「読み放題 Kindle Unlimited 開始」「有料電子書籍利用率10.4%」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #126(2014年7月14日~20日)

iPadのBOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Kindle Unlimited」「有料電子書籍利用率は10.4%」などが話題になっていました。

電子書籍、ルール周知が課題 サービス停止でトラブル相次ぐ 買うのは「読む権利」、利用者と意識に溝 :日本経済新聞 ※2014年7月14日

「購入」したはずの本がサービス事業者の都合で勝手に消えてしまうというのは、やはり受け入れがたいものがあります。「再ダウンロード期限」などという縛りを設けていた頃に比べたら、遥かにマシにはなっていますが。DRM(デジタル著作権管理)が単に囲い込み(ベンダロックイン)の手段になっている現状。

しかし、オンラインゲームの休止って結構頻繁に発生しているのですが、電子書店の閉鎖ほど問題視されていないのはなぜでしょうね? 本に比べたら結構金額が高い場合も多いのに。歴史の違いなのか、永続性が低い娯楽だと諦められているのか。

BookLive、「Liveコミック」をリリース――登録なしのお手軽利用を可能に – ITmedia eBook USER ※2014年7月14日

Apple ID決済でiOSアプリ内購入が行えるBookLive!アプリ。登録なしでも利用できるのは、以前のBOOK☆WALKER(1G)と同じ方式です。コミック以外も普通に扱っているのに「Liveコミック」という名前にしたのは、「comico」や「マンガボックス」などコミックが無料で読めるアプリのユーザーを狙ってる?

1000億円規模を突破した電子書籍市場 ― 拡大の要因を探る | 井口 裕右 ※2014年7月15日

ツッコミピックアップ。後半で「パピレスプラス(ビジネス書や実用書を一冊単位ではなく章単位で購読することができる)」をまるで従来にはなかったサービスのように祭り上げていますが、分冊版や雑誌のバラ売りはこれまでもいろんなところが手がけてきています。市場拡大要因として挙げるのはどうなんだろう? という感じ。R25にも「(国際)電子出版EXPOで目を引いた」という提灯記事(というかこれPR?)出てますけど、うーん……。

有料電子書籍利用率は10.4%に続伸、iPad以外のタブレットでの利用も増加 -INTERNET Watch ※2014年7月15日

以前、「電子書籍ビジネス調査報告書」の調査方法が知りたくて、国立国会図書館で調べたことがあります。2012年版のサンプリングは、NTTレゾナントのgooリサーチが保有するアンケートパネルからの条件抽出(n=5639)。ネットリサーチというバイアスはありますけど、まあまあ信用できる調査結果だと思われます。というか、調査概要くらい公表して下さいお願いします。

「電子書籍を買ったことがある人」が10人に1人で936億円。2018年度予測が2790億円だから、あと4年で10人に3人になる、と。わりと現実的かも。

Amazon、サブスクリプション制電子書籍サービスを準備中? – ITmedia ニュース ※2014年7月17日

おもらしして2日後に……

米Amazon、定額読み放題「Kindle Unlimited」正式サービスイン – ITmedia eBook USER ※2014年7月19日

正式リリースと。宣伝の仕方がうまい。しかし、大手出版社がいずれもコンテンツを提供していません。マイナビに「New York Timesによると、HarperCollins、Hachette、Simon & Schusterは不参加を決めており、Penguin Random HouseとMacmillanは未定。」とありました。恐らく読み放題60万点のほとんどは、セルフパブリッシングではないかと。

この日の朝、たまたまKDPセレクトの説明を読もうと思ったら、お知らせが出ていて

読み放題にするには、KDPセレクトが必須のようです。独占配信しなきゃいけないってのが気に入らないなあ……出版社向けの条件は別でしょうけど。10%読まれると収益化されるルールなので、短い本を登録する人が増えそうです。10ページくらいの(本を開くだけで10%)。

諸外国への展開は秋ごろという話なので、日本上陸は2周年の10月25日かな?

