「2014年回顧と展望」「丸善がジュンク堂書店を吸収合併」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #149(2014年12月23日~2015年1月4日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「2014年回顧と展望」「丸善がジュンク堂書店を吸収合併」などが話題になっていました。

2014年回顧&展望記事特集

ボクの目に留まった2014年回顧と展望記事特集です。

【回顧 平成26年】電子書籍 業界全体で取り組み本格化(1/3ページ) – 産経ニュース ※2014年12月24日

産経新聞の2014年回顧。ボクのコメントが出てるので記念ピックアップ。実はJEPA忘年会での立ち話だったりします。

記事で振り返る「2014年の電子書籍市場」(定額読み放題編) – ITmedia eBook USER ※2014年12月24日

記事で振り返る「2014年の電子書籍市場」(書店連携編) – ITmedia eBook USER ※2014年12月26日

記事で振り返る「2014年の電子書籍市場」(マンガアプリ編) – ITmedia eBook USER ※2014年12月31日

西尾編集長の2014年回顧。「定額読み放題」「書店連携」「マンガアプリ」について。冒頭に、注目していた動きとして「電子図書館」「セルフパブリッシング」「権利関連」も挙げられているけど、回顧記事は書かなかったみたいです。

2014年の電子書籍市場、記者が注目したトピックベスト3 – ITmedia eBook USER ※2014年12月29日

eBook USER新人記者・宮澤諒さんの2014年回顧。「少年ジャンプ+」「セルフパブリッシングサービス」「図書館資料のデジタル化」が挙げられています。あ、なるほど、分担したのかな?(違

EBook2.0 Magazine – 出版再生の10年へ向けて ※2014年12月30日

E-Book 2.0 MAGAZINE(およびE-Book 2.0 Forum)主宰 鎌田博樹氏による、出版業界のこれからの10年へ向けての提言。再販価格維持制度と、既存の発行・流通制度がやり玉に挙げられています。

【追記】識者からこの記事に異論が。

木版をベースに幕末に頂点に達していた江戸の出版エコシステムは、活字印刷時代に移行できずに消滅した。根こそぎである。移行した版元はいなかった。これは「文明開化」の名による破壊的イノベーションであったし、多大な犠牲を伴った。

例えば吉川弘文館[安政4年(1857)創業とのこと]など、江戸期に起源のある出版社や印刷会社はたくさんあるし、取次流通も同様とのこと。以前、印刷博物館で「印刷都市東京と近代日本」という、江戸から明治にかけて行われた印刷技術の変遷についての展示があったそうです(追記ここまで)。

鷹野凌 今月の出版業界気になるニュースまとめ 第1回「出版業界気になるニュース2014年回顧」 – DOTPLACE ※2014年12月31日

ボクの2014年回顧。12月5日のJEPAセミナー同様、年初の予測に対する当否と、電子書店サービス終了時のあり方&ソーシャルDRMの潮流&その他、というまとめ方をしています。

一年の始まりなので、2015年に電子出版関連でどんな動きがあるか予想してみる:見て歩く者 by 鷹野凌 ※2015年1月1日

ボクの2015年予測。大晦日に仕込んで、元旦になった瞬間に更新しました。それほど突飛な予測はしていませんが、「ソーシャルDRM」には結構個人的願望が入ってます。ストアが主導でやることは考えづらいし……。

次のフェーズに進むには?~2015年の電子書籍と電子出版ビジネス:新春特別企画|gihyo.jp … 技術評論社 ※2014年1月4日

技術評論社・馮富久氏による2014年回顧と今後について。InDesignで制作したデータを配信可能なフォーマットに素早く変換する体制の重要性や、電子出版だけで考えられるコンテンツや仕組み、スピード感、サブスクリプションなどが挙げられています。

あらたな時代の本のスタイルを求めて « マガジン航[kɔː] ※2014年12月31日

新年に考える〜『21世紀の資本』を読んで « マガジン航[kɔː] ※2015年1月4日

マガジン航[kɔː]編集長・仲俣暁生氏による、最近読んだ二冊(クレイグ・モド氏の『ぼくらの時代の本』と、山本貴光氏の『文体の科学』)と、新年最初に読んだ一冊(トマ・ピケティの『21世紀の資本』)について。次世代の「本」と「プロモーション」のあり方についての考察です。

