「日本BS放送が理論社と国土社を子会社化」「リクルートの電子書店ポンパレeブックストアがサービス終了へ」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #305(2018年1月8日~14日)

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 先週は「日本BS放送が理論社と国土社を子会社化」「リクルートの電子書店ポンパレeブックストアがサービス終了へ」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年1月8日~14日分です。

新しい「NDLオンライン」は「デジタル開架」をめざすのか?〈JEPA|日本電子出版協会(2018年1月8日)〉

 知らなかった! 「国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)」が2017年12月で運用終了、1月から「国立国会図書館検索・申込オンラインサービス(NDL ONLINE)」の運用が開始されたとのこと。デジタル資料の表示がわかりやすくなっているようです。

リーチサイト運営者ら起訴内容認める 大阪地裁で初公判〈日本経済新聞(2018年1月9日)〉

 「はるか夢の址」続報。起訴状によると「著作権者に無断でコピーした漫画(略)のデータをネット上に公開。同時に、運営するリーチサイト上に公開先のリンク(URL)を掲載し、不特定多数が閲覧できるようにした」とのことで、やはりリーチサイトの運営そのものというより、自らデータを公開していた事実があった(そしてそれを認めた)ということのようです。

「子どもの読書離れ」は本当? 「実はもっと読んでる」の背景〈ITmedia ビジネスオンライン(2018年1月9日)〉

 当ブログでは前から言っている「小中学生は昔より本を読んでいる」件について。朝の読書活動「朝読」がそれを牽引しているようで、5分~10分で読めるショートショート本シリーズが売上を伸ばしているとのこと。

日販、年末年始7日間のPOS店売上げ5.2%減に〈新文化(2018年1月9日)〉

 2016年年末から2017年年始の6日間は前年比1.4%増で、大晦日特別発売に全体を3.8%押し上げる効果がありました(当時の記事)。ところが、2017年年末から2018年年始の7日間は5.2%減。「コミック」の17.8%減が大きく響いているようです。

2017年総括と2018年の展望:雑誌市場縮小・出版物輸送危機の中で、書店の将来を考えるときに必要なこと〈ほんのひきだし(2018年1月9日)〉

 文化通信社星野渉氏による出版業界2017年総括と2018年展望。雑誌の売上減少に伴う出版輸送危機は、むしろ書籍の流通取引構造の変革を意味する、という指摘は重要。ほかにはアマゾンの取次バックオーダー停止と直接取引拡大、紀伊國屋書店の買切直仕入などを取り上げています。アメリカの独立系書店がちゃんとやっていけているのは、粗利率の高さだという指摘も。昨年8月に行われた「アメリカで独立系書店が元気な理由」というフォーラムの実況投稿を再掲。

リクルートの電子書籍ストアがサービス終了、他ストアへ引き継ぎも一部会員は難民化?〈INTERNET Watch(2018年1月11日)〉

 リクルートの電子書店「ポンパレeブックストア」は2013年11月のオープン。裏方はメディアドゥです。当時のまとめを振り返ってみたら「武器商人だけが儲かっている」と書いてました。我ながら辛辣。なお、引き継ぎストアの「スマートブックストア」は2012年12月に開設された電子書店で、当初はソフトバンクモバイルとメディアドゥの協業、2015年7月からはメディアドゥ直営になっています。同じシステムだから引き継ぎが容易、ということなのでしょう。PC非対応で一部会員が難民化というのは、事実ではあるけどスマートフォンの普及率考えたら煽りすぎ。

出版取り次ぎ「もう限界」 一晩で配送55店、積み荷は激減〈朝日新聞デジタル(2018年1月12日)〉

 出版物流の窮状を伝える記事。トラックの荷台は3分の1しか埋まっておらず、配送先を増やすのも限界という状況。前掲の文化通信社星野渉氏による記事を裏付けるような内容です。なお、「取り次ぎ」と表記をするのは新聞ルール。共同通信「記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集」には「取次店」とか「取次専門業者」みたいに、後ろに経済関係語が付いて複合語になる場合のみ送り仮名を省くとあります。

記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集

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日本BS放送、児童書出版の老舗2社を買収 出版事業拡大へ〈M&A Times(2018年1月12日)〉

 日本BS放送の「株式会社理論社及び株式会社国土社の株式取得(連結子会社化)について(PDF)」というプレスリリースを確認してみましたが、この記事の内容はほとんどプレスリリースそのままでした。「絵本、読み物、学習物といった児童書は、出版業界の厳しい環境の中でも堅調なジャンル」なのは間違いないのですが、「理論社及び国土社は、児童書に特化することで安定的な業績、数多くの優良コンテンツと多くの愛読者を擁している」というのは、どうなのか。Wikipediaによると理論社は2010年に民事再生法の適用を申請し、日本BS放送が100%子会社を設立して事業譲渡しています(当時のリリース)。国土社も2015年に会社更生法の適用を申請しています。安定的な業績って?

Facebook、友人家族の投稿を増やし、ニュースや企業コンテンツを減らす方向性を発表〈THE BRIDGE(2018年1月12日)〉

 企業やメディアの投稿を減らし、友人や家族の投稿を優先させるという方針を明らかに。すでに「Facebookページ」の投稿出現度は体感できるレベルで下がっていて、昨年10月には広告を出さないページの投稿をメインフィードから追いやるテストまで始めているという報道もあったので、既定路線ではあります。にも関わらず、この方針発表を受け、Facebookの株価は一時5.5%安と急落しているそうです。

Amazon Kindleパブリッシング・ガイドライン バージョン 2018.1〈アマゾン(2018年1月12日?)〉

 毎年年始に改定されているKindleパブリッシング・ガイドライン。最近は冒頭に改定履歴が付くようになったので、以前に比べるとなにが変わったかがわかりやすいです。今回大きく変わったのは、マーケティング用表紙画像のファイルサイズ制限が5MBから50MBになったこと。JPEGまたはPNG画像で50MBって、そのままポスターに使えるくらい高解像度。デバイスの進化を見越してだと思いますが、さすがにちょっと大きすぎるのでは。

「最強のマンガ守護者は法律でも技術でもなく…」福井健策弁護士に聞く海賊版サイト問題〈ハフポスト(2018年1月13日)〉

 福井健策先生による著作権法解説。「海賊版のマンガを見る行為自体は通常は違法ではありません」なのですよね。適法である私的使用の範疇。ダウンロードが違法なのは音楽と映画のみ。だから、少し前にタダ読みサイトに対し「普通に考えてド☆違法だよ」と糾弾するマンガがバズってましたが、利用することまで含めてしまっていたので紹介しづらいなーと思っていました。


1月27日(土)14時から、SF作家 藤井太洋氏と元S-Fマガジン編集長 今岡清氏によるトークイベント「AIが書いた小説は面白い?」を開催。主催はNPO法人日本独立作家同盟です。詳細は公式サイトにて。


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