2017年1月23日月曜日

「電書売上が軽視されるわけ」「絵本の無料公開で売上増」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2017年1月16日~22日)

iPadのBookLive!

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「電書売上が軽視されるわけ」「絵本の無料公開で売上増」などが話題になっていました。



KADOKAWA、東所沢に”ポップカルチャーの一大拠点”建設-2020年4月完成目指す 都市商業研究所(2017年1月15日)


 1週前の記事ですが見落としていたのでピックアップ。「クール・ジャパン・フォレスト構想」の続報です。オリンピックには間に合うようです。プロジェクトにはCCCや西武鉄道グループも参画しているとのこと。


電子書籍が売れてもマイナス、は何故なのか? Togetterまとめ(2017年1月15日)


 1週前のまとめですが見落としていたのでピックアップ。ライトノベルの電子の売上が「続刊」に寄与しない、どころかマイナスになる(だから紙を買ってね)という、編集エージェントの方の主張。「紙の増刷」判断に加味されないのは理解できるのですが、続刊判断にも加味されないとは……なんだか釈然としませんが、結局のところまだライトノベル市場はまだ紙が圧倒的に強いということなのでしょう。「営業」の部隊が直接関与するのは、まだ紙が中心ということなのかもしれませんね。


「1週間以内に本屋で買ってくれないと重版されない」って脅されると買いたくなくなる アオシマ書店(2017年1月16日)


 最近多く目にするようになった、発売直後に「書店で買ってください」というお願い。購入意欲を削いで逆効果になっている場合もあるよと、ゲーム作家の米光一成さんが警鐘。実際問題、お願いされてわざわざ買いに行っても、売ってない場合も多くてですね……。


電子書籍が変える読書 世界市場4年で急成長 日本経済新聞(2017年1月16日)


 日経新聞によるインフォグラフィック。世界の紙書籍市場が2011年の506億ドルから2015年の463億ドルと43億ドルのマイナスになっているのに対し、電書が同じ期間に40億ドルから99億ドルと59億ドルのプラス。ということは、差し引きではプラスになってます。


Internet Archive、消失したウェブページのアーカイブを自動的に表示させるChrome拡張機能を公開 カレントアウェアネス・ポータル(2017年1月17日)


 これは便利。さっそく入れておいたら、サーバーが落ちていて繋がらないときにも起動しました。なお、読売新聞社のウェブサイトのように、robots.txtで「Internet Archive」を排除している場合は、閲覧不能です。


なぜ電子出版は軽視されるのか ITmedia ビジネスオンライン(2017年1月18日)


 電書市場が伸びているのに、期待が薄い理由について。端的に言えば「まだ市場が小さいから」に尽きるでしょう。それは現状ではいたしかたないとして、この記事には細かいツッコミどころがいろいろあって頭が痛くなりました。数字や事例を挙げて解説しているのはいいのですが……。

インプレス総合研究所によると、2015年の電子出版市場は1826億円(前年比29%増)と大きく成長している。けん引しているのは8割以上を占める電子コミックだが(後略)

 1ページ目。電子コミック市場は1277億円なので、分母が「電子出版市場」なら69.9%と7割を切っています。分母が電子雑誌を除く「電子書籍市場」なら1584億円なので、電子コミックは80.6%と「8割以上」になります。

まず挙げられるのは、まだまだ紙に比べると出る数が少ないという点だろう。昨年9月、東京国際ブックフェア内で行われたイベントで、ブックウォーカーの安本洋一社長は「電子出版の割合は、KADOKAWAではまだ10%いくかいかないか(後略)

 2ページ目。導入は「点数」の話ですが、安本社長は「売上比率」の話をしています。私は前から「売っていないものは買えない」と言い続けており、売上が伸びない理由の一つに点数が少ないことがあるとは思っています。が、ちょっとこの部分は飛躍しすぎ。

「規格が統一されていない」といった消費者にとってのデメリットも残っている。

 4ページ目。「規格」は利用者にとって本質的な問題ではありません。デジタル著作権管理(DRM)によってベンダーにロックインされている点が問題。だから「本棚が分散してしまう」とか「サービス終了で読めなくなる」といった不便が起きてしまうのです。


「Windows 10」に電子書籍ストアが登場か 次期アップデートで CNET Japan(2017年1月18日)


 昨年11月に、「Windows 10」の次期メジャーアップデートで、ブラウザ「Edge」がEPUB形式の閲覧に対応する見込みだというニュースがありました。それは、Microsoft自身が電子書店の販売を始めるためだったようです。ということは当然、「Android」や「iOS」や「Mac OS」にも対応するんですよね? いまどき、マルチデバイスに対応していない電子書店なんて、あり得ませんよね?(毒)


