「海賊版電書サイト・フリーブックスの閉鎖」「アマゾンジャパン、日販への発注を一部中止に」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年5月1日~7日)



 先週は「海賊版電書サイト・フリーブックスの閉鎖」「アマゾンジャパン、日販への発注を一部中止に」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年5月1日~7日分です。


書店でスマホのカメラをかざすと、本のPOPがARで表示されるアプリ、パルコブックセンター吉祥寺店で実証実験 INTERNET Watch(2017年5月1日)


 日販とデジハリが共同開催したハッカソンの受賞作品による実証実験。三省堂とBookLiveが2012年にリリースした、本の表紙にカメラをかざすとPOPが表示されるアプリ「ヨミCam」を思い出しました。ARが目新しいだけ、POPが見られるだけ? など、周囲では厳しい声も多かったですが、実験的な試みということで評価してあげたい。実証実験は5月7日までだったのでもう終了しています。見に行こうと思ってて忘れてた……。


「CSSで縦書き」の普及を促進する「たてよこWebアワード」の受賞作発表、和風な「縦書きWebサイト」を表彰 INTERNET Watch(2017年5月1日)


 これは是非一度、公式サイトや受賞サイトをご覧いただきたい。縦書き・横書きを効果的に用いること、ウェブにおける表現の幅がここまで広がるか、と身震いできます。範囲選択してみてください。画像じゃないんですよ!


英国政府、電子書籍も今年7月から正式に公共貸与権の対象に、議会で法案可決 hon.jp DayWatch(2017年5月1日)


 昨年11月に、EU司法裁判所が「公共図書館で電書を著者の許諾なく貸し出しできる」と判決。公共貸与権がある国では著者団体から歓迎されていました。この流れを受け、実証実験を続けていた英国で正式に公共貸与権の対象となったことで、他国にもこの流れが波及していくかもしれません。さて、日本は……?(参考:2005年の記事)。


米国下院、著作権局長をトランプ大統領による任命方式とする法案を可決、上院も通過濃厚 hon.jp DayWatch(2017年5月1日)


 アメリカ議会図書館管轄下にある著作権局を独立機関化する動き。「トランプ大統領による任命方式」というタイトルはちょっとおかしい(制度的には「大統領による推薦・任命方式」)ですが、独立機関化した後、最初に任命するのがトランプ大統領なので、すごーく嫌な予感がするのは確かです。


出版状況クロニクル108(2017年4月1日~4月30日) 出版・読書メモランダム(2017年5月1日)


 毎月楽しみな、小田光雄さんの出版状況クロニクル。15.でバリューブックスの古書売上を出版社に還元する取り組みについて取り上げていますが、“社外取締役として「本屋B&B」の内沼晋太郎が出てくる。そしてこのような企画の構図と人脈が浮かび上がってくることになる”というくだりは、まったく意味がわからない……陰謀論でしょうか?


アマゾンジャパン、日販非在庫書籍取寄せ発注を6月30日で終了 新文化(2017年5月1日)


アマゾン、出版社と直接取引強化 日販への発注一部中止へ 共同通信 47NEWS(2017年5月1日)


アマゾン、出版と直接取引 一部書籍、取次の日販介さず 日本経済新聞(2017年5月2日)


 先週ピックアップした文化通信「アマゾンジャパン、日販非在庫品の取り寄せ発注を終了へ」に次いで、新文化、共同通信、日経新聞などでも記事になりました。月曜社「ウラゲツ☆ブログ」のまとめや、「はてな匿名ダイアリー」の怪文書のほうが、状況を詳しく伝えています。


日経電子版、会員350万人突破 企業情報拡充、AIを活用 日本経済新聞(2017年5月2日)


 350万人突破は無料会員含め。有料会員は54万人。1月に「有料会員50万人突破」というリリースを出したばかりなので、急成長しています。横山光輝三国志のバナー広告が功を奏した?



注目浴びた巨大違法サイト「フリーブックス」は、なぜ突如閉鎖されたのか? KAI-YOU.net(2017年5月3日)


 海賊版電書サイトが閉鎖。5月1日に「はてな匿名ダイアリー」で取り上げられ話題になりアクセスが集中、恐らくDoS攻撃もあって陥落したようです。削除申請を完全無視する「DMCA IGNORE(防弾ホスティングサービス)」を利用しているというかなり巧妙なやり口のサイトでした。これで出版関係者に、海賊版サイトにはDoS攻撃が有効(ただし威力業務妨害)であると認識されたかも。
 同様の海賊版サイトは探せばいくつも見つかりますが、「フリーブックス」はアングラ感がまったくなく、一般ユーザーが正規のサイトと区別する手段がないことが恐ろしいと思いました。音楽・映像配信系の「エルマーク」のように、権利者から正規に許諾を得たサイトですよという印を、日本書籍出版協会あたりが用意すべきではないかでしょうか。


Facebook増収増益、ユーザー20億人目前 ITmedia NEWS(2017年5月4日)


 なんだかんだで増収増益。ユーザー数が増加傾向なのは、軽量版アプリ「Facebook Lite」の影響でしょうか。iOSにも軽量版欲しい……。


欧州委、アマゾンと改善策で合意 電子書籍巡り 日本経済新聞(2017年5月4日)


 EUにおいては、拘束条件付き取引(最恵国待遇条項)が取り止めに。日本では去年の8月に公取委が立入検査を行っていますが、その後続報がありません……。


出版物流、荷物減っても配送負担が増す理由 日本経済新聞(2017年5月5日)


 出版物流が破綻寸前である理由は、雑誌の販売数は減っているけど、配達先のコンビニが増えているから。この10年で運ぶ荷物が3割減っているのに、配達先数は2割増えているそうです。


広告まみれの女性誌にうんざりの貴女へ『VERY』部数に迫る注目のテスト誌『LDK』 ウートピ(2017年5月6日)


 晋遊舎『LDK』、印刷証明付き発行部数で20万部というのはすごい。広告を載せず徹底的にアイテムテスト&批評するというコンセプトは昔の『暮しの手帖』と同じですが、「こんな本は今までなかったから新鮮」という声が挙がるということは、『暮しの手帖』とは異なる層へ届いているということでしょう。なお、『暮しの手帖』は印刷証明付き発行部数を公開していませんが、JMPAマガジンデータ(部数算定期間 : 2015年10月1日~2016年9月30日)によると20万部です。恐らく実売ではすでに晋遊舎『LDK』のほうが上、ということになるでしょう。


三栄書房、クルマ電子書籍の会員制定期配信サービスを開始…無料試用実施中 レスポンス(2017年5月6日)


 三栄書房直営の、電子雑誌読み放題&販売サイト「ASB電子雑誌書店」のβ版が開始。6月30日まで無料で試用できます。バックエンド、どこだろう? こういう雑誌のバックナンバーまで読める系のサービスは「権利処理をどうしているんだろう?」というのがいつも謎だった(真面目にやるなら文化庁長官の裁定制度しかない)のですが、こちらの場合はラインアップが電子化本格化以降の比較的新しめのものが中心なので、本誌制作時にデジタル配信の許諾を得ているものだけ「バックナンバー」として扱っているものと思われます。



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