【書評】大野更紗さんの「困ってるひと」を読んだ

帰省した時に父親から「読むか?」と渡された、ボクが普段あまり読まないジャンルの本です。恐らく父親が自分で買うということも無いと思います。むかし、姉の本棚に「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記 (幻冬舎文庫)」があったのを覚えているので、恐らく姉から貸してもらったんでしょうね。

困ってるひと

困ってるひと

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大野 更紗

ポプラ社

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突然原因不明の難病を発症した方による、軽妙な文体の闘病記です。

新井素子さんの文体に似ているかな? 内容的には非常にシリアスなんですが、この軽妙な文体のおかげで一気に読み進めることができました。

父親はこの本を読んだ感想を「こんな若い娘が可哀想になあ」と言ってましたが、ボクは終始「たくましいなあ」と思いながら読み進めていました。なんか、あまり単純に「同情」という感情で捉えられないなあ、と。恐らく、病気そのものや社会制度の不備、貧しさなどに「負けてたまるか!」という強い意志が無ければ、こういった形で自らの体験を赤裸々に語り1冊の本にまとめて出版することなんかできやしないと思うのです。

正直言って、ボク自身が彼女の体験を追体験することはできないし、どれだけ克明に記されていても、当事者じゃないと判らないことだらけだと思います。恐らく社会制度の不備というのは、当事者が声を挙げていかないと、関わりのない人はおろか、制度を作る人や運用する人にも気づくことができない部分というのがあるのだと思います。この本が売れて多くの人に認知されれば、経済的にも助かるし、社会制度の変革を促す一助にもなるのではないかな?と思います。

しかし、なんか読んでてボク自身の視点があまりにも客観的過ぎて、ボクはドライで冷徹なやつなんだなーというのを改めて感じましたよ。こういう話に没入したり、共感したりできない。感情移入ができないのです。なんか人として決定的に欠けている部分があるんじゃないかという気がします。

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