EU議会、昨年11月のEU司法裁判所の判決を受け、加盟28国の公共図書館すべてで電子書籍貸し出し自由化させる方針 hon.jp DayWatch(2017年1月18日)


 貸出回数に応じて著作権者に補償金が支払われる「公共貸与権」がある国とない国とでは、結果に大きな差が付きそうな動き。公共貸与権のある国では、著作権者は大喜びで図書館へ電子版をガンガン提供、有償の読み放題サービスが成り立たなくなる、かも。公共貸与権のない国では、タダで借りられてはかなわないと、図書館へ電子版が供給されなくなる、かも。うーん。


加Rakuten Kobo社、南アの大手書店チェーンExclusive Books社の電子書籍ストア事業を承継 hon.jp DayWatch(2017年1月18日)


 ドイツ「Tolino」に続いて。楽天、世界中のあちこちで電子書店を買いまくってますね。


「2017年本屋大賞」現在までの売れ方からノミネート10作を解説! ほんのひきだし(2017年1月18日)


 日販運営の「ほんのひきだし」による、ひとあじ違った本屋大賞ノミネート作品紹介。週別の販売冊数と売上推移のグラフが付いています。森絵都さんの『みかづき』、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』、塩田武士さんの『罪の声』など、発売開始から数カ月後にブレイクして急に売上が伸びている作品も結構あることがわかります。もちろん、こういう動き方をするのは、ジャンルにも依るとは思いますが。


同人誌即売会で電子書籍を手売りできるカードが登場 ダウンロードコードで同人誌の新刊が読めるように  ねとらぼ(2017年1月19日)


 昨秋のコミティアや文学フリマに引き続き。「BWインディーズ カード」という名称が出たのは初めてかな? ダウンロードコードの利用期限が1年に延びています(現地で要望したのが通った!)。なお、有限会社ねこのしっぽの印刷オプションなので、紙本の発注が必須要件になっています。


BuzzFeed Japan、月間ユニークビジター数1,600万人以上に BuzzFeed Japan(2017年1月19日)


 日本上陸1年。最初は「これでバイラルするのか……?」と疑問に思っていたのですが、見事に定着。とくにDeNA「WELQ」問題のような、他メディアの悪い点を追及する動きが素晴らしかったと思います。


巻数の多いマンガのシリーズ予約も簡単! BookLiveが予約サービス開始、シリーズ一覧から「新刊オート購入」も可能に ネタとぴ(2017年1月19日)


 「BookLive!」に「購入予約」と「新刊オート購入」機能が追加。やっと!


「ネットから盗用写真を駆逐せよ」 「アサヒカメラ」2月号に「損害賠償&削除マニュアル」 ITmedia ニュース(2017年1月20日)


 キュレーションサービスやまとめサイトに写真を無断利用された場合の、利用料請求や削除要請の方法について解説している特集。内容が気になるので、思わず注文してしまいました。


「えんとつ町のプペル」Amazonで1位に 無料公開で宣伝効果 「クリエイターの対価問題は別の話」 西野さん、批判に反論 ITmedia ニュース(2017年1月20日)


 西野氏の言動はあからさまな炎上マーケティングなので反応しづらいのですが、どうも私には「筋が悪い」と思える批判を多く目にします。「ウェブでの無料公開」を宣伝に利用する手法は「フリーミアム」と呼ばれ、すでに前例がたくさんあります。決して珍しい手法ではありません。これが「クリエイター潰しだ」などと批判されたら、「Twitter」や「pixiv」などのツールが利用できなくなってしまいます。「紙の本を売る」という目的を考えると、プロデューサーとしては優秀。売れれば出版社や書店も潤うわけで、まずは売れることが重要なのです。ただ、紙の本をもっと売るための宣伝手段としてウェブでの無料公開を用いているのは明らかなのに、「小学生のため」や「もう『お金』なんて要らない」というキレイゴトで隠しているところは、エゲツナイ。真似できないし、したいとも思いません。


米、TPP離脱表明 NAFTAも再交渉 日本経済新聞(2017年1月21日)


 公約通り、就任初日にTPP離脱表明。域内GDP65%を占めるアメリカが離脱すれば、TPPは発行しません。昨年末に日本の国会で承認されたTPP関連の法律は、施行日がTPP発行の日になっているので、宙に浮いたままとなることが確定的になりました。もちろん著作権法の「保護期間延長」「非親告罪化」なども、現状維持ということに。もっとも、これを喜ぶことはちょっと早計で、恐らく今後協議される2カ国の自由貿易協定(FTA)で、もっとシビアな条件を呑まされることになる可能性がががが。怖い、怖い。



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