「電通 2015年 日本の広告費発表」「電子書籍利用率横ばい?」「読書しない大学生過去最高の45%?」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #209(2016年2月22日~28日)

Nexus 7の楽天Kobo

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「電通 2015年 日本の広告費発表」「電子書籍利用率横ばい?」「読書しない大学生過去最高の45%?」などが話題になっていました。

長野)松本の郷土出版社、40年の歴史に幕:朝日新聞デジタル ※2016年2月22日

実態がどうなのか関係なく「本が売れない全国的な出版不況の中」「若者の本離れも加速の一途」「出版不況の風が弱まる気配はなく」という言葉が定型句みたいに出てくる記事。90年代末に4億円の負債を抱えていて、それを1千万円まで減らせたんだから、たいしたもんだと思うのですが。

Facebook、「インスタント記事」を4月から全メディア媒体社に公開 -INTERNET Watch ※2016年2月22日

リリースを参照したら「媒体社の方々は規模、国や地域を問わずインスタント記事をFacebook上で配信いただけるようになります」とあり、個人でも利用可能なのかどうかが興味津々。Quickstart Guide(英語)などを調べてみたのですが、はっきりしたことは分からず。もし可能なら、Yahoo!個人ニュースやnoteあたりとかち合うことになるでしょう。

ちなみに実際のInstant Articlesはこんな感じです。モバイルで見ると、サムネイルの右上に雷マークが表示されてますね。表示、超早い。

2015年 日本の広告費 – ニュースリリース一覧 – ニュース – 電通 ※2016年2月23日

出版に関わる数字だけピックアップすると、雑誌広告費:2,443億円(前年比97.7%)、インターネット広告媒体費:9,194億円(同111.5%)。インターネット広告媒体費は今年も同じ伸び率ならいよいよ1兆円を超えます。

電通報に解説記事が出ていましたが、「そもそも、インターネットはメディアなのか。メディアではなくコミュニケーションの手段ではないのか」と書いてあって混乱。メディアの定義って何? 「箸袋だってメディアだ」というのは、広告業界の発想だったはずなんだけどなあ。

【新文化】 – 講談社、減収減益の決算 ※2016年2月24日

売上は前年比1.9%減程度なのに、当期純利益が47.2%減と大幅ダウン。なにが要因なんだろう?

加Rakuten Kobo社、1月好調で全世界のユーザー数は2,600万人 – hon.jp DayWatch ※2016年2月24日

一昨年同時期の発表では1800万人でした。「ユーザー数」の定義が知りたい。単純にアカウント数なのか、1度でもログインした数(楽天会員はこのカウントで7800万人)なのか、MAUなのか。

電子書籍利用率、無料コンテンツは22.9%、有料コンテンツは16.5%、昨年と横ばい – 2016年電子書籍および紙書籍に関する調査|MMD研究所 ※2016年2月25日

利用率、誤差の範疇程度しか変わっていません。回答者属性を見る限り、男女比・年齢構成・居住地などはしっかりしてます。ただ設問が「電子書籍ストアから電子書籍を購入した本を読んだことはありますか?」なので、ストアとみなされていないであろう「マンガボックス」「comico」などは恐らく利用率に入っていないものと思われます。紙・電子書籍の両方で読書している人の25.7%が「電子書籍のほうが多い」と回答してるって、結構割合多くないか?

Amazon、中国で電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」を急きょ開始 – hon.jp DayWatch ※2016年2月25日

日本でなかなか始まらない「Kindle Unlimited」が、中国で先に開始。日本はいつになるんだろ?

【新文化】 – 太洋社、厳しい進捗状況を報告 ※2016年2月22日

【新文化】 – 芳林堂書店、負債20億円で破産 ※2016年2月26日

これは2本まとめてピックアップしておくべきでしょう。1本目の太洋社自主廃業の記事で「書店売掛金の回収については、約12億円の売掛金がある書店で大きな焦げつきが出る模様」とあるのが、芳林堂書店の件です。

ちなみに外商部事業は別会社へ分割。儲かってるからでしょうか? 書店事業はアニメイト子会社の書泉へ譲渡ですが、予定日の8月26日まではそのまま店舗運営を続けるそうです。

芳林堂も破産、書店閉店が止まらない日本–書店復活の米国との違いとは? – CNET Japan ※2016年2月26日

芳林堂書店破産の一報が流れた直後に公開された記事。冒頭に急遽差し込んだと思われる文章が、ライブ感あります。日本の書店数は減ってるけど床面積は増え続けていた(最近は横ばい)とか、米国は独立系書店が復活傾向にある、という話。収益性比較とか、興味深いです。

アニメ化効果は最大6.5倍!2016年冬アニメの原作コミック売上ランキングベスト5 | ほんのひきだし ※2016年2月26日

日販「ほんのひきだし」による面白い分析記事。メディアミックス展開がどれほど効果的か、よく分かりますねアニメ業界に収益がもうちょい還元されるようになるといいのですが。

鴻海テリー・ゴウが描くシャープの「使い道」:日経ビジネスオンライン ※2016年2月26日

注視しておきたい大きな動きの一つとしてピックアップ。要するに、シャープが鴻海傘下になったら「GALAPAGOS STORE」はどうなるのか? B向けの「EBLIEVA」事業はどうなるのか? という心配です。儲かってるなら切り捨てられることはないのでしょうけど。

読書しない大学生は45% 過去最高 NHKニュース ※2016年2月28日

これ「若者の本離れ」的な文脈で引用する人が必ず現れると思いますが、「読書」にどこまで含まれるかの定義が不明。しばしば漫画や電子書籍は除外されます。

ちなみに、記事と全国大学生活協同組合連合会のリリースと見比べるといろいろ考えさせられます。NHKの記事は「読書時間」「スマートフォンの利用時間」「夏の参議院選挙」しか取り上げていませんが、生協の調査は学生の経済状況が苦しくなっている件などが前段にあります。大学進学率は2004年と比べると6.6ポイントくらい増えているので、その辺りも影響あるのかな。


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