「セブンイレブンで雑誌スペース縮小へ」「メディアドゥが共通本棚?」「ソーシャルDRMの新電子書店」「記事広告のPR表記」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年6月5日~11日)

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 先週は「セブンイレブンで雑誌スペース縮小へ」「メディアドゥが共通本棚?」「ソーシャルDRMの新電子書店」「記事広告のPR表記」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年6月5日~11日分です。


店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ 読売新聞(2017年6月4日)


 1週前の記事ですが見落としていたのでピックアップ。コンビニ最大手のセブンイレブンが決算説明会で発表した、雑誌陳列スペースを小さくした新レイアウト店舗の展開を受けた解説記事。コンビニで雑誌の売り場面積が減ってる傾向は随分前からですが、セブンイレブンの資料でカテゴリー別の売上変化をみると、この10年で雑誌(コミック・書籍を含む)販売額は43%、数量は37%にまで落ち込んでおり、そりゃこういう扱いになるのも無理はないよなという感じ。なお、出版物販売額(紙)のうち、コンビニエンスストアルートが占める割合は10.6%程度(出典:『出版物販売額の実態2016』)です。恐らく今後はもっと減ることでしょうから、出版物輸送危機(荷物が減っているのに配達件数が増えているため負担が大きくなっている)も考慮すると、コンビニエンスストアに雑誌を卸すのをやめる、という判断が下される日も近いかもしれません。


Amazonの支払いが、ドコモとauの携帯決済で可能に AV Watch(2017年6月5日)


 電子書店系ではいままで「Kindleストア」「楽天Kobo」「iBooks Store」がキャリア決済に未対応だったので、わりと大きな変化です。「クレカないからコンビニ行ってギフトカード買う」というのは結構面倒なのですよね。なお、多くの国産系電子書店は、かなり前に対応済みだったりします。


出版流通大手「日販」がホテル事業に参入、箱根強羅温泉に本と過ごす「ブックホテル」開業 トラベルボイス(2017年6月7日)


 日販がホテル事業へ参入。というか、「ホテルの書店化」と言ったほうがいいかも。“同社では昨今の「本離れ」の風潮が、人間による創造性の欠如や文化継承の断絶につながるのではないかとの危機感”というのは紙だけの話? と疑問に思ってしまいますが、試みとしては面白いのではないでしょうか。


出版デジタル機構、POD書籍データ取次先に「楽天ブックス」を追加、系列2,000書店からも注文可能に hon.jp DayWatch(2017年6月5日)


 出版デジタル機構が「楽天ブックス」にPODの取次を開始。大阪屋栗田系の書店でも注文可能というところが面白い。どうやって売るんだろう? なお、「楽天ブックス」では2015年から、インプレスR&D「NextPublishing」が京葉流通倉庫と提携した疑似的なPOD対応を行ってきましたが、出版デジタル機構参入で今後どうなるかは不明です。


EU圏の電子書籍のVAT税率を紙書籍同等に下げる法案、まず欧州議会を通過、次は欧州連合理事会へ hon.jp DayWatch(2017年6月5日)


 ついに法案が欧州議会を通過。しかも圧倒的多数で可決とのこと。これまでEUでは、紙の本は「文化財」として軽減税率を適用し、電子の本は「サービス」として税率に格差を付けてきました。この格差がいよいよなくなることになりそうです。日本では2019年10月1日から軽減税率制度が実施されますが、新聞は対象品目に入ったのに、本は対象外。良い悪いは別として、欧州の「文化」に対する考え方との差を感じます。


Google、ウザい広告はChromeで表示しなくなることを決定。広告に関する問題のレポートをSearch Consoleで公開 海外SEO情報ブログ(2017年6月5日)


 先週もピックアップしましたが、ブラウザシェアの半分以上を占める Google Chrome が、2018年初旬に公式でアドブロックに対応します。この記事では、どんな広告が問題視されるのか、サイトに問題点があるかどうかの確認をどのようにすればいいのかが解説されています。私も「Ad Experience Report」を確認してみましたが、まだどのサイトも「ステータス:未審査」でした。ぐぬぬ。


