「KADOKAWAがアマゾンと紙本の直接取引開始」「comicoノベル始動」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #165(2015年4月20日~26日)

iPadのニコニコ静画(電子書籍)

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「KADOKAWAがアマゾンと紙本の直接取引開始」「comicoノベル始動」などが話題になっていました。

ネット時代に最も重要なのは、プロモーション能力だ – NewsPicks ※2015年4月20日

NewsPicks編集長の佐々木紀彦氏によるドワンゴ川上量生会長へのインタビュー。

誰でもクリエイターになってビジネスができるようになっても、コンテンツが増えすぎたら誰も買ってくれない。

そんな有象無象のフラットの中で、フラットじゃない特別な人をつくるというのが出版社、編集者の役割だと思います。

ネット時代の編集者で求められているものは、プロデュース能力ですよ。作家にプロデュース機能を提供できない人は、ネット時代に役に立たない。

対外的なメッセージというよりは、KADOKAWA社内へ向けた言葉、なのかも。

1年前から書籍再販制を導入したイスラエル、業界全体の売上が20%ダウンする非常事態に ※2015年4月21日

イスラエルの書籍再販制導入時のニュースを調べてみようと思ったのですが、日本語になったものが見つからず。どういう形での導入だったかは、詳細不明。恐らく導入前は自由価格だったのでしょうから、それが価格拘束されるとこれほどの悪影響が出るのか、という事例になるかと。くわばらくわばら。

小説・漫画のエンタメサイト「アルファポリス」に公式iOSアプリが登場 – ITmedia eBook USER ※2015年4月21日

いままでネイティブアプリなかったのか! という方向で驚いてしまいました。ダウンロードしてライセンス情報など確認してみましたけど、武器商人の痕跡は見つからず。自社開発? とりあえず、あくまでアプリは閲覧用で、投稿はWebから行う形のようです。

校正者の細かい「つっこみ」をどう思う? – 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト ※2015年4月22日

「村上さんにおりいって質問・相談したいこと」というコーナーで、思わず吹き出してしまった質問と回答。群雛で編集をやってる側としては、あるある過ぎて胸が痛い。

KADOKAWA、アマゾンと紙の本を直接取引 大手で初 :日本経済新聞 ※2015年4月22日

かなり周辺がざわざわしていたニュース。ただ、Amazonには「e託販売サービス」というのがあり、以前から直接取引している出版社は多かったはず。ニュースバリューとしては「大手で初」でしょうか。1年ほど前、KADOKAWAが所沢市に製作・物流拠点を置くというニュースがあったので、その流れで自然な成り行きかも。

それにしても、DNP(丸善ジュンク堂)と紀伊國屋書店の「出版流通イノベーションジャパン」も取次飛ばしを画策した動きですから、商品供給側と販売側にそっぽ向かれて問屋は大変だなあ、という感じ。

ところで、出版産業に関する統計って、「e託」みたいに取次経由していない数字をどれだけ把握しているのかしらん?

出版物への「軽減税率」適用求め提言 消費税10%想定、有識者会議 – 産経ニュース ※2015年4月22日

新聞社や出版社が軽減税率を求めるのは、別に悪いことじゃないと思うのですが、ちょっと気になることが。「書店やコンビニエンスストアで区分陳列されている成人向け雑誌などは対象に含まない方針」とあるのですけど、「成人向け」というのは業界団体(出版倫理協議会)による自主規制だから、そこで税負担が軽くなる/重くなるの線を引くと、おかしなことになる可能性があるような気がががが。

comicoは小説も変えていく――comico、ノベルカテゴリを新設 – ITmedia eBook USER ※2015年4月24日

先にアプリを見たらオーディションのことしか書いてなかったので「あれ? 方針変えた?」と思ったのですが、この記事によると「5月下旬にはノベル向けの「作品投稿機能」を公開予定」とのこと。マンガ同様、チャレンジ作品からのステップアップシステムも用意するようです。

「登場人物の台詞をフキダシ表示」というのは、Renta!の「絵ノベル」でもやってますが、Webを見慣れてると違和感ないのかも。

電子書籍サイト「eBookJapan」、累計販売5000万冊を達成 – CNET Japan ※2015年4月24日

5000万冊突破、おめでとうございます。ところで電子書籍の数え方って「冊」でいいのかな? EPUBならZIPで綴じてるわけだから、いいのかもしれないけど。うーん、言葉って難しい。

本との出会い、キュレーションサービス経由が存在感――トレンド総研調査 – ITmedia eBook USER ※2015年4月24日

「キュレーションサービス経由が存在感」とあるので、具体的には何だろう? と思って読んでみたら……

「NAVERまとめ」(70%)、「掲示板のまとめサイト」(41%)、女性向けのファッション・美容やライフスタイル情報を主に取り扱う「MERY」(7%)、ライフスタイル情報を中心とした「キナリノ」(6%)などを参照しているという。

ちょっと待った、41%の次が7%!? ほんまかいな? と思い、調査元のトレンド総研が公開しているレポートを確認しましたが、質問票が公開されていません。「「本」に特化していないキュレーションサービスを選択肢として」とありますけど、選択肢がおかしいんじゃないだろうか。

あと、電子書籍の利用デバイスについて。1位がスマートフォン(27%)は当然として、2位がパソコン(21%)、3位がタブレット(16%)という結果は、他社による過去の同様の調査と比べると意外な感じ。

ちなみにインプレスの「電子書籍ビジネス調査報告書2014」だと、「有料の電子書籍利用者」を対象とした設問で、1位 スマートフォン(54.0%)、2位 タブレット(46.0%)、3位 パソコン(32.8%)です。ここ1年くらいのあいだに、ブラウザビューワが各電子書店へ普及した影響かも?

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