「TPPからCPTPPに変わり著作権保護期間の延長は凍結されるも、こんどはEPAが」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年11月6日~12日)

Kobo touch

 先週は「TPPからCPTPPに変わり著作権保護期間の延長は凍結されるも、こんどはEPAが」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年11月6日~12日分です。



亡くなった家族が遺したパソコンやスマホ──まず何をするべきか? 「デジタル遺品」最前線♯3 文春オンライン(2017年11月7日)


 2ページ目に書かれている「家族への引き継ぎが行えると利用規約に明記しているのはeBookJapanくらいです」というのは、少し前に周囲で話題になっていました。実際問題、コンテンツの「販売」をうたっているのに一身専属でいいのか? というのは今後の課題になりそうです。DRMフリーもしくはソーシャルDRMならそういう問題は発生しないないんですけどね。


ドイツ書籍業界の今と未来・本は書店で買う 電子書籍は不人気 売上高はここ10年横ばい そして課題山積 Yahoo!ニュース個人(2017年11月7日)


 「ドイツでは Tolino が Kindle のシェアを上回った」と話題になったのが2015年。しかし、利用者数は2015年をピークに減少傾向とのこと。要因として「プレゼントできない」というのが挙げられてますが、2016年9月から電子書籍にも再販制度が適用されたので値引き販売ができない点が大きいのではないかな……。Rakuten Kobo が Tolino を買収すると発表したのが今年の1月。日本に Tolino の成功事例を持ち込むと思っていたのですが、あまり進展が見られないのが個人的には気になるところ。


Kindle Unlimitedとはどう違う? 開始の狙いとは?――Amazon.co.jpの中の人に聞く「Prime Reading」 ダ・ヴィンチニュース(2017年11月7日)


 “Prime Readingは、まだまだ多数を占める「電子書籍をまだ経験したことがない」方を対象としたサービスです” と明言されています。そうだろうなーと予測していた(オープンな場所に書いた記憶があったのですが、どうやらFacebookの友達限定投稿のコメントにしか書いてなかった模様)のですが、だいたい当たってたなというインタビュー。


電子専業出版社が紙出版を始めた理由 (プチ・レトル 大倉 一真) 版元ドットコム(2017年11月8日)


 紙(伝統的出版流通)と電子を併用することを否定するつもりはまったくないし、電子の文字モノ市場がまだまだ小さくいまの10倍くらいあれば電子出版専業で食べていくことも可能だろうとは思っているのですが、現状では厳しいのは確かです。
 ただ、それを前提とした上で言いたいのは、売上が「Kindleストア」に偏っているのは「そういうジャンルだから」なのと「そういう売り方をしているから」ではないかな、と。というのは、マルチストア販売しかやっていないボク個人もNPO法人での販売実績も、「Kindleストア」が「大半」とはまったく言えないので。恐らく、永江さんのブログ経由(Amazonアフィリエイト)で売れた比率が非常に高いのだろうな、というのが容易に想像できてしまうのです。
 あと、これは前から言ってることなんですが、紙の本の延長で考えると「売れない」って話になります。でも、ウェブのコンテンツは広告しか稼ぐ手段がなかったところに、パッケージ化して販売でも稼げるようになった、つまり「稼ぐ手段が1つ増えた」と考えると良いと思うのです。


出版大手 デジタル本格化 読売新聞(2017年11月9日)


 無料配信されている制作ツール「ジャンプPAINT」や、そのベースになっている「メディバンPAINT」、ライバル講談社がピクシブと組んで新アプリを提供するとか、小学館「マンガワン」など出版社系の動きまとめ。新しい情報はないものの、「読売新聞で」こういう話題が記事になったというのが、時代の変化を感じさせていいなあと思います。


カドカワ、第2四半期は営業益35%減 有料会員の減少やniconico改修費用響く 「君の名は。」効果も剥落 アニメ中心に映像・ゲーム事業は好調 Social Game Info(2017年11月9日)


 ちょっとタイトルが変なのですが、「君の名は。」がヒットした前期に比べ、今年はヒットがない、という話。それでも、電書の好調で売上は増加しているというのが、むしろすごい。「ニコニコ」のウェブサービス事業は、プレミアム会員の減少が響いて売上も昨対比で落ちています。リニューアルの内容が11月28日に発表されるようですが、どうなるでしょうね?


青空文庫に生き続ける富田倫生氏の遺志 ~著作権保護期間延長反対に今後も関心を 窓の杜(2017年11月8日)


青空文庫はこうやって運営され、こうやって活用されてます 窓の杜(2017年11月9日)


 10月14日に行われた青空文庫20周年記念イベントのレポート前後編。自分で書いた記事ですが、後述のTPPの話と関連するのでピックアップしておきます。


電子書籍の利用経験 学齢が上がるほど増加 教育新聞(2017年11月10日)


 ベネッセ「電子図書館まなびライブラリー」による調査ですが、母集団は「小中高生をもつ保護者」とのこと。「読んだことがある」のは小学生19.2%に対し、中学生27.3%、高校生33.9%。これ、本人がアクセス可能な端末の保持率に単純比例してませんかね? ちなみにスマートフォンの保持率は、中学生で急増し高校生で100%に近くなります。小学生には、そういう端末持たせない親がまだ多いんじゃないかな、と。


TPP新協定を公表 米離脱で20項目の凍結など明記 NHKニュース(2017年11月11日)


 凍結項目には「著作権保護期間の延長」が含まれており、協定の名称も「TPP」から「CPTPP」に変わるということで、施行が「TPP発行時」となっていた著作権法改正は、結局棚上げとなりました。ふう。ただ、時事通信に「凍結は義務規定ではなく、関連法を既に改正した日本への影響は限定的だ」なんて不穏なことが書いてあるのと、11月2日に公開された「日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート(PDF)」には「著作権保護期間の延長(著作者の死後70年等)」と明記されており、まだまだ予断を許さない模様。


アルファポリス、18年3月通期の営業益予想を2億円→5億円に大幅上方修正 新シリーズ作品や電子書籍好調 ゲームのコスト圧縮も奏功 Social Game Info(2017年11月12日)


 「積極的に対応を進めている電子書籍販売も好調だった」とのこと。前期は『ゲート』関連の返本などで下方修正を余儀なくされたのですが、復調したようですね。



 NPO法人日本独立作家同盟主催イベント「第1回 それでも小説を出したい会議」が11月18日(土)14時から渋谷で開催。S-Fマガジン元編集長・今岡清氏(栗本薫の遺作『グイン・サーガ』の続編プロジェクト監修者)、元エンタメ本の編集者・梶原秀夫氏(『ビートたけしの三国一の幸せ者』など)、現役漫画作家&原作者・北沢未也氏(代表作『D-ASH』など)の3人によるトークイベントです。チケットは Peatix にて!




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