文化庁「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」への意見

「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の実施

文化庁による「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」に、以下のような意見を送りました。


1.基本的な考え方


(1)「深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じること」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」という2つの要請を両立させた形で、侵害コンテンツのダウンロード違法化(対象となる著作物を音楽・映像から著作物全般に拡大することをいう。以下同じ。)を行うことについて、どのように考えますか。①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。


回答:②どちらかというと賛成

2.懸念事項及び要件設定


(1)侵害コンテンツのダウンロード違法化を行うことによる懸念事項として、下記(ⅰ)~(ⅶ)のそれぞれについて懸念される程度を、①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。その他、懸念事項があれば(ⅷ)に記入して下さい。


(ⅰ)インターネット上に掲載されたコンテンツは、適法にアップロードされたのか違法にアップロードされたのか判断が難しいものが多いため、ダウンロードを控えることになる。

回答:①とても懸念される

(ⅱ)重要な情報をスクリーンショットで保存しようとする際に、違法画像等(例:SNSのアイコン)が入り込むことが、違法になる。

回答:①とても懸念される

(ⅲ)漫画の1コマのダウンロードや、論文の中に他人の著作物の違法引用がされている場合の当該論文のダウンロードなど、ごく一部の軽微なダウンロードでも違法になる。

回答:①とても懸念される

(ⅳ)原作者の許諾を得ずに創作された二次創作・パロディのダウンロードが、違法になる。

回答:①とても懸念される

(ⅴ)無料で提供されているコンテンツ(例:無料で配布・配信されている雑誌、漫画、ネット記事)が違法にアップロードされている場合に、そのダウンロードが違法になる。

回答:①とても懸念される

(ⅵ)権利者がアップロードを問題視していない(黙認している)場合でも、ダウンロードが違法になる。

回答:①とても懸念される

(ⅶ)権利者により濫用的な権利行使がされる可能性や、刑事罰の規定の運用が不当に拡大される可能性がある。

回答:①とても懸念される

(ⅷ)その他、懸念事項があれば記⼊して下さい。

1.(1)を②とした理由は、これは著作権法第1条で謳われている理念そのものであり、反対する理由はない。ただ、2つの要請を「両⽴」させることは極めて困難であるため②とした。結局は、権利保護と制限のバランスだ。どちらの側にもある程度、痛みを要求する形となる。どこを落としどころとするかは、最終的には、政治判断となるだろう。

(2)上記の懸念などを踏まえ、具体的にどのような要件・内容とすることが望ましいと考えますか。下記(ⅰ)及びその回答に応じた(ⅱ)〜(ⅵ)の回答欄に記⼊して下さい。


(ⅰ)侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する文化庁当初案(添付1~3参照)について、どのように考えますか。①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。

回答:②違法となる対象が広い(文化庁当初案よりも違法化の対象を絞りこむべき)

(ⅲ)(ⅰ)で②を選択した場合、どのような要件にすべきと考えますか、理由とともに記入して下さい。その際、「深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じること」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」の2つの要請のバランスに留意しつつ、記入をお願いします。

2.(1)(ⅰ〜ⅶ)を➀とした理由は、「(違法か否か)判断が難しいものが多い」というより、権利者以外には違法か否かを判断「できない」ものが圧倒的であるため。まったく同じファイルが、許諾されている⼈によるアップロードなら合法、許諾されていない⼈によるアップロードなら違法となる。誰が許諾されているかは、権利者以外にはわからない。権利者⾃⾝でさえ、たとえば「出版権を設定したら著作者⾃⾝でも本来は無断で複製利⽤できない」といったことを⾒落す場合がある。⽂化庁案の「主観要件」では、著作権法をちゃんと理解している真⾯⽬な⼈ほど萎縮するため、理解していないほうが良いという本末転倒が起きてしまう。

また、2.(1)(ⅶ)を➀とした理由として、たとえば不起訴処分になった「無限アラート事件」や、地裁で無罪判決が出た「コインハイブ事件」など、警察や検察が⽴法時の意図を踏み超えたような判断での取締りを⾏うケースが実際に続出しており、本件でも「不当に拡⼤される可能性」は強く懸念される点も指摘しておく。

とはいえ、実効的な対策は必要だ。それを講じるためには、以下のような要件追加による違法範囲の絞り込みが妥当と思われる。

・違法なのは、権利者の利益が不当に害される場合に限定すること
・違法なのは、原作のまままるごと複製する⾏為を対象とすること(バラバラになっているものを複数つなぎあわせたら「まるごと」になるような場合も該当する)
・刑事罰は、くり返し複製する「反復」⾏為のみを対象とすること

3.その他


(1)侵害コンテンツのダウンロード違法化に関して、上記のほかに御意見があれば、記入して下さい。


録⾳録画のダウンロード違法化時と同様、しばらくは刑事罰化せず⺠事のみとしてはどうか。

(2)リーチサイト対策に関して御意⾒があれば、記⼊して下さい。


サイト運営者・アプリ提供者に対する規制内容が「⾮親告罪」であることを強く懸念する。「原作のまま」や「権利者の利益が不当に害される」場合に限るといった絞り込みが、リーチサイト規制には盛り込まれていないため、⾮常に広い範囲が対象になってしまう。

なお、リーチサイト規制が⾮親告罪か否かは、添付の⽂化庁案「⾃⺠党・公明党条⽂審査資料(平成31年2⽉22⽇)」で初めて公にされたと認識している(騒ぎになってリークはされていたが、公式にはこれが初出ではないか︖)。その⼿前の段階である、⽂化審議会著作権分科会 法制・基本問題⼩委員会報告書に、リーチサイト規制を⾮親告罪とするという記述は⾒つけられなかった。そのため、ここについて充分に議論したのか疑問が残る。

(3)その他、海賊版対策全般に関して御意⾒があれば、記⼊して下さい。


⽂化審議会著作権分科会 法制・基本問題⼩委員会で、実際の法⽂案を元にした議論が⾏われていないのは問題だ。⾔葉の選び⽅ひとつで、法解釈も変わる。⾔葉がひとつ有るか無いかだけでも、⼤きく意味が変わる。最後の詰めは、丁寧にやって欲しい。

そもそも海賊版対策で最も重要なのは、「ダウンロードするユーザー側を罪とすること」ではないはずだ。まずなによりアップロードするやつが悪いわけだから、違法アップロード⾏為を取り締まりやすくすることが最優先ではないのか。たとえアップロードが⽇本国外に設置されたサーバーに対し⾏われていたとしても、対象が⽇本のユーザーである以上、ダウンロードするデータ量が増えれば、クラウドフレア社やアカマイ社のようなCDN(Content Delivery Network)サービスを⽇本国内で利⽤せざるを得ない。そこに対する差し⽌め請求の仮処分や情報開⽰請求が⾏いやすくする法改正をまず急ぐのが筋だと考える。

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