「海賊版リーチサイト“はるか夢の址”運営者逮捕」「ブックオフがアマゾンに出店」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年10月30日~11月5日)

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 先週は「海賊版リーチサイト“はるか夢の址”運営者逮捕」「ブックオフがアマゾンに出店」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年10月30日~11月5日分です。読書週間だからか、出版関係のニュースがやたらと多い週でした。これでもいちおうネタは絞っているつもりなのですが。


プレミアムクラブの終了について 電子書籍ストア - BOOK☆WALKER(2017年10月25日?)


 1週前のニュースですが、見落としていたのでピックアップ。月額500円で1500円分の角川文庫が購入できる「角川文庫プレミアムクラブ」が終了という残念なお知らせです。以前は、角川文庫の読み放題サービスだったのですが、2015年9月からクーポン型のサービスに切り替わっていました。こういう狭いターゲットを対象としたサービスは、まだ難しいということなのでしょう。


浜松市、楽天と電子図書で連携 外国語図書中心に 日本経済新聞(2017年10月26日)


 1週前のニュースですが、見落としていたのでピックアップ。記事中には名前がありませんが「OverDrive Japan」事業の展開です。とはいえ2019年10月末までは無償提供とのことなので、「2年間のお試し」という大盤振る舞いということに。浜松市はブラジル人が非常に多い都市なので、洋書ラインアップが多い「OverDrive」はうってつけの存在でしょう。


ブックオフオンライン、アマゾン「マーケットプレイス」に出店 新文化(2017年10月30日)


 思わず「うお!」と声が出たニュース。ブックオフの筆頭株主はヤフーなので、「ヤフーショッピング」や「ヤフオク!」にも出店しているのですが、まさかアマゾンにも出店するとは。なお、本稿執筆時点ですでに、40万点近くが出品されています。これはマーケットプレイスの既存古書店に大きな打撃でしょうし、「メルカリ」など新興勢力の存在も踏まえると、古書の生態系が大きく変わるかもしれません。


1冊からOK、オンデマンド出版広がる 絶版本も 日本経済新聞(2017年10月30日)


 PODの存在をあまりよく知らない人向けの記事。ちょっと気になったのが、“通常の本は出版社が定価を決める「再販制度」に基づいて書店に流通する。しかし、PODの本は制度の対象外で、書店側が本の売値を決められる。”というくだり。「電子書籍が再販制度の対象外」であるのは間違いないのですが、PODも電子書籍として扱われていることなのでしょうか? 著作権法の「第1号出版権」の範疇には含まれるはずなのですが。


電子書籍リーダー「Kobo」にマンガ向けモデル、年内発売 ストレージを32GBに増強 ITmedia NEWS(2017年10月30日)


 7.8インチ防水の「Kobo Aura ONE」に、内部ストレージを増強したモデルが登場。アマゾンの「マンガモデル」のときも思いましたが、白黒の電子ペーパー端末ではマンガのカラーページが楽しめません。だから「コミックEdition」として売り出されたところで……という思いがあります。電子ペーパー端末は、文字を読むためのものだと私は思うのですけどね。


米図書館で「ソードアート・オンライン」が禁書に…「表現の自由」を守るNPOが懸念 弁護士ドットコム(2017年10月31日)


 SAOが禁書で電撃ビリビリです(っておい)。アメリカのマンガ規制の歴史と現状について、端的にまとまっています。日本でも、公共図書館では『ドラゴンボール』などの人気マンガが所蔵されているケースのほうが珍しいかも(カーリルで調べたら、練馬区にはあるようです)。


検索結果を瞬時に年表にして表示する検索エンジン「TIMEMAP」公開 INTERNET Watch(2017年10月31日)


 国立情報学研究所(NII)の高野明彦研究室およびNPO法人連想出版の「連想検索」を技術基盤とした新サービス。提携メディアの過去記事を横断検索し、年表のような時系列形式で表示をしたり、出現頻度のグラフ化や複数キーワードの比較、内容的に近い記事を連想検索で見つけ出すこともできる、とのことです。そのままSNSで共有可能とか、埋め込み用HTMLを取得できるという至れり尽くせり仕様。



 ブログ貼り付けはこんな↑感じになります。ふつうに検索すると「Kindle」に「キャンドル」や「ミュンヘナーキンドルヴァイスビール」などが混ざってしまいますが、演算子が使えるので「'」か「"」で囲ってやればOKです。


タダ読み誘導サイト運営者ら、著作権法違反容疑で逮捕へ 朝日新聞デジタル(2017年10月31日)


誘導サイト「投稿内容関知してない」 タダ読み助長否定 朝日新聞デジタル(2017年10月31日)


海賊版誘導サイト運営者ら9人逮捕 著作権法違反容疑、大阪府警 日本経済新聞(2017年10月31日)


リーチサイト「はるか夢の址」の運営者ら9名逮捕、ファイルのアップロードについて著作権法違反の疑い INTERNET Watch(2017年10月31日)


 主な報道を複数ピックアップ。早朝の「逮捕へ」の一報から、昼前には逮捕の確報に。「はるか夢の址」の運営者「紅籍会」のメンバーたちがついに逮捕されました。しかし、元大学院生22歳とか幹部が23歳とか、「はるか夢の址」の開設は2008年という以前の報道からすると、中学生時代からやっていたのか? という疑問が。
 なお、初報ではどういう判断で逮捕に踏み切ったのかが、はっきりしませんでした。以前、「DVD Shrink 日本語版」の紹介記事で出版社社員が検挙されたものの、結局不起訴処分に終わるという事件があったように、現行法でハイパーリンクは著作権侵害にならないはずなのです。
 ところが、INTERNET Watchに書かれている一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の発表には、「今回の逮捕は、同サイトで紹介された海賊版ファイルのアップロードについて摘発がなされたもの」とあります。
 その後の報道によると、投稿者をランク付けしてビットコインなどで報酬を提供していたことが判明していたらしく、そりゃハイパーリンクとか関係なく正犯でしょっぴけるだろうなーと納得した次第です。
 ライバル海賊サイトに「DDoS攻撃」を行っていたという報道もあり、5月に「フリーブックス」が潰れたのはここが原因だったのかな? という気も。いやはや。


