出版(紙・電子書籍)関連の気になるニュースまとめ #52(2013年2月4日~2013年2月10日)

(※写真:写真素材 足成より)

出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。毎週月曜配信。

電通がYouTubeにマンガチャンネル開設、ドラゴンボール全巻を無料配信 -INTERNET Watch ※2013年2月4日

なんと無料配信ですよ。実際にYouTubeで見ると、コマの切り替えがめっちゃ早くて観るのが大変なのですが、きっと意図的でしょう。広告収益は、ちゃんと出版社へ配分されるモデルみたいです。それより何より、リリースされたばかりのカラー版電子書籍の、いいプロモーションになるのではないでしょうか。しかし、電通がこういう形のプロモーションを手がけるようになったんですねぇ……ちょっと驚きました。

DRAGON BALL カラー版 孫悟空修業編 1

DRAGON BALL カラー版 孫悟空修業編 1 – 鳥山明 – 電子書籍ストア BookLive!

Amazon.co.jp、対象予約商品の「発売日前日お届け」サービス -INTERNET Watch ※2013年2月4日

「対象の予約商品」がCD、DVD、ブルーレイの一部のみということで、出版物は今のところ対象外ですが今後が気になるのでピックアップ。「他の人より早く手に入れられる」というのは付加価値になるのですよね。

hon.jp DayWatch – 米Amazonが「電子書籍やアプリの中古販売市場」に関するビジネス特許を取得、数量調整機能も ※2013年2月5日

「個人間でのライセンス譲渡・移転を実現するための決済仲介システム」なのはいいとして、著者や版元に還元される仕組みなのかどうかというところがポイントになると思います。中古物品の売買と違って、デジタルデータは経年劣化しない(新鮮な情報ではないという劣化はあり得るのでしょうけども)ですからね。著者や版元に還元されないのであれば、猛烈な反発が起きるでしょう。まだ「ビジネス特許を取得した」というだけの話なので、実際にやるかどうかはわかりませんが、注視しておく必要はあるでしょう。

Kindle Fire 向け仮想通貨 Amazon Coin 発表、米国で5月から開始 – Engadget Japanese ※2013年2月6日

Amazon関連のニュースだらけですね。これまた新しい仕掛けです。「アプリやアプリ内アイテム決済にのみ使える」というのがAmazonポイントとの違いとのことなので、いまのところ出版物には影響ないようですが、今後が気になるのでピックアップ。

アマゾンは将来、自社で小売りをしなくなる « WIRED.jp ※2013年2月6日

タイトルに釣られました。(楽天のような)モール型を志向する可能性もあるのでは?という単なる憶測なので、タイトルの最後に「?」か「かも」を付けておくべきでしょう。しかし「ここ3か月間にアマゾンで買い物された3分の1以上は、外部の出品者が販売したもの」という状況はちょっと驚きです。販売点数なのか販売額なのか、どっちかわからないのがちょっと気になるところ。

Amazon、Kindle Fire HDの売れ行きとKindleストアの状況を語る – ITmedia eBook USER ※2013年2月7日

「年末年始商戦で、Kindleストアでのコミックの販売部数が紙のそれの半数を超えた」そうです。セールで安く売ってる分、販売部数は伸びやすいとは思いますが、ちょっと驚きです。紙コミックの販売部数にどんな影響が出ているか?が気になります。

2月17日を「電子書籍の日」に認定、「BookLive!」のローンチ日にちなんで -INTERNET Watch ※2013年2月7日

業界関係者が騒然としていたニュース。まあ、日本記念日協会って別に権威でも何でもなく、7万円払えば登録できちゃいますから、早い者勝ちなんですけどね。それにしたって、自社のサービス開始日という理由の記念日ということを、臆面もなくリリースに載せてしまう神経を疑ってしまう。逆に「せっかくなので」とキャンペーンをやるBOOK☆WALKERさんは何だか微笑ましい。

というわけで日本電子出版協会(JEPA)さんは、はやいところ「電子出版の日」を制定すべきだと思います。「いいぶっく」で、11月29日あたりはどうでしょう?(提案)

紙本がKindle化されたらTwitterでお知らせしてくれる「KindleAlert」が便利っ! | きんどるどうでしょう ※2013年2月8日

こういうのは、公式でやって欲しいですよね。Kindle化希望ボタンを押したら、自動的に「Kindle化されました!」って連絡がくるようにするのなんて簡単だと思うんですが、なぜやらないんだろう?もっと言えば、例えば続刊が出たときや、同じ著者の新しい本が出たときに、ファンならお知らせが欲しいと思うんですよね。そういう登録ができるのは、ボクの知ってる限りhontoくらいです。他の電子書店さんも、見習って欲しいところ。

