2013年6月24日月曜日

出版(紙・電子書籍)関連の気になるニュースまとめ(2013年6月17日~2013年6月23日)

iPadのKinoppy

出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。先週は、国立国会図書館が公開していた著作権切れアーカイブに、日本出版者協議会(旧流対協)がクレームを入れたことで公開停止になってしまったことが話題になっていました。



Myブック変換協議会|蔵書の電子化における基本方針に合意について ※2013年6月14日


見落としていました。蔵書電子化事業連絡協議会(Myブック変換協議会)と一般社団法人日本蔵書電子化事業者協会(JABDA)が基本合意です。現状でもすでにブックスキャン社がやっているルールに加え、「定められたルールを守るために、第三者の監視組織を設置する」というところがポイントでしょうか。


司法省vsアップルの裁判は誰のバトルなのか?— Observing DOJ vs. Apple in court | Books and the City ※2013年6月16日


大原ケイさんによるアップル・エージェンシー・モデル裁判の傍聴途中報告。「よく誤解されていること」や「なぜ出版社は和解したのか?」など、非常にためになります。証人リストと主な証言内容(というか法廷での印象)が面白い。


プロ漫画家のための「漫画家自身が作品を電子書籍販売するための3つのポイント」:少年 佐藤秀峰:佐藤秀峰チャンネル - ニコニコチャンネル:エンタメ ※2013年6月17日


出版社との契約見直しや取次・電子書店との直接取引はいいとして、「作品のデジタルデータ」をどうやって作るか? という点については異論が出ていました。特に下記について。

日本中の電子書籍サイトで販売されている漫画はほぼ100%、単行本を裁断しスキャンスナップを使用してデータを作成しています

もちろん出版社によって細かな事情は違うとは思いますが、さすがにDTPソフトのInDesignが導入されているところは、データから作ってると思います。それ以前のものも、フィルムやオリジナル原稿があれば、そっちを使っているでしょう。単行本断裁でスキャンというのは、古い作品でフィルムも原稿もない場合の最終手段だと思われます。

というのは、今後ますます端末の高解像度化が進むわけで、なるべくいいデータをオリジナルとして保持し、配信用データは現状に合わせて圧縮する(例えばKindleの場合、データを送ると勝手に自動圧縮される)方が、後々困らずに済むからです。ただ、世の中に流通している作品全体で考えると、古い作品だからフィルムも原稿もないという割合は結構多いかもしれませんけどね。


おかげさまで 日経電子版 有料会員30万人になりました! 日経無料読み放題! ※2013年6月17日


ちょっと「出版」とはズレますが、"読み物"のsubscription(購読料)モデルの現状としてピックアップ。電子版のみが月額4000円、紙の宅配とセットだと+1000円。内訳は公開されていませんが、料金体系から推測すると紙とセットが8割くらいだと思われます。そう仮定すると、売上は4.8億円/月くらい。紙面は朝刊295万部ですから、比べちゃうとまだまだ小さいですね……。


国会図書館による著作権切れ書籍のネット公開、出版社側の異議申し立てにより一部を公開停止 | スラッシュドット・ジャパン YRO ※2013年6月18日


絶版本の復刻を行った出版社と業界団体が、その元となった書籍が著作権切れで国立国会図書館デジタル化資料や近代デジタルライブラリーに公開されていることに異議申立てをして、一時公開停止措置をとってしまったという話。カーリルのインタビューに対し、大蔵出版の青山社長はこんなことを言っています。


いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して、無断でインターネットに公開すること自体が商業道徳に反するのではないでしょうか。
青空文庫のようなデジタル化プロジェクトについては別段何も思っていません。私が言っているのは、著作権切れになっていても実際に出版社が継続して売っているもの。
1977年に遺族から著作権も買い取った。遺族との絆もある。そういう意味では、その50年後の2027年までは大蔵出版の著作権保護期間であると考えることもできます。
「国会図書館がデジタル海賊版を公開する」という事態になりました。

著作権切れ資料をインターネット上で公開する「近代デジタルライブラリー」などの試みを行えば、必ずこういったやんちゃな要求が出てくることはわかっていたはず。国立国会図書館は、突っぱねなければダメだった。悪しき前例を作ってしまった。

ちなみに、日本出版者協議会(旧流対協)というのは、出版社に版面権を! 著作隣接権を!大手出版社による文庫化は許さん! Google Book Scanは許さん! Amazonの学割は許さん! という主張を行なっている団体です。会長の高須次郎さんは、グーグル日本上陸撃退記の著者。


自炊代行「許諾」の未来とは、“蔵書電子化”関係者座談会(前編) -INTERNET Watch ※2013年6月20日


Myブック変換協議会/日本写真著作権協会の瀬尾太一さん、日本蔵書電子化事業者協会/株式会社ブックスキャン副社長の藤田剛士さん、山口真弘さん、西田宗千佳さんに混ざって、なぜかボクも参加している座談会の前編です。瀬尾さんはかなり先のことまで見越した上で、うまく現実的な落とし所を探っているという印象でした。


ブラウザEPUBビューワ「BiB/i」リリース - ITmedia eBook USER ※2013年6月21日


ブラウザでEPUB 3を表示できるリーダ。ブログなどに埋め込むことで、EPUBの試し読みが可能です。「Gene Mapper」の藤井太洋さんも絶賛しています。ボクもやってみようと思ったのですが、GoogleドライブやDropboxからではうまくいかないみたい……ぐぬぬ。


東芝、電子書籍サービス「ブックプレイス」PC用ストアを開設 | RBB TODAY ※2013年6月21日


最後発で、可哀想なくらい話題になっていない東芝ブックプレイスに、PCブラウザ向けストアが登場。旭屋書店、ダイレクトショップ、戸田書店、リブロ、有隣堂とも提携するそうです。


電子書籍を紙に製本して販売、「フエルアルバム」のナカバヤシが矛盾に挑戦 -INTERNET Watch ※2013年6月21日


デジタルファーストで、豪華装丁版を後から発行という事例は確かにまだ珍しいのですが、「矛盾」と言ってしまうのにはちょっと違和感。ボクはむしろこういう形が、今後のスタンダードモデルになっていくと思っているのですが。

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