「2014年出版市場は過去最大4.5%減」「ただしその数字には電子書籍が含まれない」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #153(2015年1月26日~2月1日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「2014年出版市場は過去最大4.5%減」「ただしその数字には電子書籍が含まれない」などが話題になっていました。

目指せ公式作家――総合学園ヒューマンアカデミーでcomico公式作家を目標とした講座開設 – ITmedia eBook USER ※2015年1月26日

ヒューマンアカデミーとcomicoのコラボ。入学金、授業料、施設費93万円。comico公式作家になれば原稿料が月額20万円以上入ってきますが、もちろんそれは実力次第です。うーん。

hontoが中古買取サービス、実業務はブックオフオンラインに委託 – ITmedia eBook USER ※2015年1月26日

集荷無料で、hontoポイントなら追加で10%付与されるところが特徴。なお、今回のサービス開始時には触れられていませんが、昨年12月に発表された通りなら買い取った本は「ブックオフオンライン」で販売するはずです。

ちなみにブックオフコーポレーションには、大日本印刷(および同グループの丸善、図書館流通センター)、講談社、小学館、集英社の資本が入ってます。いまの筆頭株主はYahoo Japan。

毎日新聞社、出版事業を分社 :日本経済新聞 ※2015年1月26日

毎日新聞が出版事業を分社化。子会社だと給料安くなるんだろうなあ……。

出版、過去最大4・5%減 14年の書籍、雑誌販売額 – 47NEWS(よんななニュース) ※2015年1月26日

売り上げも書店数も減少続く 「出版不況」の現状は? | THE PAGE(ザ・ページ) ※2015年1月27日

これはセットでピックアップすべきでしょう。出版科学研究所による2014年出版市場調査の発表に合わせた、林智彦さんのカウンターパンチ。出版科学研究所発表の数字には「出版社による直販」と「アマゾン直接取引」が含まれていないこと、そして「電子書籍市場」の数字は含まれていないことが挙げられています。

追記で、出版社の収入は出版物だけじゃない(集英社の通販事業が好調な件や、ポケモンのようなキャラクタービジネスや映像事業など)ことについても触れられていますね。不動産に触れなかったのは武士の情け?

[追記]指摘があったのでタイトル修正。電子書籍市場が含まれていないのは間違いないけど、紙市場の数字はあくまでトーハンの数字を基にした推計なので、もしかしたら直販やアマゾン直取引の数字も見込んでいるかもしれません。ただし根拠は「?」ですが。[追記ここまで]

cakesやnoteを始めた理由と今後について ── JEPAセミナーレポート:群雛ポータル ※2015年1月27日

自分の記事ですがピックアップ。セルフパブリッシング関連の記事は、今後は「群雛ポータル」で更新していきます。

「リアル書店」と「ネット書店」の利用実態――ネット書店の利用率で60代が10代を上回る – ITmedia eBook USER ※2015年1月27日

過去1年間に書籍購入に利用したチャネルで、10代のリアル書店利用率が最も高いのは、クレジットカードが持てないからでしょうね。もちろんコンビニなどでAmazonカードを買えば購入は可能ですが。

5000冊の電子書籍を背表紙表示で並べた画像が話題に – ITmedia eBook USER ※2015年1月27日

これは「背表紙」というところがポイント。総合電子書店で背表紙画像を配信しているのは、eBookJapan だけです。いまから30万点の画像を用意するには膨大なコストがかかるから、どこにも真似ができない特徴。コツコツやってきたからこそですね。

ネットコンテンツの書籍化で上場、アルファポリスが挑む新たな出版社像 〈東京IT新聞〉|dot.ドット 朝日新聞出版 ※2015年1月28日

昨年末に上場したアルファポリスの歴史についての記事。社長自らサイトを自作したり版下制作もしていたそうで。ところで、出版社としては異様に利益率が高い(2014年3月期の営業利益率は31.6%)のはなぜだろう? と不思議に思っていましたが、ネット発でヒット作のみ単行本化というモデルと、販売部数に応じて印税率が設定されている(5000部までは7%、5001部から1万部まで8%、1万1部以上で10%)こと、そして何より実売印税であることが要因のようです(記事中には触れられていません)。

楽天Kobo、英Tescoの電子書籍事業クローズに伴う受け皿に – ITmedia eBook USER ※2015年1月29日

欧米 Reader Store の受け皿になったのと同じく、恐らく同じ Adobe DRM を使っているから比較的簡単に移行ができるのだと思われます。日本の場合は、難しいだろうなあ。

売り上げは作者に100%還元、Kindleなど大手ストアへの配信も無料代行――電子書籍化支援「メディバン パブリッシング」 – ITmedia ニュース ※2015年1月29日

見落としていたのですが、年末にリリースされた「完全無料の漫画制作ソフト『Cloud Alpaca』」と同じ会社の仕掛け。Kindleなど大手ストアへの配信も無料で代行って、とにかくまずシェアを獲得、という意図はわかるのですが、ビジネスモデルが全く見えません。

どうなってんだ? と疑問に思って念のため利用規約を確認してみましたが、「20.(権利帰属)」を見る限り、投稿したコンテンツの知的財産権は創作したユーザーに帰属します。サービスの広告・宣伝・プロモーション目的で利用することを株式会社MediBangへ無償で許諾する形になるものの、TwitterやGoogleやFacebookの規約より緩い(提携社へのサブライセンスが含まれないので)形です。

となると、アルファポリスや小説家になろうのように、ヒット作の作者と個別にライセンス契約を結んで、二次利用展開くらいしか考えつかないなあ……。

【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】楽天「Kobo Aura H2O」 ~防水機能搭載、265ppiの高解像度スクリーンを備えた6.8型E Ink端末 – PC Watch ※2015年1月30日

233gという重さのことをだいぶ気にしてますが、Kindle Paperwhite 2012年モデルが213g、2013モデルでも206g、PRS-T3がライト付きカバー装着時で220g(なしだと160g)だから、それほど大きな違いではないと思うのですが。6.8型と一回り大きいこと、高解像度であること、そして何より防水対応という飛び抜けた特徴で充分じゃないかなあ。価格も、Kindle Voyage はキャンペーン情報なしモデルで 2万3480円、Kobo Aura H2Oは1万9980円、その差3500円。

出版状況クロニクル81(2015年1月1日~1月31日) – 出版・読書メモランダム ※2015年2月1日

毎月楽しみにしている小田光雄さんの出版状況クロニクル。『新潮45』について「内容はともかく」と言っちゃっていいのだろうか……あと、ヴィレッジヴァンガードについて。

意外だったのはヴィレヴァン385店の全売上高365億円において、出版物の占める割合は、30から40億円だという事実である。とすれば、今やヴィレヴァンはコミックや雑誌や本も置いてある雑貨屋と見なせるだろう。

ええっと「今や」ではなく、昔から雑貨屋です。決算資料に具体的な数字は載っています。2014年5月期で31億8600万円、構成比はついに10%を切って8.9%です。「遊べる本屋」っていうキャッチフレーズですけど、実店舗に行けば本の比率が圧倒的に低いのはすぐわかります。

KADOKAWA、希望退職300人募集の不安 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ※2015年1月31日

1月19日のまとめに「普通に考えると、企業買収して業務が重複してしまう部門というのは、管理部門系(バックオフィス)」と書きましたが、やはり人事などの管理部門が過大になっていたようです。しかし、社員の半分(1000人弱)が条件に該当というのは、ある意味凄い。

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