【重要】電撃文庫CLUBリニューアル および サービス内容一部変更のお知らせ 電撃文庫公式サイト(2017年11月1日)


 ニュースメディア系はどこも記事にしていないっぽいですが、重要な動きだと思うのでピックアップ。電子書籍販売サービスを終了、購入済みの本は「BOOK☆WALKER」に引き継がれます。「MFラノベ☆」終了もそうですし、「ニコニコ書籍」も既に中身は「BOOK☆WALKER」に入れ替わっています。「本棚共有」サービスをやっていたからこそ、同じグループ内で展開している複数の電子書店を、ユーザーに損害を出さない形で1本に集約することが可能だったわけです。


丸善ジュンク堂書店、工藤恭孝社長と岡充孝副社長が辞任(2017年11月1日)


 創業社長が退任。すでに会社概要からは名前が消えており、会長への就任とはいえ、代表権のない限りなく名誉職へ近い状態へ退く形になるものと思われます。お疲れさまでした。たまたま今年の6月に、版元ドットコムの会員集会で工藤恭孝氏が行った特別講演をFacebookで実況したので、貼っておきます。




著作権保護期間など議論 TPP首席交渉官会合 朝日新聞デジタル(2017年11月1日)


 最初のタイトルは“著作権保護期間「70年」など凍結へ TPP交渉で合意”だったので私の周囲は祝賀ムードだったのですが、気がついたら書き換えられていました。なにがあったのか。最近の朝日新聞デジタル、こういうのが多いような気がします。なお同日、「thinkTPPIP」から、交渉状況を公開するようにという緊急アピールがなされました。


出版状況クロニクル114(2017年10月1日~10月31日) 出版・読書メモランダム(2017年11月1日)


 毎月楽しみな、小田光雄氏の出版状況クロニクル。大阪屋栗田の少額取引店向け卸サービス「Foyer(ホワイエ)」についての要約で、正味83%というのを知りました。1000円の本を100冊売っても、粗利は1万7000円。この事業単独で人件費や地代家賃などを捻出するのは困難でしょう。いくら初期費用ゼロとはいえ、しっかりした本業が別にあり、余ったスペースでついでに売るくらいの感覚じゃないと厳しそう。小売業で陳列スペースが余るってことはないと思うので、ターゲットはサービス業かなあ。


文庫とライブラリーの間で マガジン航(2017年11月1日)


 毎月楽しみな、仲俣暁生氏のエディターズノート。今回は文藝春秋松井社長による「公共図書館は文庫本を貸さないで欲しい」という趣旨の発言について。「文庫本」がいまや「換金装置」になっている、という指摘です。私もこの件については、先週のまとめでピックアップした上で、シミルボンにもコラムを寄稿しました。自社のビジネス上の問題を、図書館など外部に責任転嫁しているだけのように思えるのです。


青空文庫のオンデマンド書籍版、約100字の購入者メッセージを入れることが可能に 窓の杜(2017年11月1日)


 インプレスR&Dと三省堂書店の「青空文庫POD」での試み。いとうせいこう氏のパーソナライズ小説『親愛なる』の事例を思い出しました。大量生産ではない、注文1冊ごとに印刷製本するPODならではのサービスと言えるでしょう。


キュレーションメディアと真逆の方針で1年間 WEBメディア運営を続けてみた結果 SPOT(2017年11月1日)


 コピペで記事を量産するキュレーションメディアに対抗し、ちゃんと取材をして「信用できる情報」を発信し続けたメディアの現状。月間100万PV……それは「唯一にして最大の問題点が大赤字であること」になってしまうのも無理はありません。どうすればいいんだろうなあ。


「神保町ブックフェスティバル」で出版社が苦悩する「せどり問題」 ITmedia ビジネスオンライン(2017年11月4日)


 ちょっと趣旨のよくわからない記事。ぶっちゃけ「出版社が苦悩」というのはオーバーな話で、ぼやき程度の話ではないでしょうか。「高く転売され儲けられるのがムカつく」という本音を、「読みたい人に買って欲しい」というタテマエで隠しているだけのような気がします。
 そもそも、古本価格が高騰するのは人気があるのに手に入りづらいという品薄状態だからなので、電子版があればそんなに高騰しない(つまりせどり屋の旨味がない)と思うのですが、どうでしょう? 古本流通は著者にも出版社にも旨味がないですが、電子版ならどちらにも還元されます。


ホームレス減少、赤字続きのビッグイシュー「最終ゴールは会社がつぶれること」 弁護士ドットコム(2017年11月5日)


 ホームレスの自立支援をしているビッグイシューが、路上生活者の減少によって販売部数が減っているとのこと。自ら「ビッグイシューのジレンマ」と呼んでいるというのがすごい。それにしても、下記引用箇所のエピソードが……。

日本版をはじめたころ、「こんなん成功するはずない。100%失敗するわ」とボロカスに言われました。とくに活字メディアに関わっている人たちから厳しい意見がありました。「若者の活字離れが甚だしい」「路上販売は日本の文化にあわない」「誰もホームレスに近寄らない」と。

 ビッグイシュー日本版は2003年からスタートしているそうですが、当時の出版業界はだんだん右肩下がり始めたころ。それでもまだ出版市場は、2兆2200億円以上あった時代です。なんというか、傲慢だったのかなあ。



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