「発売前の本をゲラで読めるNetGalley正式サービスイン」「トーハン、出版社などに配送コスト負担のお願い」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年10月16日~22日)

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 先週は「発売前の本をゲラで読めるNetGalley正式サービスイン」「トーハン、出版社などに配送コスト負担のお願い」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年10月16日~22日分です。


イシグロ氏の中古本、なぜ高騰 電子書籍の数倍 日本経済新聞(2017年10月16日)


 新刊在庫が払底すると古本の価格が高騰するという事例。電子版が出ていても、物理版の需要がまだ大きいために起こる現象です。電子で読む習慣がまだあまり根付いていないから、ということになるのでしょう。だから、電子版の普及が進んだマンガではもう、コレクターズアイテム的なもの以外は、こんな現象が起きる可能性は低そうです。


文教堂グループホールディングス決算、黒字転換 新文化(2017年10月16日)


 昨年度は赤字決算。黒字転換の要因は明記されてませんが、新規出店5、閉店8、改装14とあるので、不採算店の整理が大きかったのでしょうか。


Bowker社、米国の自費出版の動向を発表:昨年比8%増 カレントアウェアネス・ポータル(2017年10月16日)


 ISBNの取得点数に基づくレポート。ボーンデジタル作品の場合、ISBNを取得する必要性が希薄なので、実態を示しているものではありません。


米出版社が立ち戻る「紙の本」 電子書籍の販売減少で ウォール・ストリート・ジャーナル日本版(2017年10月16日)


 米国出版社協会(AAP)の数字と主張だけを元にした駄記事。そもそも、ビッグ5がアップルと共謀して電子書籍の価格を吊り上げたとして司法省から独占禁止法違反の疑いで提訴され、和解条件として2年間の値引き制限禁止を受けていたのですが、期限が切れて単行本とあまり差がない価格設定に値上げしたことで「あえて電子書籍の販売減少を狙っている」状況なのに何を言ってるのかと。「Author Earnings」の調査によると、ビッグ5の電子書籍販売は右肩下がりですが、インディーズと中小出版社が伸びている、という状況にあるようです。


セルフパブリッシングを「誰もがやっていること」へ。個人が作る冊子、ZINEの世界 70seeds(2017年10月16日)


 タイトルを見て「ZINE(小冊子)の世界にもデジタル化の波が訪れたのかな?」と思ったのですが、デジタルの話はヒトカケラも出てきませんでした。ぐぬぬ。目黒でZINEのリアルショップを開いている「MOUNT ZINE」の紹介記事です。


テレビの影響力はまだまだ強い、一方「新聞離れ」は急速に ITmedia ビジネスオンライン(2017年10月17日)


 根拠なく「テレビの影響力低下」を言う人がたまにいますが、全体で見るとそれほどでもないという調査結果。総務省「情報通信白書」でも似たような傾向です。新聞は、戸別訪問営業が非常に不愉快なのですよね……。


高知県立図書館が電子書籍 24時間貸し出し 高知新聞(2017年10月18日)


 サイトを確認したらドメイン名が「d-library.jp」だったので、記事には名前が出ていませんが「TRC-DL」でしょう(本稿執筆時点ではまだ導入事例に名前なし)。約2300点が配信されているようです。


ZTEが2画面スマホ「Axon M」を発表、日本ではドコモが販売 ケータイ Watch(2017年10月18日)


 変態端末再び。記事内では過去の事例として、NECカシオ「MEDIAS W」が挙げられています。「Sony Tablet P」なんてのもありました。最古はパナソニックの「ΣBook」でしょうか。最近の事例では、Kickstarterで資金集めをしている「全巻一冊 北斗の拳」も2つ折り。


紙書籍の新刊をゲラの段階で読める販促サイトが正式にサービスイン、会員を募集中 INTERNET Watch(2017年10月19日)


 「NetGalley」が正式サービスイン。ベータ版開始時に紹介記事を書きましたが、当時の参加出版社は7社。正式サービスインで、17社に増えました。しかし、当初から名前は出ている集英社は、本稿執筆時点でもまだゼロ冊……。


トーハン・藤井武彦社長、出版社などに「配送コスト負担」のお願い 新文化(2017年10月20日)


 取次が出版社に別途送料の負担を求めるとなると、出版社は「では返品条件をもっと厳しくしましょう」という話になるのではないでしょうか。例えばトランスビュー方式のように、返品時の配送コストは書店負担にする、とか。そうすると、書店からは勝手に本を送りつける「パターン配本」なんかあり得ないって話になって、仕入れがもっとシビアに。あれ? これ、業界の健全化が進むかも?


日本語の文字表現の文化をウェブに継承、縦書きサイトを表彰する「たてよこWebアワード2017」作品募集開始 INTERNET Watch(2017年10月20日)


 今年もやります「たてよこWebアワード」。BuzzFeedに「WEBでながーい"縦書き"をすると読みにくいことがわかる記事」というしょーもないネタがありましたが、「縦書きWeb普及委員会」のサイトや昨年のアワード受賞サイトなどを見ると、ちゃんとデザインされた縦書きサイトは決して読みづらくないことがわかると思います。


ネットでの著作権侵害は、コンテンツ販売に悪影響を与えない? 隠されていた「不都合な真実」が明らかに WIRED.jp(2017年10月21日)


 以前、マンガの海賊版には「最新作の売り上げ減少」と「旧作の売り上げ促進」の2つの効果をもたらすという論文記事が話題になりましたが、こちらは欧州委員会によって伏せられていた調査報告。「確定的な統計的証拠を示していない」とは言いつつ、大ヒット映画では40パーセントの置換率(つまり正規版が海賊版に40%食われた)という関連性も提示されており、実際にはマンガの海賊版とよく似た傾向なのではないかなと思われます。



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