【書評】津田大介さんの「情報の呼吸法」を読んだ。

昨日書いたエントリーでもチラッと書きましたが、津田さんの「嫌儲」についての見解が言及されているというレビュー(確かツイート)を見て、これは読んでおかないとまずいなと思い購入しました。

情報の呼吸法 (アイデアインク)

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津田 大介

朝日出版社

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簡単に内容をまとめると、「津田さんはこうやって Twitter を活用しています。」というのをわかりやすく噛み砕いた本です。新書を読む層を中心とした内容でしょう。あとは、膨大な人数のフォロワーがいる人がどういう状況になっているか、膨大な Mentions をどうさばいているか(スルーしているか)という方法論や心構えは、ネットヘビーユーザーにも参考になると思います。

何ヶ所か気になった点があったので引用しておきます。

大きな意味でのマスメディアの役割はこれまでと変わっていませんが、ソーシャルメディアが火をつけることでマスメディアとは違う情報の流れが生まれ、それが大きな社会的うねりとなっていく。チュニジアで起きたジャスミン革命に端を発する「アラブの春」は、それを象徴する出来事と言っていいでしょう。

ソーシャルネットワークの役割を過大に評価しているのはソーシャルネットワークの関係者だけで、実際にはアルジャジーラやショートメールが民衆に火をつける中心的な役割を果たしたという話を見たことがあるんですが。

http://ips-j.com/entry/3535?moreFlag=true

「アラブの春」はフェイスブック革命ではない(エマド・ミケイ:スタンフォード大学フェロー) – IPS Japan

ただネットだけに安住して閉鎖的なコミュニティにずっといると、タコ壺化の弊害が出てきます。情報の偏りが起きて「これは知っておいたほうがいいよな」という教養が見えにくくなる。

これには賛成。これに続けて「オフラインの情報価値が上がっている」という文章が続くのですが、津田さんが勧めている本が思った以上に多い。津田さん、めちゃめちゃ勉強してます。失礼な話ですが、ちょっと見直しました。

今までのネットの世界では基本的にネガティブな反応しか表にあらわれず、賛同する人たちは圧倒的なサイレント・マジョリティーとして眠っていました。しかし今や彼らがリツイートしてくれたり、タグを付けてくれたり、面白かったですと言ってくれる。ソーシャルメディアによって賛同の声が顕在化したことで、発言者や表現者にとって状況は随分よくなったと思っています。

ネガティブな反応しか表にあらわれずというのは恐らく津田さんご自分の経験だと思うのですが……ボクはブログが流行るより前からインターネットやってますけど、ポジティブな反応の方が圧倒的に多かったですよ?これって、たまたまボクが幸せだっただけですか?

海外のネットユーザーにとって、良い記事を読んだらアドセンスをクリックして書き手にお金がいくようにするのは不文律なのです。

こういった形で「海外ではこうだ」という話をデータやソース無しで提示されたら、まずは疑ってかかれというのは自由報道協会から学ばせて頂いたんですが、実際の所どうなんでしょうね?

日本でも、例えば2ちゃんねるまとめブログみたいなのがたくさんできて、なんだかんだ批判されながらもしっかり広告で稼いで、情報源としても重宝されてしまっているような状況ですからね。「先進諸国の中でも日本は異常だ」といった言説は、印象論の方が多いような気がするというのが正直なところです。

ちなみにCTRを海外と日本で比較したデータが無いか少し探してみたのですが、SEO対策系のサイトばかり出てきてゲンナリ。断念しました。ボクの検索能力じゃ無理。

多くの人を動かす力を持っているソーシャルメディアが、人々の善意をマネタイズする送金のプラットフォームになり、社会を変えるためのエンジンになるということです。

これには賛同。というか、そうなったらいいな、という願望ですね。これについては以前、エントリーにしたことがあるので、興味がある人は読んでみて下さい。

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