[追記]ご指摘をいただきました。ありがとうございます。Kindle化希望をクリックして、実際に電子書籍化されるとメールが届くそうです(ボクは届いたことがないのですが……)あと、Yahoo!ブックストアも続刊お知らせ機能があるとのことです。

ダメすぎなiOS版KindleアプリでKDP作家が死なないために | 電明書房 ※2013年2月8日

ボクも自著をパブー経由でKindleへ配信しているのですが、あまりの対応の遅さ悪さにイライラします。2月2日に配信開始されて、当日に「内容紹介」文章の修正依頼をしているのですが、いまだに直っていません。目次が出ないのも、アプリ側の仕様の問題のようです。パブーはちゃんと対応してくれているようなのですが、外部ストア連携なのでボクから直接Amazonに文句は言えないのが辛いところ。ボクは待つしかありません。KDPで直接やってる場合ってどうなんでしょうね?

いまだにiOSで購入できないように見える状態なのも困りものです。ちなみにこの状態でもiOSで読めないわけではありません。

[PC経由で転送]を選んで購入し、iOSアプリで同期をすればOKです。

ニコニコ春画に「けしからん電子書籍(R-18)」コーナーが設置 ※2013年2月8日

ニュースメディアはおろか、ニコニコインフォですら告知されていないのですが、えっちな本の取り扱いが始まりました。

角川「BOOK☆WALKER」、WindowsとMacに対応したビューアー公開 -INTERNET Watch ※2013年2月8日

大きい画面で見られるのはいいのですが、マウスカーソルがウィンドウから外れるだけで画面が消える仕様や、メールアドレスが中央下部に常時表示されている仕様は、かなり版元の意向寄りになっています。PCはいろいろ抜け道があるので、大変みたいですね。まだβ版なので、いろいろ注文を付けていい物にしてもらいましょう。

一太郎2013 玄×ブクログのパブー 電子出版デビュー応援!キャンペーン ※2013年2月8日

一太郎の新しいバージョン発売開始で、EPUB出力で連携しているパブーとのキャンペーンをやっています。

本とeBookの公園 ー 21st century Book Story ー : デジタル雑誌に必要な「編集力」 ※2013年2月9日

2004年の電子雑誌プロジェクト回顧。「情報の鮮度が命の週刊誌だというのに、紙の雑誌の発売日から3日遅れでデジタル版が配信されるサービス設計」というのは、「出版業界のルール」というか取次や書店への配慮なんでしょうけど、いまだに縛られちゃってますよね……。アメリカの雑誌流通みたいに定期購読が一般的な媒体であれば、こういうしがらみはないのでしょうけども。

本とeBookの公園 ー 21st century Book Story ー : デジタル雑誌を進化させる4つの編集力 ※2013年2月10日

雑誌に連載されたテキストを単行本化する際は書籍サイズにあわせて編集するのが常です。紙だろうがデジタルだろうがサイズが異なろうが気にせず、同じレイアウトを使いまわすのは編集の素人の発想です。他のコンテンツ業界の編集マンはそんなことはしないでしょう。

実際、紙に使ったレイアウトをそのまま流用して電子書店にポイ投げしているだけの電子雑誌媒体は多いです。正直、iPadですら「こんなん読めるか!」とイライラさせられます。ただ、編集にも当然工数がかかるわけで、4インチ向け、7インチ向け、10インチ向けとレイアウトをしていたら費用がかかってしょうがないのも事実。じゃあどうすればいいのか? という模索が続いている状況です。

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この本は、いまどういう模索がなされ、どういう活路が見出されつつあるのか?という意味で参考になるかも。速報性ではウェブ媒体に敵わない、月単位だと遅すぎる。ある程度整理・編集された情報が掲載される「雑誌」という意味では、週単位が最適なのではないか、というようなことが書いてありました。

コメント

  1. 匿名 より:

    > 例えば続刊が出たときや、同じ著者の新しい本が出たときに、ファンならお知らせが欲しいと思うんですよね

    新刊通知機能を公開しました – お知らせ – Yahoo!ブックストア
    http://notice.yahoo.co.jp/bookstore/archives/post_41.html

    Yahoo!ブックストアに、メールで通知する機能があるようです。

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