「BOOK☆WALKER横断検索機能正式公開」「『火花』電子版が7万5000ダウンロード突破」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #179(2015年7月27日~8月2日)

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「BOOK☆WALKER横断検索機能正式公開」「『火花』電子版が7万5000ダウンロード突破」などが話題になっていました。

紙書籍の購入で電子版を無料ダウンロードできる「プラス電書フェア」開催 – ITmedia eBook USER ※2015年7月27日

「プラス電書」がどういうものなのか、この記事だと分かりづらいなーと思い、リリースをよく読んだら「ネット書店で紙の本を買うと、その電子書店で電子書籍が無料でダウンロードできるフェア」と書いてある(太字は鷹野が追加)。

以前は通信販売含めどこの書店で紙版を購入しても、提携している複数の電子書店で電子版が貰えるサービスなのが特徴だったはずなんですが、どういうこと? 紀伊國屋書店、BookLive!、BOOKSMARTの名前も消えてる。ジュンク堂池袋本店1階フェア会場以外で紙の本買った場合はどうなるの? うーん、もう少しちゃんと説明して欲しい。

作家団体と書店組合が対アマゾンで手を取り合う « マガジン航[kɔː] ※2015年7月28日

冒頭の「やっぱりやるのね、あなたたちは」が、大原ケイさんの声で脳内再生されました。米司法省が5年前にAppleと大手出版社5社を反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴したとき調査依頼をしたのがAmazonだったということで、今回の件を「当然のしっぺ返し」と見ている方もいる様子。なお、Appleは控訴審でも敗訴しましたが、恐らく上告するものと思われます。

「今の取材体制を維持するためにこそ、デジタルでのマネタイズが不可欠」~「週刊文春」編集長・新谷学氏インタビュー~ (1/2) ※2015年7月28日

ドワンゴと「週刊文春デジタル」を立ち上げたり、スクープ動画を公開したり、一般読者から情報提供を呼びかける「文春リークス」を始めるなど、新しいことにチャレンジし続けている「週刊文春」編集長の新谷学氏インタビュー。編集部、60人もいるんですね。「リスクを恐れずに“都合の悪い情報”を発信するメディアは必要」という矜持は立派。

電子書店「たびのたね」 ついに47都道府県を網羅 – ITmedia eBook USER ※2015年7月29日

全国制覇おめでとうございます。次は世界制覇だ!

パピレスとGYAO、“次世代”の電子書籍を制作する合弁会社を設立 – CNET Japan ※2015年7月28日

「コミックシアター」や「絵ノベル」といった、いわゆるリッチコンテンツ制作のために手を組んだ、ということでしょう。「デジタルならではの特性を持った次世代のコンテンツ」を志向したいのは分かるんですが、それはもう「書籍」ではないような。一本道のビジュアルノベルゲーム(「ひぐらしのなくことに」みたいな)と同じですよね。次のページへ進む操作が必要な分、動画より面倒、かも。フォーマットはどうするのか? ビューワは? 独自開発? うーん、どうなることやら。

BOOK☆WALKERの「横断検索」機能が正式公開? – ITmedia eBook USER ※2015年7月29日

記事が先に出て(13時30分更新)、リリースが後追いになる(18時19分)という、ちょっと珍しいパターン。ともあれこれで、未購入の書籍でも中身を横断検索できる仕組みが正式リリースされました。対応出版社がもっと増えるといいなあ。Googleトレンドで上位のキーワードを自動チェックして、このキーワードではこんな本がみたいな結果を表示すると面白いかも。

月刊「宝島」、10月号で休刊…「役割終えた」 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2015年7月29日

お疲れ様でした。

学校独自の電子書店開設をサポートする「学校書店.com」、デモサイトがオープン – ITmedia eBook USER ※2015年7月29日

お? と思ったのが「電子書籍の閲覧にはReadiumやファイルサイドロードできるアプリが想定されているようだ」という一文。つまりこれ、DRMフリーでの販売を前提としているってことですよね。その分、安価に提供できるということでもあるとは思うのですが。興味深い。

無料マンガサービス利用率、スマホがPCの2倍、インプレス「電子書籍ビジネス調査報告書2015」 -INTERNET Watch ※2015年7月29日

去年まではサンプル版PDFが付いていたのですが、今年はなし。残念、ぐぬぬ。電子書店別の利用動向ではなく、マンガアプリの情報だけが公開されています。その代わり、というわけでもないでしょうけど、2014年版が国立国会図書館に入庫してますね。今度見に行こう。

「火花」が電子書籍でもバカ売れする意味 | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ※2015年7月29日

紙が144万部に対し、電子書籍が7万5000ダウンロード。「たった5%か……」という声が聞こえてきましたが、紙は発行部数、電子は実売ベースです。しかも、電子取次を使って配本していると情報がリアルタイムで把握できないので、恐らく出版社向けにツールを提供しているKindleストアと楽天Koboと、あとはせいぜい紀伊國屋書店(PubLineで電子版の情報も見られるらしい)あたりまでの数字だけを集計しているのではないかと想像。

『週マガ』の無料マンガアプリ「マガジンポケット」が登場、月額840円で本誌の定期購読も – ITmedia eBook USER ※2015年7月31日

「週刊少年マガジン」の無料マンガアプリが登場。なお、インプレス「電子書籍ビジネス調査報告書2015」によると、スマートフォンユーザーの利用率は「comico」が38.3%、「LINEマンガ」26.1%、「マンガボックス」19.3%、そして週マガのライバルである「少年ジャンプ+」は18.5%です。リワード広告によるブーストが問題視され、AppleやGoogleが規制し始めたいま、ダウンロード数を伸ばすのはわりと難しくなっているのではないかと想像しているのですが、どうなんでしょうか? 詳しい人。

電子出版時代の論客が徹底討論「凡庸なマンガ家の生存戦略」佐渡島庸平×鈴木みそ – エキレビ!(1/3) ※2015年7月31日

自分の団体の活動に関する話題ですが、せっかく記事にしていただいたのでピックアップ。佐渡島庸平さんと鈴木みそさんのトークイベントレポートです。

鈴木みそさんはトークイベントが終わったらすぐ、メルマガを始めました。「凡庸なマンガ家」とご自分では言いますが、この行動力は凄い。我々凡人も、雲の上の話だから「自分には関係ない」と思うか、「何か1つでも自分がやれることはないか」と貪欲になれるかが、1つの分水嶺だと思います。

出版状況クロニクル87(2015年7月1日~7月31日) – 出版・読書メモランダム ※2015年8月1日

毎月楽しみな、小田光雄さんの出版状況クロニクル。今回は、栗田の民事再生を中心とした、暗い話ばかり。

TPP、大筋合意見送り 対立解けずと関係者 :日本経済新聞 ※2015年8月1日

「保護期間延長」「非親告罪化」「法定賠償金制度」と、著作権関連ではアメリカの言いなりになっているかのような報道が続いていたTPPですが、今回も合意見送り。利害調整って、難しいですね。

ちなみに、ネットには配信されていないようですが、こんな事前報道もあった模様。

月末にもう1回交渉しましょうって話もあるようですが、どうなることやら。

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