ライトノベル展望:ネット発の小説が席巻 ネット評価と実売のギャップも – MANTANWEB(まんたんウェブ) ※2015年1月3日

「書泉ブックタワー」の2014年の年間ランキングトップ3(1位「魔法科高校の劣等生」2位「ソードアート・オンライン」3位「ログ・ホライズン」)が、いずれもインターネット発の作品だった、という記事。

刊行点数が増えるのに合わせて、インターネットの批評や口コミが影響しているのは事実だが、自分で作品に目を通さず作品を評価する人が増えたのが悩みだ。

読まずに評価って。まあ、タイトルだけ見て脊髄反射というのは、ネットだと珍しくないですね……とくにモバイルからのアクセスだと、記事を開くのが面倒ですから。


以下、通常のまとめです。

町の書店が希少なものになっては困る──かもめブックスが目指す「雑誌のような書店」 かもめブックス店主 柳下恭平氏インタビュー|ビジネス+IT ※2014年12月24日

かもめブックス店主 柳下恭平氏へのインタビュー。猫が取り結んだ出版業界との縁とか、校閲が情報処理の在り方として面白いから独立して会社を作っちゃったとか。柳下氏の個性が際立っています(そこか)。

丸善/ジュンク堂書店を吸収合併 | 流通ニュース ※2014年12月24日

丸善書店「が」ジュンク堂書店「を」吸収合併です。元々同じグループの会社(そして丸善CHIホールディングスは大日本印刷の子会社)ですから再編そのものに驚きはないのですが、売上としてはジュンク堂が丸善の倍以上なのに、ジュンク堂は営業損失を出してしまっている(丸善は黒字)というのが。うーむ。

ドワンゴとKADOKAWA、IT技術書の新ブランド「アスキードワンゴ」立ち上げ -INTERNET Watch ※2014年12月24日

アスキー・メディアワークスのハイエンド書籍編集部が、ドワンゴによってかろうじて存続。ドワンゴ所属のエンジニアによる「C++11/14」の文法と機能についての解説書って、江添亮氏のことかー!

「読者がお金を払わなければ、”あるべき関係性”が結べない」――漫画家・浦沢直樹さんインタビュー ※2014年12月30日

浦沢直樹さんがなぜ作品の電子化を拒むのか、自身の言葉で語っています。見開き状態をキープできないのが嫌だ、とのこと。まあ、作家としてそれを嫌うのは、致し方ないかな、という感じ。

ただ、無料マンガアプリに対する批判は、お金持ってる子が買ったマンガ誌を回し読みしたり(もちろん無料)、友だちの家のマンガ単行本を読みふけったり(もちろん無料)という経験を積み重ねてきた身からすると、強い違和感を覚えます。うーん。

出版状況クロニクル80(2014年12月1日~12月31日) – 出版・読書メモランダム ※2015年1月1日

この電子コミック売上がどこまで成長するのかわからないが、1000億円を超えるものになれば、本クロニクルで既述してきたように、書籍、雑誌に続いて、紙のコミック売上も総崩れとなり、さらに出版危機を加速させるであろう。

何度も言うようですけど、小田光雄さんはなぜそう思うのだろう? カニバリズム論? 小田さんにはそろそろダメ出しだけではなく、じゃあどうすれば? という提言が欲しいところ。

1月5日“マガジン”に何かが起こる、講談社が謎のティザーサイトをオープン – ITmedia eBook USER ※2014年12月24日

講談社、全コミック誌を電子化へ 紙と同時配信:朝日新聞デジタル ※2015年1月4日

「謎のティザーサイト」の時点でバレバレでしたが、ついに全コミック誌電子版が紙と同時配信です。「待ってました!」と喜ぶべきなのでしょうけど、あまり驚きはありません。「少年ジャンプ+」と同時に「少年ジャンプルーキー」の募集を開始した集英社には度肝を抜かれましたが。

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