「アフィリエイトの闇」「自動お絵描きではないAutoDraw」「EdgeでEPUB」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #267(2017年4月10日~16日)

iBooks

 毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「アフィリエイトの闇」「自動お絵描きではないAutoDraw」「EdgeでEPUB」などが話題になっていました。

CiNii、論文データの提供を再開 「利用者の利便性を考慮」 ITmedia NEWS(2017年4月10日)

 先週ピックアップした記事の続報。一部復活です。

双葉社と秋田書店、合同で漫画連載スタート 新文化(2017年4月10日)

 隔週発行の「漫画アクション」と「ヤングチャンピオン」で1つの連載マンガを交互に掲載。実質週刊ペースになるわけです。異なる出版社でのコラボというのは、以前「少年マガジン」と「少年サンデー」が創刊50周年でやったことがありますが、連載マンガでのコラボって事例ありましたっけ? 重ならない読者層への接点が増やせる、面白い試みだと思います。

ヤマトが撤退してもアマゾンは当日配送を続ける 日経ビジネスオンライン(2017年4月11日)

 「これを契機にアマゾンは全力で配送の自前化に動く」という予測。ちょっと疑問なのは、現状でも「プライム ナウ」の一部で「デリバリープロバイダ」が使われているのですが、これは「自前の配送」と言えるんでしょうか? ヤマトより悪条件な、単なる下請けなのでは。

「Windows 10 Creators Update」、Windows Updateを通じて12日早朝より提供開始 INTERNET Watch(2017年4月11日)

 Windows 10の大幅アップデート。私は1日前に、手動でアップデートしました。なぜかときどきうまく起動できない症状が出ていますが(ハードウェアリセットで修復)、他に大きな不具合はいまのところ見つかっていません。電書ウォッチャー的に気になるのは「Edge」でEPUBが開けるようになったのはいいけど、日本語表示はどうなのか? という点。「電書魂」の田嶋さんがInsider Preview版の時点で調査した不具合は、今回のリリース版では直っていなかったようです。縦中横に対応していない(text-combine非対応)は痛い(下図参照)。

EdgeでEPUB

リーズナブルな9.7型タブレット、Apple「iPad(第5世代)」 ~わずか37,800円から入手可能 PC Watch(2017年4月12日)

 新型「iPad」は廉価版の普及品。とはいえ性能は充分。記事中にもあるように、法人がたくさん購入するならコレ、という感じ。

「検索」を汚染するアフィリエイトの闇 広告主をも騙す、ステマの手口 BuzzFeed(2017年4月12日)

 BuzzFeedの次のターゲットは、黒いアフィリエイト。ランキング記事の上位掲載を確約したステルスマーケティング、つまり「やらせランキング」や「やらせ比較」というやつです。ランキング記事って、検索上位になりやすいみたいですね。今回問題視されているのは「日本アフィリエイト協議会」に加盟していない5社。擁護する気はまったくないのですが、やり玉にあげられている記事の商品比較が「根拠不明」なのかどうか、自分で確かめたわけじゃないからわからないというのが正直なところ。逆に当のBuzzFeed自身も記事広告やアフィリエイトをやっていますから、広告主に忖度していないと断言するのは難しい。黒い噂のある広告主であっても、黒だと確証が得られない限り掲載を断るのは難しかったりします(ライバルによる根も葉もない悪評という可能性もあるので)。実際問題、手心を加えず徹底的に商品比較をやろうと思うと『暮しの手帖』のように広告を載せないメディアにするしかないと思うのです。広告主とメディアの関係性って難しいですね。

連載終了した作品がヒット、書店の売り上げ増にも貢献 「LINEマンガ」が出版業界にもたらす影響 ITmedia Mobile(2017年4月12日)

 私も取材に行っていたプレスセミナー。当日、しかも19時29分更新で、しかもこのボリュームってすごい。私もたまに現地から更新やりますけど、初めて聞いた話をその場でまとめるのはほんと難しい。脱帽です。個人的にすごいなと思ったのが、トーハンの方が登壇して「LINEマンガ」無料連載が書店の売上に好影響を与えていると断言したこと。こうなると、無料公開に対する書店側のイメージも変わってくるでしょうね。

Google、機械学習を応用した無償のオンラインお絵描きツール“AutoDraw”を発表 (2017年4月12日)

 結構話題になっていた、一見凄そうに感じられてしまうツール。この記事にあるように「キャンバスに手書きした図形を認識し、本職のアーティストが描いたイラストを提案してくれる」というのがポイント。プロが描いた類似画像に置き換えることが可能、というだけの話なのです。日本語IMEにある手書き文字入力みたいなものなので、日本人にはあまり凄く感じられないかも。

ブックオフ業績不振に苦しむ 書籍以外の商材拡大は進むか THE PAGE(2017年4月13日)

 ちょっと首を傾げる記事。「同社の業績が悪化しているのは、主力商品である書籍・ソフト・アパレルの販売が低迷しているからです」と断定しています。ところが「2016年3月期の販売実績(直営店)を見ると」とあるので、2016年3月期の「FACT BOOK」を確認すると、「書籍(活字・コミック・その他の合計)」は対前年比プラスなのです。ただし、直近の「月次の売上状況について」を見ると、2017年3月期の「書籍」は軒並み対前年比マイナス。つまり、「2016年3月期」は「2017年3月期」の誤りではないかと思われます。

本はまだ死んでいない―、ウェブメディアが出版業をはじめた理由 TechCrunch Japan(2017年4月13日)

 論旨はわからなくもないのですが、「iBooksが電子書籍市場の31%を占めるとされている」というデータが2014年の調査で、「いまはどうなのさ!」とツッコミを入れざるを得ない。AmazonとApple以外は存在しない円グラフになってるし。


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