2016年8月5日金曜日

Kindle Unlimited開始でKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)冬の時代が到来? 一部の出版社が優遇され過ぎ(追記あり)


Kindle Unlimited が開始されから数日状況を見ていますが、どうも一部の出版社が優遇され過ぎていて、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)や優遇されていない出版社が少々辛い状況に追い込まれていることがわかってきました(※太字部分8月10日追記)。



年内は出版社だけ単品販売と同額支払い


これは文化通信が6月に配信した、「アマゾンジャパン、読み放題サービス8月開始へ」という記事内に書かれていたことです。

アマゾン側は出版社に対して、主にロングセラー、そして単体のKindle版と同内容での提供を求めており、収益の半額を電子書籍の利用量に応じて出版社に支払う。ただし、出版社の参加を促すため、サービス開始初年は単品を販売したのと同額を出版社に支払う特別条件を提示しているという。

まあこれは、出版社から読み放題対象コンテンツを集めるための施策。KDPにそういう特別条件がないのは残念ですけど、多少は仕方ないかな、という気はします。


出版社系の作品は10%で「読まれた」判定される(追記あり)


KDPの読み放題は、読まれたページ数×ページ単価(KENPC=Kindle Edition Normalized Page Count)で計算されます。6月時点の Amazon.com では、$0.004925 per page read だったそうです。1ドル101円とすると、1ページあたり約0.5円です。

ところが出版社系作品の一部(※太字部分8月10日追記)の読み放題は、ページ数ではなく「購読数」で収益配分されます。「購読数」は、「暦月1カ月間において、購読者が作品の10%以上を初めて閲読した場合」にカウントされるそうです(ちなみにこれは出版社向けにのみ説明されています)。

要するに、出版社系作品の一部(※太字部分8月10日追記)は冒頭ちょろっと試し読みだけでもしてもらえば満額支払われるけど、KDP作品は厳密かつ冷徹に「読まれたページ数」で計算されるというわけです。うーん、この差はちょっと辛い。

[8月10日追記:漫画家・佐藤秀峰さんより『僕は「10%で『読まれた』と判定」するという条件を提示されていません』との指摘を受けました。すべての出版社が上記の条件というわけではなかったようです。お詫びして訂正いたします。申し訳ありません。]


KDPは独占配信じゃないとダメ


KDP作品を Kindle Unlimited で読み放題にしようと思うと、KDPセレクトへの登録が必要となります。KDPセレクトへの登録は、Kindle独占配信が条件です。だからセルフパブリッシングで複数のストアへ配信していると、Kindle Unlimited とは縁が無いことになります。

ところが出版社系作品には、そういう条件がありません。他ストアへ配信している作品も、ばんばん読み放題に対応しています。KDPは独占配信じゃなきゃダメなのに! なんかズルいなあ、という感じがします。

どこからどこまでが「出版社」として扱われるかは不明ですが、過去にパブーや BCCKS が突然 Amazon から厳しい条件を突きつけられ「出版社」としての取引が難しくなった“事件”があり、小規模零細なところは相手にされない可能性が。

[8月6日追記:↓これを忘れてました]



KDPコミックにはカテゴリー絞り込みから辿りつけない(追記あり)


これは昨日書いたことですが改めて。Kindle Unlimited で左カラムのカテゴリーから「コミック」→「少年コミック」「青年コミック」などで絞り込みをすると、出版社系作品だけが表示され、KDP作品に辿りつけない状態になっています。

もっともこれはコミックだけで、小説やビジネス書などでは発生していない症状なので、優遇措置ではなく単なるバグという可能性が高いかも、と思っています。

[8月9日追記:漫画家・佐藤秀峰さんの指摘により、出版社系コミックであっても、左カラムの小カテゴリーから辿りつけないケースがあることが判明しました。恐らくこれは何らかのエラーかバグだと思われます]


[8月10日追記:]


KDP作品を冷遇しているわけではなく、やはり単なるバグかエラーだったようです。よかった!