損失は2兆円越え?パブリッシャーのためのアドブロック最新動向解説 fluct magazine(2017年6月5日)


アドブロックの普及状況とパブリッシャーの対応について。主に海外の話です。日本は諸外国に比べると、アドブロックの普及率が異様に低いです。つまり、これから普及してきたときの影響が大きい。先行事例に学んでおく必要があるように思います。


メディアドゥの強さの秘密 確固たるビジョンで出版業界の未来を照らす 企業家倶楽部(2017年6月5日)


 「強さの秘密4.チャレンジ精神」に着目。「共通本棚」の導入を検討しているようです。これは「電子書店が潰れたら読めなくなるかも」という、ユーザーの不安を払拭する方策の1つ。講談社「じぶん書店」みたいな出版社直営書店も、サービス存続という面では正直不安ですから。これまでは、例えば「BOOK☆WALKER」の「本棚連携」など、一部の企業が個別に取り組んできました。電子取次事業者が本気で取り組むなら、電子出版の市場にとって画期的かつ革新的なことになるでしょう。はよ!


マイナビ出版、ソーシャルDRM方式の電子書籍ストア「978STORE」をオープン、POD販売にも対応予定 hon.jp DayWatch(2017年6月6日)


 「電子書店が潰れたら読めなくなるかも」という、ユーザーの不安を払拭するための別解です。ソーシャルDRMはファイルのコピーや移動に制限がないので、もし電子書店が潰れてもファイルは手元に残る仕組み。ソーシャルDRMを導入した新規電子書店は、2014年オープンのJTBパブリッシング「たびのたね」以来かも? マイナビ出版単独ではなく、インプレス、かんき出版、サンマーク出版、シーアンドアール研究所、JTBパブリッシング、誠文堂新光社、三和書籍も参加しています。出版社直営でDRMフリー書籍を提供していた「ブックパブ(Internet Archive)」が利用不能になっており、代替書店としても機能しそうです。余談ですが、三和書籍とともに「ブックパブ」を運営していたシナプス[旧モバキッズ]は2月にDMM.comが買収しており、「ブックパブ」の閉鎖になにか影響しているのかもしれません。


図書館電子貸出の「シェアリング・エコノミー」 EBook2.0 Magazine(2017年6月6日)


 Rakuten OverDrive の電子図書館システムに、新たな料金体系が追加。2013年に行われた電流協フォーラムで、アメリカの電子図書館サービスにおける貸出モデルには以下のようなものがあるという話がありました。

  • Single User Model(1ライセンスで1度に1人だけが借りられる)
  • Limited Number Loans Model(貸し出し回数に上限が決められている)
  • Delayed Sale Model(新刊の発売から一定期間は貸し出しできない)
  • In Library Check Out Model(借りるためには来館が必要)
  • In Library Use Model(館内貸し出しのみ)
  • “Buy it now” Botton Function(貸し出しの順番を待たずに「今すぐ購入する」ボタンへ誘導)

 今回追加された新たな料金体系は、Cost Per Circulation(CPC)。すなわち、実際に貸出されたときはじめて課金されるというもの。新興企業がこのモデルで急激に契約数を増やしており、Rakuten OverDrive も対応せざるを得なかったようです。図書館予算に優しいモデルではありますが、“Buy it now”とは相性が悪そうです。ただ、対象読者が少なくて貸出が発生するかどうかわからないような本は、いきなりライセンスを購入するのはハードルが高いわけで、CPCモデルでラインアップできるというのは出版社にとってもむしろチャンスとも考えられそうです。


WWDC:Apple、iOS 11を発表 TechCrunch Japan(2017年6月6日)


 9月に公開されるiOS 11について。Apple Payで個人間送金に対応(ただし日本への導入は未定)、iPadにファイルシステム導入とドラッグアンドドロップ対応、32ビットアプリが起動しなくなるなど、各所に影響が出そうな発表がありました。


往年の「青空文庫」に異変 背景にイケメンゲームが? NHKニュース(2017年6月6日)


