「JEPA電子出版アワード大賞は絵本ナビ」「漫画海賊サイトからの賠償金を作家へ分配」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #303(2017年12月18日~24日)

BOOK☆WALKER

 先週は「JEPA電子出版アワード大賞は絵本ナビ」「漫画海賊サイトからの賠償金を作家へ分配」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年12月18日~24日分です。

2017年JEPA電子出版アワード、大賞は「絵本ナビ」 リセマム(2917年12月20日)

 私も選考委員をやっている、JEPA電子出版アワード。デジタル・インフラ賞は「TIMEMAP」、エクセレントサービス賞は山と渓谷社「図鑑.jp」、スーパー・コンテンツ賞は「東洋経済オンライン」、チャレンジ・マインド賞は「絵本ナビ」、エキサイティング・ツール賞は「ジャンプPAINT」。以上の中から選ばれた電子出版アワードは「絵本ナビ」でした。パネルディスカッション資料はこちらです。

「Google Chrome」、2月15日から不適切広告のブロックを開始 CNET Japan(2017年12月20日)

 Google Chromeのシェアは50%超えているので、かなり影響が大きそうです。ウェブ担当者は対応に追われそう。不適切とされるのは「ポップアップ広告、タイマーのカウントダウンが終わるまでウェブコンテンツが表示されない広告、画面の30%以上を覆い隠す固定表示の広告、音声付きで自動再生される動画広告など」です。あれ? YouTube にカウントダウンが終わるまで再生できない広告があるような……? 他の大手メディアでもこういう広告、バンバン表示されていますよね。

著者みずから渋谷駅前交差点で本を手売り─!?某有名書店員:新井見枝香さんの挑戦 ブクログ通信(2017年12月21日)

 手売り最強!

ドワンゴ、川上量生氏が会長を退任 ITmedia ビジネスオンライン(2017年12月21日)

 あくまでドワンゴの会長退任であって、カドカワ(KADOKAWAにあらず)の社長はそのままです。ドワンゴの代表権のない取締役CTOに就任するということで、まずはニコニコ動画の技術的な立て直しを図るということになるのでしょう。あれ、ニコニコ動画開発総指揮の戀塚昭彦氏はどうなってるんだろう?

「メディバン」と「メディバンマンガ」に電子書籍配信ソリューションの提供を開始 株式会社メディアドゥホールディングス (2017年12月21日)

 「メディバン」に投稿された作品の外部配信ではなく、「メディバン」と「メディバンマンガ」に対し商業出版のコンテンツを配信する、というリリース。ストアのラインアップを充実させることにより、投稿ユーザーではなくまず購入ユーザーを増やすことで、結果、投稿作品の露出や販売促進にも繋がる、という判断なのでしょう。まあ、Kindleダイレクト・パブリッシングなど総合書店型のセルブズパブリッシング・プラットフォームはみんなそういう形ですもんね。「DLmarket」がAll Aboutグループに入ったのち、商業出版物もラインアップに加えるようになったのを思い出しました。

KADOKAWA『同人作家のための確定申告ガイドブック』めぐり謝罪 編集ミスのある本が出回る ねとらぼ(2017年12月22日)

 印刷のミスではなく、編集のミス。決定稿の状態から編集者が InDesign データを触ってしまい、図版が本文にめりこんでしまうような状態のまま印刷されてしまったとのこと。原稿に無断で手を加えてしまう編集者、たまにいると聞きます。くわばらくわばら。しかし、こういう事故が出版社によるお詫びより前に、即座に Twitter で拡散されてしまうというのは、いまの時代を象徴しているなあという感じが。

「BOOK☆WALKER」のWindows/Macアプリが開発終了、今後はWebビューワーの開発に専念 窓の杜(2017年12月22日)

 1カ月ほど前に深刻度高めの脆弱性対策が行われたばかり。お疲れさまでした。実際のところ私はどの電子書店のPCビューアも滅多に使わないのですが、Android版やiOS版アプリに比べると機能が劣っている場合も多いです。アップデートしたりメンテナンスしたりするコストや、連続スクリーンショットで海賊版を生み出す温床になっているという話もあるので、いたしかたないのかなという感じが。

いつも未来に驚かされていたい:『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ WIRED.jp(2017年12月22日)

 年4回刊行されていた『WIRED』プリント版が12月発売のVOL.30を最後に休止。理由は、編集長の若林恵氏が退任するから。「例によって短気をおこした」とあり、喧嘩した模様。お別れのあいさつは全文、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにて公開されています。

漫画海賊サイトを追い詰めた松文館の執念 損害賠償金は作家へ分配 「やる価値は十分にあった」 ねとらぼ(2017年12月23日)

 まさに執念。ちゃんと著者へ分配するところが偉い。なお、反響で「正規のダウンロード印税より(海賊サイトから得た)その分配金の方が高額だった」ことについてあれこれ言われていますが、これは決して正規の印税が少ないからではなく、損害賠償の算定方式が「ダウンロードされた数×定価」だからだと思いますよ。別途、詳しく書く予定。


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