出版業界関連の気になるニュースまとめ #87(2013年10月7日~2013年10月13日)

Nexus 7のGooglePlayブックス

出版業界関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は、「一向に増えない利用者と利用希望者」という電子書籍に関するインターネットコムのリサーチ結果が話題になっていました。

藤井太洋「電子書籍」のフェアな売り方 デジタル時代の重要人物に訊く「実践マーケティング戦略」第2回:PRESIDENT Online – プレジデント ※2013年10月7日

藤井太洋さんの値付けについての哲学や、値下げ販売をするなら合理的理由が必要だという話。この辺りの話は以前お伺いしたことがあるのでボクにはあまり目新しさはなかったのですが、プレジデントの記者が妙なことを言っているのが気になりました。

遵法であり公正な状態を常に意識している藤井氏は、自分の本を自分で買い上げてランキングを上げるという「電子書籍の市場ではよくありそうな」行為とも無縁だ。

現実問題として、システム的に1つのアカウントで同じ本を複数回購入できないので、こういう不正行為をしようと思ったらマルチアカウントを駆使するしかないのでしょうけど、それって「よくありそうな行為」なんですかね? そういう事例を寡聞にして知らないのですが。Kindleのベストセラーでランキング10位以内に入るには部数で3桁は必要だと思うので、そういう不正行為ってあまり現実的ではないと思うのですが。

Amazon、「Kindle Paperwhite 3G」旧モデルを3000円引きに – ITmedia ニュース ※2013年10月7日

在庫処分。2012モデルとはいえ、3Gが9980円ならかなり心が揺らぎますね。持っていない人は要検討だと思います。

Kindle Paperwhite 3G (2012年モデル)

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Amazon.co.jp (2012-11-19)

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ただし、この比較動画を見てから判断した方がいいでしょう。ページ送り速度がここまで改善されているとは思いませんでした。2012モデル持っているのに、欲しくなってしまった……。

hon.jp DayWatch – 個人作家はPOD書籍もバンドル可、米Amazonが紙・電子書籍バンドルサービス「Kindle Matchbook」を受付開始 ※2013年10月7日

Kindle MatchbookはPrint On Demand書籍にも対応なのですね。日本のKDPにもバナーが出ているのですが、リンク先は英語でした。

hon.jp DayWatch – Adobe社のデータ流出問題、Adobe DRM採用の電子書籍ストアにも影響の可能性 ※2013年10月8日

「そういう可能性もあるよね」という話に、日本ではAdobe DRMを使っていない楽天Koboとソニーの話をくっつけない方がいいのでは。

朝日新聞デジタル:週刊朝日編集長を懲戒解雇 – 社会 ※2013年10月8日

懲戒解雇って相当だと思うのですが、理由が説明されていない……。

海外ネット配信に消費課税 政府税調検討 電子書籍や映像など – SankeiBiz(サンケイビズ) ※2013年10月9日

政府税制調査会が検討を始めたというニュース。「文化を支える出版物に軽減税率が必要です」という主張と、「海外からの配信にも消費税を!」という主張って、矛盾しないのかしら。

5年後、日本のメディアコンテンツはこうなる | インタビュー | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ※2013年10月10日

角川歴彦会長と、ドワンゴの川上量生会長の対談連載第2回め。これからはプロデューサー機能が必要だ、と。

App Annie、電子書籍向けの解析ツールとランキングデータの提供を開始(App Annie プレスリリース) ※2013年10月10日

個人出版の分析ツールはストアによってぜんぜん違うので、複数のストアに出していると1ヶ所でまとめて見られるのはラクでいいかもしれません。傾向があまりに違うので、同じ土俵で比較する意味があるかどうか……という気もしますが。

一向に増えない利用者と利用希望者―定期調査「電子書籍」(9) – インターネットコム ※2013年10月11日

この定期調査、gooリサーチパネルからの無作為抽出だと思うので、そんなにずれた数字にはなっていないとは思うのですが、前半の「電子書籍/雑誌を読んだことがある」の373人(34.3%)、専用リーダーを利用している27人(2.5%)まではいいとして、27人をさらに端末の種類でわけるのはやめた方がいいと思うのです。誤差が大きすぎる。7.4%って、2人ですよ。

評論家諸氏がさんざん「専用リーダーが普及しなければ電子書籍市場の未来はない」という論調で語り続けてきたせいでこういう調査になっているのでしょうけど、スマートフォンやタブレットから利用するユーザーの方がいまや圧倒的に多いのでは? 専用リーダーのない電子書店もいっぱいあるわけですし。はっきり言って、専用リーダーのシェアで電子書籍市場を語るのは間違っている

電子書籍の書店店頭販売システム「c-shelf」をバージョンアップ ~そのまま販売できるカード導入で書店のオペレーションを軽減~ | 株式会社トーハン | プレスリリース配信代行『ドリームニュース』 ※2013年10月11日

従来の「買物カード」と「バウチャーシート」の機能を統合した「電子書籍購入カード」を用意し、店頭で印刷する手間を減らしたそうです。今のところどこのメディアも取り上げていないような……「書店の店頭で電子書籍が買える」というシステムでは、いま一番導入店数が多いと思うのですがががが。

3M社、図書館向けの電子書籍サービス”3M Cloud Library”に、電子書籍の購入ができる”Buy and Donate”機能を導入 | カレントアウェアネス・ポータル ※2013年10月11日

koboとの提携。ところで、日本の電子図書館サービスはどういう方向性になるのか……角川歴彦会長がブックフェアの基調講演で語った構想はいまどうなっているのか。

eBook USERからのお知らせ:21世紀の“ブッククラブ”を目指し、「ITmedia Book Club」をスタートします – ITmedia eBook USER ※2013年10月11日

ITmedia eBook USERの新しい試み。読者コミュニティの育成と「電子書店を問わない電子的な献本」システムと「本を書くという行為を支援する仕組みのご提供も視野に」というところが気になりますね。本格稼働するのは11月からみたいです。


このほか、オンラインでは配信されていませんが、「新文化」2013年10月10日号の「角川EPUB選書」創刊記念パ-ティーの記事で、「9社合併記念キャンペーンは、1日で電子書籍の売上3億円」という角川歴彦会長の報告があったそうです。

グーグル、アップルに負けない著作権法 (角川EPUB選書)

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KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2013-10-10)

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読まねば。

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