「トーハンが週刊新潮の中吊り広告を事前に週刊文春へリーク」「佐藤秀峰氏がアマゾンを提訴」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #272(2017年5月15日~21日)

Kinoppy

 先週は「トーハンが週刊新潮の中吊り広告を事前に週刊文春へリーク」「佐藤秀峰氏がアマゾンを提訴」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年5月15日~21日分です。

総務省、「統計ダッシュボード」の提供を開始 カレントアウェアネス・ポータル(2017年5月15日)

 国の統計データを視覚的にわかりやすく、使いやすい形で提供しています。もちろん元データをCSVで吐き出し、自分の好きな形へ加工もできます。「ネ申エクセル」が放り投げられていたころに比べると雲泥の差です。急に未来がやってきた感。

「週刊少年ジャンプ」、200万部割れ ITmedia ビジネスオンライン(2017年5月16日)

 ついにピーク時の3分の1以下に。ところでこの記事では触れられていませんが、「少年ジャンプ+」アプリ内で販売されているデジタル版の定期購読契約数はどれくらいなんでしょうか?

販売報酬10%!講談社「じぶん書店」の狙いとは? 日経トレンディネット(2017年5月16日)

 正式オープンに伴う、講談社の担当者インタビュー。狙いはわかりますが、もうちょい使い勝手をなんとかして欲しい。β版の時にはあえて言わなかったのですが、不満なところがいっぱいあります。まず、モバイルウェブしか考慮していないUIが非常に使いづらく、登録が捗らないので早期になんとかして欲しいこと。せっかくのアフィリエイトなのに、ブログに貼るウィジェットすら用意されていないこと。料率10%はアマゾンより良い(Kindle本は8%)のですが、本気でユーザーに売ってもらいたいならもっと料率を上げるべきでは。出版社直営なんですから。あとは、講談社以外の展開も早く、といったところでしょうか。期待してるんですよ!

ちなみに鷹野のじぶん書店はこちら。

「ウェブの漫画が紙を食う」時代は終わった 東洋経済オンライン(2017年5月17日)

 ウェブマガジンやマンガアプリの隆盛について現状をまとめた記事。日販の方が「電子版と単行本の深刻な食い合いが懸念されたのは黎明期だけ」とコメントしているのがいい感じ。鈴木みそさんの『内定ゲーム』クラウドファンディングも取り上げていますが、「閉鎖した漫画サイトで連載していた」という記述が惜しい。連載は「eBookJapan」が発行していた『Web Magazine KATANA』で、サイトではなくパッケージ販売です。

メディアドゥ、電子書籍をAIで要約 購入前に内容把握 日本経済新聞(2017年5月17日)

 メディアドゥがAIベンチャーのエーアイスクエアとインターネット総合研究所へ出資。要約紹介による販売サイトを新たに立ち上げるそうです。あれ、フライヤーとは別?

TSUTAYA増田氏が語る、銀座で稼ぐ大書店 日経ビジネスオンライン(2017年5月17日)

 CCC増田宗昭氏へのインタビュー。「僕らは本を売っていないんですよ。ライフスタイルを売っている」「僕らは企画屋です」というコメントが、思想をはっきり表していて面白い。「商売人」ですね。続きに(CCCは)雑誌は得意だけど、コンテンツに特化していく必要がある書籍のノウハウがない、だから、徳間書店を買収したということが書いてありました。

トーハン 週刊新潮の中づり広告を文春社員に事前に見せる NHKニュース(2017年5月17日)

 NHKまで報じたということで、消えちゃうのは承知の上でピックアップ(Internet Archive)。週刊文春側は、不正や不法に情報を入手したり盗用したりといった事実は一切ないと否定。「秘密保持規定がない」なら、まあそういうことになるんでしょうね。なお、トーハンは後日「誠実義務に欠けていた」とお詫びのリリースを出しています。

安野モヨコやねむようこ作品並ぶ、マンガストアがcomico PLUSに開設 コミックナタリー(2017年5月19日)

 他の出版社作品の無料公開&販売もするようになった、という大きな方針転換。いままで comico と直接契約した公式作家か、投稿者による作品しか載っていなかったはず。ただ、ラインアップは50作品とまだ小規模。なお、バックエンドはメディアドゥです。

漫画家・佐藤秀峰さん、アマゾン側を2億円提訴 「提供作品を一方的に削除」 東京新聞(2017年5月19日)

 「Kindle Unlimited」の配信停止事件で提訴。独占禁止法の優越的地位の濫用にあたる、という主張です。裁判の過程でいろいろ明らかになることでしょう。詳しくは佐藤秀峰さんの「note」にて。

式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC 京都新聞(2017年5月19日)

 歌詞の一部を利用した式辞を、京大がウェブサイトに公開。JASRACが著作権使用料を「請求した」という記事。実際に公開されている式辞を見ると、引用の要件である必然性、明瞭区別、主従関係、出典明示まですべてクリアしています。これでダメならなにが引用なの? という感じ。ところが、弁護士ドットコムによる後追い記事で、そもそもJASRACは問い合わせをしただけで「請求はしていない」という事実が判明。京大広報の「困惑すらしていない」というコメントが秀逸です。


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