「青空文庫の危機を救え!」「Facebookの出版社向けサービス始動」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #168(2015年5月11日~17日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「青空文庫の危機を救え!」「Facebookの出版社向けサービス始動」などが話題になっていました。

英国の印刷書籍は売上ダウン、電子書籍はアップ | TechCrunch Japan ※2015年5月12日

アメリカの印刷書籍売上は安定しているけど、イギリスはダウンしているという話。その代わりに電子書籍は増えているとなると、「やっぱりカニバリズムが起きるじゃないか」という声が強くなりそうです。ただ、イギリスの電子書籍市場って、Kindleのシェアが95%らしいのですよ。完全な独占市場。競争相手がいなければやりたい放題やれますから、印刷物の売上に悪影響があってもおかしくはないかな、という気がします。

短期連載:雑誌読み放題サービスを比較する――どれだけ読めるのか編 – ITmedia eBook USER ※2015年5月13日

手間のかかる比較記事。今回は台割ベースでがっつり比較。欲を言えば、ページ数と(広告)だけではなく、内容(見出し)も付けて欲しかった。省かれているページの内容、いちおう文章ではざっと説明されてますけどね。

デジタル教科書の位置付け、1年半にわたり検討 | リセマム ※2015年5月13日

「1年半も『検討』するのか……」とつぶやいたら、「1年半では足りないかもしれない」という指摘を入れられました。ううむ。日本のICT教育は諸外国に比べかなり遅れているのですが、こんなんで大丈夫なんだろうか?

スクウェア・エニックスHD、出版事業がメディアミックス効果で増収増益 「ばらかもん」「月刊少女野崎くん」など ※2015年5月13日

好調なようですね。これで『ハイスコアガール』問題がなければ、もっと収益上がってただろうに、と思わざるを得ない。

リニューアルのご挨拶 | OnDeck ※2015年5月14日

EPUBで毎週発行されていた「OnDeck weekly」がリニューアルして、ウェブマガジンになりました。「Webを使った電子出版のマーケティング」が次のミッションとのこと。頑張ってください。

青空文庫がアイデアソン開催、サーバー老朽化でエンジニアからのアイデアを募る -INTERNET Watch ※2015年5月14日

あっという間に席が埋まったそうで、インターネットパワーを再認識。どういう状況なのかは、下記のスライドをご参照ください。

青空文庫サーバの今と今後 from 啓佑 香月

あとは大久保ゆうさんのこのツイートがポイントかな。「DBには作業中のもの含めた資産がある」つまり、表に見えている青空文庫より、ボランティアが校正作業している履歴などのデータの方が恐らくでかい。

「電子図書館」進まぬ普及 : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2015年5月15日

要因として「貸し出し可能な電子書籍の少なさ」が真っ先に挙げられています。版元や著者が、電子書店で売れなくなることを恐れ、図書館での貸出を許諾してないケースがまだまだ多いものと思われます。紙本の貸与は非営利無料なら許諾不要(第38条2項)なので、版元や著者にはコントロールできないんですよね。イギリスみたいに「公共貸与権」による補償金制度を整備して、電子書籍も公共貸与権の対象にすれば一気に普及するかも?

【日本の議論】悪い図書館「究極の寄贈図書館は東京拘置所」…市民にとって“気持ちいい図書館”が本当に良いのか(1/4ページ) – 産経ニュース ※2015年5月16日

思わず「なんだこりゃ」と声が出た記事その1。2月2日に行われた「公共図書館はほんとうに本の敵?」という少々刺激的なタイトルのシンポジウムですが、行かれた方のレポートを読む限り比較的穏やかな内容だったという認識だったのですが。「悪い図書館」の話や東京拘置所の話をメインにして、タイトルにまで据えるのはどういうセンスなんだろう?

デジタル教科書 活字文化の衰退を招かないか : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)魚拓) ※2015年5月17日

思わず「なんだこりゃ」と声が出た記事その2。しかもこれ、天下の読売新聞社説ですよ。活版印刷は既に絶滅寸前ですが「活字文化の衰退」って何でしょう? 端末で本を読んだらダメなんですか? 紙に印刷してある文字と、画面に表示された文字と、何が違うんでしょう? 「鉛筆で文章を書くことの大切さ」って立証されてるんですか? ため息しか出ない。

カギは可処分時間 欧米メディア大手9社、Facebook上でコンテンツ収益化狙う #販促会議 | AdverTimes(アドタイ) ※2015年5月15日

記事へのリンクを貼って投稿しサイトへの誘導を図るのではなく、記事そのものをまるごとニュースフィードへ流す形にするようです。特にモバイルだと、いちいちタップして記事を開くという動作が面倒ですもんね。少し前にBuzzFeedのCEOが「リンクのシェアは時代遅れ。コンテンツを流せばチャンスが広がる」と言っていましたが、その流れに沿った施策と言えるでしょう。しかしこれ、ますますFacebookに囲い込まれる方向なわけで、ちょい怖い。

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