KDPコミックはランキングに載らない(追記あり)


これは上記問題点の副産物だと思われますが、Kindle の売れ筋ランキングをチェックしても、現時点ではKDPコミックを発見できません。つまり、KDPコミックは現状、ランキングの恩恵を受けられない状態になっています。

Kindleストアでたくさん売るには、「ランキングに載ること」そして「ランキング上位に載り続けること」が必須条件なので、結構辛い状態。

[8月9日追記:上記追記と関連しますが、KDPコミックがランキングで見つけられないのもやはり、カテゴリーエラーの影響であり、KDP固有の問題ではないようです]


ランキングが読み放題作品で埋め尽くされている


上記問題点と関連しますが、いま Kindle の売れ筋ランキングを見ると、上位はほとんど読み放題対応作品で埋め尽くされています。読み放題以外でランキング上位に載っているのは『ONE PIECE』や『進撃の巨人』など怪物級作品のみ。

Kindle売れ筋ランキング

今後、読み放題以外でランキング上位に載るのは、かなり難しくなるでしょう。ちょっとした値下げキャンペーン程度じゃ、読み放題のダウンロード数に対抗するのは至難の業、という気がします。

これは出版社系も同じ条件と言えばそうなんですが、「独占配信」という縛りがない出版社系は、いまだけ試すことも可能です。KDP作品の場合は独占配信じゃないとダメな上に、最低でも90日間拘束されます。辛い、辛い。

そしてどうやら、ランキングはダウンロード数だけが考慮されているようなので、ランキング上位でも読まれない限り収益に繋がらないことに。ここでも出版社系作品の「購読数」判定と、KDPとの差がキツイ、と言わざるを得ません。


独占配信以外のKDPはますます厳しい


KDPは独占配信ならロイヤリティ70%ですが、そうじゃない場合は35%と半減します。その上、独占配信なら利用可能な無料キャンペーンが使えないし、オーナーライブラリー(プライム会員向け貸出)に追加できない上に、読み放題対象にもできないという、さらなる差別待遇が追加されたことになります。辛い、辛い、辛い。

65%持っていった上にこの境遇、ボクらは養分ですか。


KDPセレクトにすると強制的に読み放題対応になる


これは逆のパターン。いままで独占配信で70%ロイヤリティを得ていた人が、読み放題に入るのは嫌だからと Kindle Unlimited だけ除外することはできません。読み放題の対象から外すには、KDPセレクトをやめなければいけないのです。養分の仲間入りです。


競合他社はいまがチャンス?


とくにコミックのKDP冷遇は酷いものがあるので、これが解消されないと楽天KoboライティングライフBOOK☆WALKER の BWインディーズiBooks Store(iTunes Connect)Google Play ブックスパートナーセンターなど、セルフパブリッシング可能な他のサービスへ流れる人も今後は増えてくるかもしれません。競合他社は、仕掛けるならいまかも?


[8月6日追記]正しく評価をするには?


KU/KOLのロイヤリティは月次で計算されます(翌月中盤くらい?)。現段階で普通にレポートを見ると、単品販売は確実に減っているので、そのぶん全体のロイヤリティも減ったように見えちゃう可能性が。KENPCのページ数×0.5円で概算してみましょう。

ヘルプに “KDP セレクトに本を登録したいとできる限り多くの著者に思っていただくために” とあるので、ロイヤリティ全体がいままでより多くなるよう、KDPセレクト基金の額を調整するものと思われます。それすなわち独占配信以外がさらに虐げられ養分にされるってことなんですけどね('A`)

あと、忘れちゃいけないのはいまは30日間無料お試しで、読者数がかさ上げされている点。9月2日以降の数字を見ないと、正当な評価はできないと思います。

もう1つ、出版社系は年内特別条件なので、2017年1月1日以降は「これなら稼げる」と思えなかった出版社がごっそり手を引くと思います。つまりライバルが減る(ただし読者も逃げる)。

さてどうなるでしょうね?

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