学費支援サービス studygift が残したもの

studygiftについて、沈黙を破ります。

ボクは、サービスの公表方法や公表内容、そして開始直後に沸き起こった批判に対する家入さんの反応を見て、「これは炎上マーケティングだ」とみなしました。

「解って欲しい」と言いながら、「馬鹿野郎」は無い。言いたい気持ちは判らないでもないけど、それを言ったら反発されるに決まってる。それを敢えて言うのはただの煽り。これを見てボクは「ああ、これは意図的にやってるな」と判断しました。だからボクはこの件に関して、事態が落ち着くまで一切言及しないことにしました。結果的に、ボク一人が無視したところで、あまり意味は無かったのですが。

この燃料投下で、無視している自分がバカバカしくなるほど見事に燃え広がりました。早々に支持表明していた人たちが可哀想になるほどに。たとえどれだけ素晴らしい理念を持っていたとしても、言い方や伝え方が間違っていたら台無しですよね。

サービス開始から10日経った今朝、studygiftのトップページにお知らせが出ました。

サービスは一旦止めて仕切り直し、支援金は全額返金ということになりました。ここまで燃え広がったら、これ以外に幕引きをする方法は無いと思います。これでも納得ができないという人は、恐らく少数派なのではないでしょうか。これで事態は沈静化するでしょう。いちおうこれを区切りとして、ボクも沈黙を破ることにしました。「何が問題だったのか」というのは既にいろんな人がいろんな視点で語っているので、ボクはちょっと違う角度から。

ボクが興味深いなーと思ったのは、あれだけ突っ込みどころの多い対象で、あれだけ突っ込みどころの多いやり方でも、理念に共感した支援者が一定数存在してお金が集められるという事実。「いっぱい遊んでたら成績下がっちゃって、奨学金が貰えなくなり、学費が払えなくなっちゃいました」という、自業自得であることを公表していたにも関わらず。

もし、第1号案件がいわゆる本当の苦学生で、手法や見せ方をもう少しちゃんと練った上で進めていたらどうなったでしょう?もっと多くの人の共感を得て、もっと多くのお金を集められたのではないでしょうか?

新聞・TVなどの既存メディアがスポットライトを当てなければ多くの人が知り得なかったことが、インターネットの普及によって誰もが発信者になれる時代になりました。マスメディアの場合一瞬で数百万・数千万人にリーチできるという強みがありますが、「いち個人」を救うためであれば「支持者数」はそれほど多く必要としません。

仮に5,000円払ってくれる人が200人いれば、100万円集められるわけです。毎月300円払ってくれる人が1,000人いれば年収360万円です。もちろん1,000人だろうと200人だろうと、一定数の支持者を集めるのは容易いことではありません。ネット有名人が次々と有料メルマガを発行して、「儲かり過ぎ」みたいな話が漏れ聞こえてきたりしますが、それはごく一部の成功事例でしょう。恐らく見えないところに、たくさんの失敗事例が転がっていると思います。

studygiftも失敗事例の一つです。「馬鹿野郎」とか「ざまーみろ!」という煽りによって、ここまで負の方向に注目されることになったのが、非常に残念です。ただ、徹底的に燃え上がり注目を集めたことで、多くの人がこれをきっかけにして「考える」ようになりました。多くの人が問題点を指摘し、解決策を提示してくれました。ただ単に騒ぎに乗っかって煽り立てていただけの人もいますが、それでは何も生まれない。「どうすれば失敗しなくて済むか?」という知見が集まったことが、今回の件の収穫なのではないかと思います。

何か行動を起こせば、成功することもあれば失敗することもあります。失敗を恐れて行動しなければ、成功することはありません。ボクは家入さんの「馬鹿野郎」や「ざまーみろ!」という言葉は嫌だし軽蔑しますが、失敗しても構わないからとにかく行動するという姿勢は凄いと思います。乱暴な言動で敵もいっぱい作るけど、姿勢に共感する人が一定数いるからやっていけるのでしょうね。

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