2017年2月13日月曜日

「書籍電子化&全文検索が許諾不要に(それってGoogle Books?)」「Reader端末からのコンテンツ購入が終了」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年2月6日~12日)

Nexus 7のBOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「書籍電子化&全文検索が許諾不要に(それってGoogle Books?)」「Reader端末からのコンテンツ購入が終了」などが話題になっていました。



出版物貸与権管理センター、「ライトノベル」の貸与実験へ 新文化(2017年2月6日)


 なんでいまさら、あらためて実験をする必要があるの? と疑問に思った記事。使用料規程も、ずいぶん前から一般社団法人出版物貸与権管理センターで公開されてますし。ちょっと慎重すぎるのでは。なお、同センターが2016年に徴収して出版社へ分配した使用料は18億1千万円です。


「インターネット白書2016」記事無料公開、「インターネット白書ARCHIVES」に追加 INTERNET Watch(2017年2月7日 )


 2014年から始まった、インターネット白書ARCHIVES。今年も最新版の発売とほぼ同時に、1年前の版が無料公開されました。すばらしい。


アマゾン従わねば品切れ? 出版界、読み放題で不満噴出 朝日新聞デジタル(2017年2月7日)


アマゾンの書籍事業本部長、種茂正彦(47)はわざと「品切れ」にしているわけではない、とする。ただ、「協力いただく出版社の在庫を厚く持ち、そうでないところは持つ在庫に限りがある。お客さんが来た時、在庫が切れているという状態になることはありえる」と、扱いに差を付けていること自体は認める。

まあ、ロイヤリティの高い顧客を優遇するのは、ふつうの商習慣ではないかと思うのですが。取次だって、大手出版社を優遇してますよね。


アマゾン読み放題「想定外なことも…」 日本幹部に聞く 朝日新聞デジタル(2017年2月7日)


 Kindleコンテンツ事業本部長 友田雄介氏のインタビュー記事。とはいえ、とくに新しい情報はありません。具体的な数字が出ていて気になったのは、以下の点くらい。

現在、紙だと年間流通しているのが70万~80万冊。そのうち電子化されているのは半分あるかないかだ。

 これ、アマゾンでの年間流通でしょうか? 「冊」だと平均1000円で8億円にしかならないので、たぶんこれは取り扱いタイトル数のことだと思われます。1年に出る新刊が約8万点に対し、70~80万点。つまり流通タイトルの9割は1年以上経った既刊なのですね。とはいえ、ロングテールでパレートの法則に従っているとすると、恐らくそれでも新刊売上が8割を占めているのだと思いますが。


ソニーの電子書籍端末Readerからのコンテンツ購入が5月7日で終了。購入はスマホ/PCで AV Watch(2017年2月8日)


 Reader端末専用ストアが終了するだけで、Reader端末で読めなくなるわけではありません。恐らく、Reader端末専用ストアの利用頻度が極めて低かったのだと思われます。文字が入力しづらい端末で、購入するたびにパスワード入力しなきゃいけないのは辛いですよ……。あと、読み終わったタイミングで続刊を勧めるみたいなレコメンドもなかったし。


電子書籍、「黒船」に対抗 KADOKAWAの挑戦 朝日新聞デジタル(2017年2月9日)


 KADOKAWAがこれまで電書にどういう施策を行ってきたかがまとまっています。新しい情報はとくになし。早い時期から直販に力を入れたのは、ほんとうに慧眼だったと思います。


KADOKAWA:「岐阜信長本」作り直し 表記ミス多く 毎日新聞(2017年2月9日)


 出版に関わっている人間としては、我がことのように胃が痛くなる事案。校正を担当した会社から「指摘が修正されないまま出版された」というリリースが出ています。つまり、せっかくお金かけて校正してもらったのに、反映せず印刷会社へ入稿しちゃったと。ひえええ。


アメリカの壁:トランプ時代ズバリ予言 電子書籍で再発売 毎日新聞(2017年2月9日)


 短編集収録作品を切り出し、短編だけを発売。文藝春秋はこういう動きが素早い。pageのカンファレンスで中の人が登壇していたので話を聞いてきましたが、扱っているのは文字モノだけなのに電書でしっかり儲かるようになってきたそうですよ。やっぱり、ちゃんとやってるところは、ちゃんと儲かるんですよ。


本・雑誌の「年末特別発売日」の効果は!?2016~2017年末年始売上動向 ほんのひきだし(2017年2月10日)


 12月31日の特別発売にどれだけ効果があったか? という分析記事。ちゃんと実績が出たことは、アピールしておかないとね。実際私も、お盆や年末に帰省するとき、移動の時間つぶしで雑誌でも読もうかと思ったら既読の古い号しか置いてなかった、という経験をなんどもしているので、この期間の新刊にニーズはあったのだと思います。


復活を遂げる本 ベゾス氏も紙が好きだから 日本経済新聞(2017年2月10日)


 フィナンシャルタイムズの、ちょっと首を傾げてしまった記事。「今では状況が逆転し、アマゾンは書籍を優遇している」「同社の値引きがあまりないため電子書籍は高価になっている」とあるのですが、これは大手出版社がエージェンシーモデルで電子版の価格をつり上げていることに対抗しているだけで、ベゾス氏が紙を好いているかどうかはあまり関係ないような。なお、以前アップルや大手出版社が独占禁止法で刺されたのはカルテル(共謀)行為であり、エージェンシーモデルそのものは違法ではありません。念のため。


グーグルを救った「フェアユース」 日本の著作権法にも導入すべきか 弁護士ドットコム(2017年2月10日)


 フェアユースのあるアメリカと、ずっと個別の制限規定を継ぎ接ぎしてきた日本の著作権制度の違いについてわかりやすいまとめ。ただ、日本における検索エンジンのシェアについて「日本生まれの検索エンジンは2、3%にすぎません」とありますが、もっと少ないはず。詳細はこのあたりを参照。どのみちシェアが極小なのは同じなので、重箱の隅です。


書籍を電子化→全文検索サービス、著作権者の許諾不要に 文化庁、法改正へ 朝日新聞デジタル(2017年2月11日)


 昨年4月に、Google Print 改め Google Book Search 改め Google Books が、10年以上かかった法廷闘争に勝利し「フェアユース」と確定しました。それを追従するかのように、日本でも許諾不要にするようです。いまでも Google Books は許諾している本はふつうに検索できるし、他社でもたとえば「BOOK☆WALKER」には横断検索機能があったりします。ただ、やっぱり一部の限られた本だけなんですよね。許諾不要で検索できるようになると、飛躍的に便利になるはず。はよ!



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