「KADOKAWAとHachetteが合弁会社設立」「史上最高値のKindle端末」「AI創作物の権利保護方針」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #216(2016年4月11日~17日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「KADOKAWAとHachetteが合弁会社設立」「史上最高値のKindle端末」「AI創作物の権利保護方針」などが話題になっていました。

日本マンガの英語出版事業買収 KADOKAWA、米大手から  :日本経済新聞 ※2016年4月11日

合弁会社を設立して株式の51%を取得するとのこと。それ「買収」なのか? という疑問が。ちなみに時事通信は素直に「米出版大手と合弁」というタイトルになっていました。なお、クランチロールにはテレビ東京が出資していたり、出版社では講談社が2013年に翻訳マンガ配信を始めていたりと、他社のが先行しています。

ASCII.jp:三井住友海上、社員教育のための「電子図書館」創設 ※2016年4月12日

京セラ丸善の「BookLooper」は主に大学図書館向けに提供されている電子図書館サービスですが、企業向けでは2013年に三菱東京UFJ銀行への提供事例などがあります。他社ではOverDrive JAPANが、昨年から楽天向けに電子図書館サービスの提供を始めていますね。じわじわと広がっている感じ。

【2016年本屋大賞】宮下奈都氏、初版6500部から大賞へ「奇跡」 | ORICON STYLE ※2016年4月12日

おめでとうございます。初版6500部からの大賞というのが、夢がありますね。ひさびさに電子版の配信状況を調べてみましたが、本屋大賞ノミネート作は全配信でした(翻訳大賞ノミネート作は2点未配信)。新しい本は電子版が出ているのが当たり前の状態になったということですよね。素直に嬉しい。

Amazon、小型「Kindle Oasis」登場 重さ131グラム、極薄3.4ミリ (1/2) – ITmedia ニュース ※2016年4月13日

3万5980円と史上最高値。思わず「誰が買うの?」という記事を書いてしまいました。そのうち Voyage をプライム会員向けに安く売り始めるんじゃないかなあ。

毎週1冊しか扱わない書店 客足絶えず開店1年目から黒字│NEWSポストセブン ※2016年4月13日

面白い試み。「営業利益ベースでは黒字」とのことなので、自分の人件費もちゃんと購えているということなのでしょう。ただ、銀座みたいに人が多いところじゃないと、このやり方は無理でしょうけどね。事例が特異すぎる。

トーハン、電子書籍サイト「Digital e-hon」で電子雑誌の定期購読スタート、2号以上継続した購読者には割引 – hon.jp DayWatch ※2016年4月14日

気になる動きの1つとしてピックアップ。電子雑誌の定期購読みたいなサービスを、取次大手のトーハンがユーザーへ直接提供するというのは、リアル書店の立場ではどう感じるんだろう?

楽天グループの加Kobo、個人作家向け電子書籍出版サービス「Kobo Writing Life」でサービス提携ベンダーを大量追加、表紙デザイン代行社など – hon.jp DayWatch ※2016年4月14日

カナダの話ですが、気になるのでピックアップ。提携でサービスメニューを増やすという動き、日本にも波及するかな?

「エレン・ベーカー先生」二次創作、東京書籍が「許諾申請」を求める見解公表 – 弁護士ドットコム ※2016年4月14日

英語教科書エレン先生、二次創作はOK? 「余計なことするな」炎上 – withnews(ウィズニュース) ※2016年4月14日

「許諾申請は教科書著作権協会に」という公式見解。弁護士ドットコムにもウィズニュースにも、性的な二次創作に関する苦情が寄せられていることに触れられており、教科書出版の企業としてはこうせざるを得ないだろうという感じ。取り締まりたいというより、親からの苦情を抑えたい、というような。

しかし、あっという間に海外のサイトでもこういうまとめができてしまうというのが、いまさらながら「凄い時代になったなー」と思います。

人工知能作品に「著作権」 音楽や小説など、政府知財本部方針  :日本経済新聞 ※2016年4月15日

政府知的財産戦略本部の、非常に気になる動き。

具体的には著作権に代えて、商標のようにAI創作物の権利を保護する新たな登録制度を設けたり、不正競争防止法改正などで無断利用を禁じたりすることを検討する。

タイトルがミスリードを誘ってますが、要するに「著作権」とは違った形の制度を用意する、ということなのですね。それならまだわかる。しかし、こっちも気になる。

既存の多数の作品の特徴を抽出してAIが創作に生かす場合、基となる作品の権利者に許可を取らなくても済むような著作権法改正を検討する。

米国企業が「フェアユース」で既にガンガン進めている部分を、早めに手当てしようということなのでしょう。検索エンジンの二の舞を避けたい政府の思惑が透けて見えますが、AIが人より優れた創作物を生み出すようになる未来も見えて、複雑な心境。ただ、これはもはや止められない未来でもあるのでしょうけど。

中国:電子書籍読者は2.96億人、モバイル端末利用者の52.2%に拡大 | newsclip (ニュース、ASEAN、その他のニュース) ※2016年4月17日

年間売上約7兆4300億円という市場規模もすごいけど、それでもまだ新聞・出版業界の売上高の20.5%というのが。桁違いすぎる。利用率もモバイルユーザーの過半数と、日本とは比べものにならない状態。どうしてこんなに差があるんだろう?


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