ニュース – Apple、電子書籍関連の集団訴訟で消費者への和解金は4億ドル:ITpro ※2014年7月17日

4億ドル! とはいえこれは、司法省との訴訟がどうなるか次第。しかしこれ、独占禁止法違反でAppleを叩いたことで、Amazonの寡占状態を強化してしまったわけですよね。ロビー活動恐るべし。

小学館コミック作品の再ダウンロード期限、GALAPAGOS STOREなどでも撤廃へ – ITmedia eBook USER ※2014年7月17日

「電子書籍の七不思議」に吹いた。あとの六つは何だろう? しかし、やっと撤廃ですか。いいニュースなんだから各社きっちりお知らせを出せばいいのに、気がついたら制限がなくなっていた、みたいなのが多いのはなぜ?

ちなみにボクはこの「再ダウンロード期限」が、これまで電子書籍の普及を妨げてきた大きな要因の一つだと思っています。ユーザーに不愉快な思いをさせておいて、広がるはずないでしょ。最後まで抵抗していた小学館の罪は、本当に重いと思う。

GALAPAGOS STOREなんか可愛そうに、以前は無期限だったのが、Kindleストア日本上陸後に再ダウンロード期限を課せられてしまったわけですから。強力なライバル登場後に、ハンデキャップを背負わされるという無理ゲー。わざわざ国内ストアの力を削ぐ方向へ動いていたわけですから、ほんと小学館は何を考えてたんだか。小一時間くらい問い詰めてやりたい。

冲方丁さん、自作の2次創作“全面解禁”を提案 「グレーゾーン」ではないあり方の模索 – ITmedia ニュース ※2014年7月17日

「白黒はっきりさせましょう」という話。権利者があらかじめ許諾範囲を明確にしておくという意味で、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスや、クリプトンのピアプロ・キャラクター・ライセンス、赤松健さんの同人マーク、ニトロプラスの二次創作ガイドラインなどと、方向性としては同じです。ブログでは触れられていませんが、TPPによる著作権の非親告罪化が恐らく回避できないという危機感が裏側にあるのではないかと。

第151回芥川賞に柴崎友香『春の庭』、直木賞に黒川博行『破門』 – ITmedia eBook USER ※2014年7月17日

おめでとうございます。

ASCII.jp:J コミ改め「絶版マンガ図書館」から考えるマンガのバリューチェーン (1/2)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ※2014年7月18日

後半のバリューチェーンの話が興味深い。「単行本刊行」と「絶版」のあいだに、より安価だけどそれなりにはマネタイズされる「レンタル」や「読み放題」モデルがあるわけです。

YouTube Japan Blog: MANGAPOLO が YouTube 漫画雑誌「MANGAPOLO ZERO」を創刊。新人マンガ家の発掘と作品の世界向け配信を開始 ※2014年7月18日

どのニュースメディアも全く無反応なのはなぜだろう? 電通がやってるのに、メディア対策が弱いのかな。

「新人マンガ家の発掘と世界向けの配信を目的」という志は悪くないと思うのですが。

愛知)電子書籍を本屋で販売 実験進行中 豊橋の書店:朝日新聞デジタル ※2014年7月18日

豊川堂の「BooCa」は、有隣堂と同じような陳列方法です。まあ、固めたほうが目立つから「認知向上」にはいいと思うのですが、棚に溶けこませた方が「売れる」んじゃないかなあ……。

楽天Kobo電子書籍ストア: 楽天Koboはおかげさまで2周年 ※2014年7月18日

おめでとうございます。あれからもう2年。当時の記事と今を比べると、相当サービス拡充していることがよく分かります。

日本長編部門に小川一水、メディア部門は「パシフィック・リム」 第45回星雲賞決定 | アニメ!アニメ! ※2014年7月19日

おめでとうございます。

小学館の漫画誌「月刊IKKI」休刊へ : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年7月20日

お疲れ様でした。

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