニメは観ているのですが、小説は長いシリーズということもあり、手を付けるのをだいぶ躊躇していました。読み始めたら止まらないのがわかっていたので。アリシゼーション編がアニメ化されることを知り、これはそろそろ読むべきだと手を付け、やはり止まらなくなった……本稿執筆時点で、アリシゼーション編のラストまで読了。続刊とプログレッシブは楽しみにとっておいてあります。フルダイブ型のバーチャルMMORPGは、いつ実現されるだろうか?

はたらく魔王さま! – ライトノベル(ラノベ) 和ヶ原聡司/029(電撃文庫):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

こちらもアニメは観ていて、コミックも読んでいたけど、原作小説は読んでいなかったパターン。アニメもコミックも、原作にものすごく忠実だというのがわかりました。魔王や勇者が現実世界で力を失い、生きていくためには「はたらく」必要があるという、ある意味「勤労」が主テーマと言っていい作品です。15巻で世界設定のパラダイムシフトが起きるのですが、ここまで大きな転換があってもまったく矛盾を感じなかったあたりに感嘆。

夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~(1) – マンガ(漫画) ヤスダスズヒト(月刊少年シリウス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

Google+ のストリームでたまたま見かけた、差し出された手に顔をスリスリする猫みたいなしぐさの猫耳青髪少女のアニメーションGIFに胸キュンして、作品を調べ、原作コミックを見つけ出して最新刊まで一気買い&一気読みするという、我ながら珍しい買い方・読み方をしました。作者が、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のイラストレーター・ヤスダスズヒト氏で、マンガも描くの知らなかったからびっくり。現代風なジャパニーズ・ファンタジー(妖怪)話です。猫耳ではなくアンテナだったという衝撃の事実!

ゆるキャン△ 1巻 – マンガ(漫画) あfろ(まんがタイムKRコミックス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

ゆるいキャンプを楽しむ女の子たちのキャッキャウフフを愛でる作品。冬場のキャンプなので、それほどゆるくないはずなのですけど。キャンプ飯がうまそうなのと、背景の構図がすごい。「RICOH THETA」みたいな360度カメラで取材してるのかな? ちなみにタイトル末尾の△はテントのピクトグラムで、発音しないそうです。「ゆるきゃんさんかっけー」ではない。

憂国のラスプーチン(1) – マンガ(漫画) 佐藤優/伊藤潤二/長崎尚志(ビッグコミックス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

講談社「現代ビジネス」に掲載された、元外交官で作家の佐藤優氏による“財務省・佐川前理財局長が、これからたどる「苦難の道」”という記事が、霞が関と政治の裏側をえぐり出していて「これはすごい」とFacebookに投稿したら、この作品を勧められました。佐藤氏が外交官時代、いわゆる「鈴木宗男事件」で逮捕され、512日間勾留、検察の取り調べを受けた経験を、当事者の視点から描いた作品です。これがどこまでが本当なのかはわかりませんが、粉飾決算など、相対的に「あっちのが酷くね?」という事例のアレコレを見聞きしていると、検察に対する「国策捜査」という批判は、それなりに妥当性があるように思えてしまうのです。

映像研には手を出すな!(1) – マンガ(漫画) 大童澄瞳(ビッグコミックス):電子書籍試し読み無料 – BOOK☆WALKER –

ちょっと不思議なアニメ制作サークルの話。なぜか水上に建てられ、度重なる増改築でダンジョンみたいに複雑怪奇な状態になった、まるで九龍城砦みたいな校舎を持つ公立高校が舞台です。現実世界と、彼女たちが描いたアニメ世界の境界が、恐らく意図的に、曖昧な状態に描かれていて、なんだか不思議な感覚になります。俯瞰の構図だと吹き出し内のセリフが斜めになっているのが新しい。

前述の『映画大好きポンポさん』や『乙女文藝ハッカソン』、少し前の作品では、今井哲也氏『ハックス!』などもそうですが、創作に没頭する様子や、脳内世界が具体的な表現に変わっていく「プロセス」というのは、できあがった作品そのものに負けず劣らす、面白い。

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2018年も、もうすぐ終わり。これまでぼくは Google+ のコレクション機能で読んだ本の履歴を残していたのですが、2019年4月に終了してしまうことが確定。代替案をいろいろ検討したのですが、結局、最近はほとんど使っていなかったTumblr支店を読書履歴として活用することに。BOOK☆WALKERアプリから連携投稿しやすいんだこれ。

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