2016年4月20日水曜日

Google Print改めGoogle Book Search改めGoogle Booksが10年以上かかった法廷闘争に勝利しフェアユースと確定したのでこれまでの経緯についてまとめてみた


アメリカの最高裁が、「Google Booksはフェアユースである」という控訴審判決を支持、作家協会(Authors Guild)の訴えを退けました。これまでの経緯についてあらためて振り返ってみます。



最初は出版社から申し込むサービスだった


発端は、Googleが2004年10月に、書籍の本文検索サービス「Google Print(for Publishers)」を開始したことでした。これは当初、出版社から申込み&送付された書籍が対象でした。Amazon の「Search Inside The Book」に対抗した動きと見られていたようです。この時点ではもちろん、何も問題のないサービスでした。



風向きがおかしくなるのが同年12月。Googleは、アメリカやイギリスの大学図書館や公立図書館と提携、蔵書をスキャンし本文検索できるようにする計画を発表します。これが「Google Print(for Libraries)」です。



ここで問題となったのは、図書館にある著作権保護期間が切れていない書籍。検索結果に本文の一部が表示され、そこから出版社に注文してその書籍を購入できる仕組みを、著者・出版社には許諾をとらず、図書館からスキャンした書籍に対して行ったのです。


法廷闘争が始まる


この計画に対し2005年9月、Authors Guild は「大規模な著作権侵害」だとして、集団訴訟を起こします。



翌月、出版業界団体のThe Association of American Publishers(AAP)も、Authors Guildに追随します。



さらに翌月、Google は「Google Print」を「Google Book Search」に名称変更します。



当時の記事を読んでもはっきりしないのですが、「Google Print(for Libraries)」はこの頃から「Google Books Library Project」と呼ばれるようになったようです。


日本では、問題が起きないようにサービス開始


その後Googleは、日本でも「Googleブック検索」のサービスを開始します。東京国際ブックフェアに出展していたのですね。知らなかった。



ほぼ同時に、慶應義塾大学が「Google Books Library Project」に参画します。



このときはしっかり「著作権の保護期間が切れた約12万冊をデジタル化」としており、問題が起きないようにしています。


アメリカでの和解案とクラスアクション


2008年10月にGoogleは、Authors Guild、AAPと和解します。Google は総額1億2500万ドルを支払い Book Rights Registry を設立、著者・出版社に「Google Book Search」から得られた収益を配分する仕組みを構築する、という内容でした。



問題はこの和解案が、集団代表訴訟(クラスアクション)であった点。ベルヌ条約加盟国の著者・出版社はすべて、この和解案の対象となってしまったのです。いきなり当事者!



2009年4月ごろから日本文藝家協会、日本ビジュアル著作権協会、日本ペンクラブなどが次々と、異議申し立てをしたり、和解案から離脱を表明したりします。





アメリカでもAuthors GuildとAAP以外の団体や、著作権局局長まで和解案に反対。司法省からも意見書が出て、結局この和解案は修正されます。これにより日本の著者・出版社は、ほとんどが和解案の対象外となったため、訴訟そのものの行方への関心は急速に薄れていった感があります。





ただ、この事件によって、日本の出版社が持っている「出版権」では、こういう場合に著者に成り代わって差止請求できない、ということが広く認識されるようになったのは間違いないでしょう。その後「出版社にも隣接権を!」という動きが再燃することになるのです。その話は、また別の機会に。

ちなみに Google は2009年6月に、「Google Book Search」を「Google Books」に名称変更します。



名前変えすぎ。


修正和解案が認められず、フェアユースかどうかの争いに


2011年3月、アメリカ連邦地裁はこの修正和解案を認めない判断を下します。原告が、クラスアクションのメンバー全員の利害を代表しているわけではない、といった指摘です。以下の記事に詳しいです。



2011年12月、Authors GuildとGoogleの双方から、クラスアクションの妥当性についての主張が出されます。



2012年6月、連邦地裁で Authors Guild の主張が認められます。



2012年10月、AAP と Google は先に和解します。



ところが2013年7月、クラスアクションが認められた地裁判決が控訴審でひっくり返され、まずこのサービスがフェアユース(公正利用)かどうかを議論しよう、という話になります。



2013年11月、地裁でフェアユースと判定され、 Authors Guild の訴えは棄却されます。



2015年10月、控訴審が地裁判決を支持。



そしてこの2016年4月、最高裁判所は上訴を受理しないと決定。「Google Print」改め「Google Book Search」改め「Google Books」は、ついにフェアユースと確定したのです。



まとめるだけでも大変だった……。

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