iBooksがバージョン3.0になり、日本語縦書き表記(EPUB3)に対応した

iPad mini、第4世代iPad、新型Mac Book Pro、新型iMacなどのリリースの影にかくれてひっそりと、iBooksのバージョンが新しくなりました。iOS 5の App Storeでは「iBooks 2」と表記されていましたが、それはご愛嬌ということで。

実は、電子書籍の制作に関わっている方々の間では、結構大騒ぎになっていました。Kindle日本上陸のニュースでかき消されてしまったような感じもしますが、ボクもわりと重要なニュースだと思います。

そこで、今回のバージョンアップで何が新しくなったのか、これが今後どういう意味を持つのかを簡単にまとめておくことにします。

まず何といっても大きいのは、正式に日本語縦書き表記(EPUB3)に対応したことです。

いままでのバージョンでも縦書きEPUBファイルは開けないことはなかったのですが、ページ送りが逆(縦書きの場合右開きになるが、左開きしかできなかった)だったり、ファイルが一部しか読み込めなかったりといった不具合が残っていたのです。これが今回のバージョンアップで解消されました。


次に、正式に日本語対応したことで、ユーザーが任意でフォントが選べるようになりました。オリジナル以外に游ゴシック体・游明朝体・ヒラギノ角ゴ・ヒラギノ明朝・ヒラギノ丸ゴW4が選択できるます。[フォント]を開くと、変更・ダウンロード可能なフォントが表示されます(iOS 6のみ)。

オリジナル。

游ゴシック体。

游明朝体。

ヒラギノ角ゴ。

ヒラギノ明朝。

ヒラギノ丸ゴW4。

これで、文字の大きさと合わせ、ユーザーが自分で読みやすいと思う状態へ自由に設定を変更することが可能になりました。


次に、スクロール方式をユーザーの任意で変えられるようになりました。[テーマ]を開くと、ブック・フルスクリーン・スクロールから選択できます(iOS 6のみ)。

ブック。

フルスクリーン。ブックの影が無くなった感じです。

スクロール。ページの概念が無くなり、巻物のように延々行が続くのかと思いきや……

横へではなく縦にスクロールします。違う!そうじゃないんだ!


次に、SNS共有機能が付きました。TwitterとFacebookに対応しています(iOS 6のみ)。

タップ&ホールドで範囲選択モードになります。選択範囲は両端のつまみを動かせば変えられます。

[共有]をタップすると、どの方法で共有するかを選ぶ画面になります。

Twitterをタップした画面。選択範囲が引用符に囲まれた形で表示されます。文字数もちゃんと表示されます。残念なのは、書籍名・著者名までは引っ張ってくれないこと。引用元を明記しないと、「引用」の要件を満たさなくなってしまうので、著作権侵害という可能性が出てきてしまいます。


あと特筆すべきなのは、iCloud連携で書籍が保存されるようになった点(iOS 6のみ)でしょうか。これらのバージョンアップが何を意味するかというと、iBookストアで日本語書籍を販売・配信する環境が整ったということになります。つまり、Kindleストアと同様に、iBooks Storeがいつ始まってもおかしくない状態になったということです。iOS環境から利用する電子書店としては、もちろん最も使い勝手の良いサービスになるはずです。

これで、今まで日本へなかなかやってこなかった黒船3隻が、一気に押し寄せてきたことになります。

  • GooglePlayブックス
  • Kindleストア
  • iBookストア

なかなか壮観ですね!これを迎え撃つ国内電子書店や、コンテンツを提供する出版社にもぜひ頑張っていただいて、電子書籍市場を盛り上げて頂きたいものです。この3社では、Kindleがコンテンツ量で1歩リードという感じになるでしょうか。ちなみにGooglePlayブックスがオープンして1ヶ月が経ちましたが、コンテンツが増えているように見えないのはとても不安なのですが……。

Kindle Paperwhite

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→ 2013年3月6日へ続く

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