 ブラウザゲーム『文豪とアルケミスト』の影響で青空文庫のボランティアが増えているらしい、という記事。KADOKAWAの『文豪ストレイドッグス』には触れられていないのが不憫。しかし、“往年の「青空文庫」”って……。

無断リンクは合法か 抜け穴突くサイト野放し 日本経済新聞(2017年6月7日)


 違法サイトへ誘導する「リーチサイト」の問題、画像や映像への直リンク問題、削除要望に応じず侵害者の追跡も難しい防弾ホスティングサービス問題などについて。法規制がどういう方向へ進むか、注視しておきたいところです。


「Amazonプライム」の月間プラン、月額400円で提供開始 INTERNET Watch(2017年6月8日)


 アメリカではちょうど1年前に導入された「Amazonプライム」の月額制が、日本でも提供開始。日本の料金はアメリカに比べ非常に安い(税込年額3900円に対し年99ドル)ため、日本で月額制が導入されるのは値上げ後ではないかという予測をしていたのですが、見事にハズレました。「月額400円」と提示されると競合他社との比較がしやすく、結果的に月契約より年間契約が増えるのではないかと思われます。


「なんでも電子書籍でいいのか?」文学フリマが百年後も愛される理由 withnews(2017年6月9日)


 メディア特性の違いから得手不得手があるので、「なんでも電子書籍でいいのか?」という疑問には「そんなわけないだろ」と答えるしかありません。ただ、コミック以外の電書市場はまだまだ小さいので、「なんでも電子書籍でいいのか?」という疑問が出てくる段階にはまだ早いのではないか、という気もします。対立を煽ると、どちらの足も引っ張ることになってしまいますよ。なお「第二十四回文学フリマ東京」には「BOOK☆WALKER」の個人出版支援サービス「BWインディーズ」が出展しており、現地で同人誌の電子化サポートを行っています。


小学館が女性メディア局を刷新、紙とウェブを完全統合 WWD JAPAN(2017年6月9日)


 講談社が「編集局」を廃止する組織改編を行ったのが2015年。それから2年遅れで、小学館も同様の組織改編を行うことに。小学館はこの4月に、DeNAと新デジタルメディアを検討することに基本合意していますが、この新体制にDeNAがどう関わってくるのか。


なぜグーグルは自らの首を絞めかねない広告ブロック導入に踏み出すのか(徳力基彦) Yahoo!ニュース個人(2017年6月9日)


 徳力さんによる、インターネット広告が岐路に立っているという解説。アドブロックアプリの急速な普及、インターネット広告の不透明性、不適切なコンテンツへの広告表示など、広告主にもユーザーにも強い不信感を抱かれている現状に対し、インターネット広告最大手のグーグルが対処せざるを得なくなっていることを指摘しています。


記事広告PR表記問題やネイティブアドの論争が不毛と思う理由(徳力基彦) Yahoo!ニュース個人(2017年6月10日)


 広告主やユーザーから強い不信感を抱かれている現状で、記事タイトルに広告表記をするかどうかという次元で論争している場合ではなく、そもそも記事そのものに広告表記をしないいわゆる「ステマ」排除にこそ力を注ぐべきだという超・正論。確かにこのままだと「悪貨が良貨を駆逐」しかねない。3年ほど前にネイティブ広告の表示状況を調べたことがありますが、当時も書いたように“どこかに「広告」や「PR」という表記がある事例はまだマシ”なのです。「まったく表示していない」事例は、「疑わしい」くらいしか言えない。辛い。


タブレット市場が2年連続で縮小。iPadの販売シェアも減少するその理由とは? ハーバービジネスオンライン(2017年6月10日)


 スマートフォンの大型化にともない、タブレットの出荷台数が減少傾向にあります。とくに7インチクラスは、存在価値が薄れているのは間違いないかと。ただ、タブレットも今後は大型化と高機能化で、ノートパソコンの市場を食っていくように思います。Windowsストアアプリがもうちょっと充実するといいのですが。



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