「Googleブックスがフェアユースと確定」「楽天マンガ」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #217(2016年4月18日~24日)

Nexus 7のBOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Googleブックスがフェアユースと確定」「楽天マンガ」などが話題になっていました。

【広角レンズ】「街の本屋」復権へ カリスマ書店員の挑戦(1/4ページ) – 産経ニュース ※2016年4月18日

カリスマ書店員の独立開業や、選書支援、出版社との直接取引といった動きについて。「従来型の書店は、回転率の早い漫画や雑誌、一部のベストセラーが販売の柱となり、出版取次業者が決めた配本に頼って経営できた」とありますが、市場全体が伸びているときは、どの業界も似たような状況だったのでしょうね。

米最高裁、Googleブックスの書籍スキャンを公正使用と認定 | TechCrunch Japan ※2016年4月19日

まとめ記事を書きました。しかしこのTechCrunch Japanの記事、フェアユース(fair use)を「公正使用」と訳しているのが引っかかります。日本の著作権法では、本を読んだり音楽を聴いたりといった行為は「使用」、原則として著作者の許可が必要な行為は「利用」としているので、「公正利用」と訳したほうがいいのでは。

DeNA、「マンガボックス」が1000万ダウンロード–米国や中国からのアクセスも – CNET Japan ※2016年4月19日

無料でマンガが読めるアプリ「マンガボックス」が、1000万ダウンロード突破。ちなみに「comico」は2月2日時点のプレスリリースで、1200万ダウンロード突破しています。ちょっと差がついた感。

Fujisan.co.jp、未購入の雑誌本文を検索できる「マガサーチ」 -INTERNET Watch ※2016年4月19日

オプティム「タブホ」に続き、「Fujisan.co.jp」も雑誌の横断検索を提供開始。オプティムは「画像ファイルで提供されている記事についてもオプティムの独自技術でインデックス化」というびっくり機能を提供していますが、「Fujisan.co.jp」にはそこまでの機能はないようです。ただし、オプティムは昨年6月時点で180誌が対象、Fujisan.co.jpは4000誌が対象と、数に大きな差があります。なお、一般書籍の横断検索には、「Googleブックス」「Kindleストア」「BOOK☆WALKER」などが対応しています。

米Amazon、電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」、報酬獲得を狙うスパム作品が急増中 – hon.jp DayWatch ※2016年4月19日

「3,000ページ目に粗品プレゼント情報を掲載」と読者をゴミ作品にも関わらず3,000ページ先までページフリップで進ませ、その3,000ページのロイヤリティ報酬をAmazon側から得るという技法。

なんというか、国立国会図書館への納本代償金制度をハックした「亞書」のような話。悪意をもってルールの抜け道を探そうとする人が現れるので、ルールメイクは大変です。

株式会社メディアドゥ、米国OverDrive社と提携して実施している日本のデジタルコンテンツの海外電子図書館への配信について、配信館数が100館を突破 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年4月19日

これまでの経緯と現状についてまとめて記事にしました。これが数千館、数万館となってくるとようやく、出版社の目の色が変わるのでしょうね。いまのうちにやっておくと、先行者利益が得られると思うのですが。

電子書籍サイト、無料イラスト制作ソフトを展開するMediBang(メディバン)が総額3億円を資金調達 – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ) ※2016年4月19日

ビジネスモデルがいまだに見えないのですが、3億円追加で資金調達とは凄い。さすがGMOクリック証券会長、というべきなのでしょうか。

楽天、電子マンガ専門サイト きょうから、若者取り込みへ9万作 :日本経済新聞 ※2016年4月20日

「楽天Kobo」とは完全に別の電子書店を始めた理由という記事を書きました。プレスリリースに「楽天マンガ」は携帯キャリア決済に対応と書いてあるのですが、楽天Koboは携帯キャリア決済未対応という違いを、自分の記事で書くのを忘れていました。なにげに「Kindleストア」も未対応なのですよね。

携帯キャリア決済+月額課金方式というのは、フィーチャーフォン時代によく用いられていた手法(au「ブックパス」やNTTソルマーレ「コミックシーモア」は、いまでもやっています)。ほぼ同じタイミングで、ニフティがソニー「Reader Store」と組んで月額プランを始めたというのが興味深い。

本好きが集まる新種の書店、成功のカギは? – WSJ ※2016年4月21日

新種の書店、成功のカギは「エスプレッソ・ブックマシン」だ、という記事。ほんとかなあ? とちょっと眉に唾。アメリカのプリントオンデマンドは、出版流通大手INGRAM CONTENT Groupの子会社である、ライトニングソース社が伸びているという話を聞いていました。

注文を受けてから印刷製本するのではなく、少部数を在庫として持ち、Amazon POD、系列書店、契約出版社、そして個人からの注文を受けたら即発送するという、「擬似PODストア」的なモデル。インプレスR&Dがこれを参考に、日本で同様のモデルを展開しています。

【新文化】 – 電子書籍端末「Lideo(リディオ)」、販売終了へ ※2016年4月21日

\完売/

いや、Amazonにはまだ新品在庫があるので、家電量販店には残ってるかな?

デジタル教科書解禁へ 文科省、20年度の導入めざす:朝日新聞デジタル ※2016年4月22日

文部科学省方針。端末は数年で劣化してしまうので、デジタル教科書そのものはOSの進化などに耐えうる規格になっていることが必要条件。国際標準のオープン規格「EDUPUB」改め「EPUB for Education」が採用されるのかどうか。

アップル、中国で配信中止 電子書籍と映画、当局が命令か (1/2ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ) ※2016年4月23日

いわゆる「チャイナリスク」に、アップルがはまってしまったようです。しかし、いきなりサービス停止命令とは。

著作権者不明の場合の裁定制度~みつからないときの詩~

文化庁長官が、はっちゃけております。宮田亮平さん、金属工芸家なんですね。


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