2016年11月9日水曜日

孤児著作物をより利活用しやすくするための大きな前進!権利者団体が実行委員会を結成し実証事業を開始

文芸家協会の記者会見

11月9日、麹町の日本文藝家協会会議室にて行われた記者会見を、現地から速報レポートします。孤児著作物問題を解決するための実証事業を開始することについての報告です。



事業趣旨(配付資料より)


著作権者不明等の場合の裁定制度について、より利用しやすい仕組みに改善するため、利用者の負担を軽減する方策を検討する実証事業を、権利者団体の協力を得て行う。

著作権者不明等の場合の裁定制度についてはこちら。



事業内容(配付資料より)


権利者団体が、利用者の利用ニーズを踏まえて、著作権者不明著作物の裁定利用に必要な「権利者の捜索」や「文化庁への申請」等をまとめて行う。この実証事業を通じて、利用者の負担軽減の効果や課題について検証する。

○事業実施団体
権利者団体(9団体*)で構成する「オーファンワークス実証事業実行委員会」
○実施内容
①利用ニーズの調査、②権利者の捜索、③裁定申請、④補償金の供託 など
※「権利者の捜索」や「裁定申請」等に必要な費用は利用者に負担を求めない。実行委員会が負担。
○対象とする著作物
書籍、新聞、雑誌、学術文献、漫画、写真、美術、音楽 など
○対象とする利用行為
著作物を大量に利用する行為(著作物のインターネット利用、著作物の企業内の紙の複製・電子複製など)
○補償金
実行委員会が補償金の支払い義務を負う。補償金と同額を利用者が負担
(実行委員会が権利者団体の意見を聞いて、妥当と考える補償金(通常の使用料相当額)を参考資料として申請書に添付。)
○裁定の手数料
実行委員会が負担
○事業実施時期
平成28年10月~平成29年3月を予定(裁定申請は平成28年11月~平成29年1月の毎月1回、計3回程度を予定)。


委員長 三田誠広氏挨拶


「オーファン」とは? 作品はあるけど作者がわからないこと。なぜそういう著作物を使う必要があるのか? → 例えば入試問題には著作権法の例外規定で使用可能だが、問題集への収録には権利者の許諾が必要となる。そういう問題を速やかに解決するにはどうすればいいのか? を勉強会で議論してきた。文化庁裁定制度は、手続き1回につき2万円が必要になる。合理的かつ簡易にできないか? → 実証実験にこぎつけた。


実行委員会メンバー


実行委員長:
三田誠広(日本文藝家協会 副理事長)

幹事:
瀬尾太一(日本写真著作権協会 常務理事)
世古和博(日本音楽著作権協会 常任理事)
赤松健(日本漫画家協会 理事)

監事:
梅憲男(日本美術著作権連合 事務局長)

日本文藝家協会
日本写真著作権協会
日本音楽著作権協会
日本美術家連盟
日本美術著作権連合
日本脚本家連盟
日本シナリオ作家協会
日本漫画家協会
日本複製権センター
(ここまでが*の9団体)
オーファンワークス勉強会

アドバイザー:
山本隆司 弁護士(インフォテック法律事務所)
池村聡 弁護士(森・濱田松本法律事務所)
大塚大 行政書士(駒沢公園行政書士事務所)
日本行政書士会連合会

事務局(議事):日本文藝家協会
事務局(業務):日本複製権センター




これまでの経緯(記事)


権利者団体が孤児著作物問題を解決するためオーファン勉強会を結成、議論を積み重ねてきた。






ポイント


  • 著作権者自身が中心となって取り組んでいる
  • 法改正をしない(現行制度をそのまま利用)

実行委員会はオーファン勉強会を母体にして結成。実証事業の費用は実行委員会持ち。4月以降実証化するための検証。2万1000円かかる手数料の軽減を検討(←件数多くなるほどネックになる)。より現実的な供託金額を実行委員会から提案。

「拡大集中処理」はカバー率が高い。今回の実証事業には含まれない。

文芸、写真、グラフィックはカバー率が低い。そしてかなり件数が多い。



スケジュール


2016年10月:
実行委員会設置、第1回実行委員会開催

2016年11月~2017年1月:
裁定利用ニーズの調査、相当の探索実施、月末にまとめて申請、各月で実行委員会の開催

2016年2月:
利用の実態についてのまとめ、制度に対する意見などの検討、実行委員会の開催、報告書の作成

2017年3月:
実行委員会の開催、報告を兼ねたシンポジウムを開催


質疑応答


質問:スケジュールについて。利用ニーズの受付開始は12月から?
瀬尾:11月の申請は権利者団体からこれまでの議論で上がっていたものを申請。12月から一般公募。

質問:従来の制度と比べ期間と費用はどれくらい変わる? 一般公募の申請も実行委員会負担?
瀬尾:まとめて申請すると手数料が安くなるので、1カ月単位でまとめる。

文化庁:現状、申請から最大2カ月。
瀬尾:まず1カ月でやる。最終的には2週間くらいで。

質問:一般公募の申請も実行委員会負担?
瀬尾:そうです。太っ腹です。

質問:いま申請件数は?
文化庁:年間50回くらい。件数は3万くらい(申請1回あたりの件数を多くしたほうが手数料が安くなるため)
文化庁:正確にコストのことを言うと、裁定申請手数料は1万3000円、日刊新聞への広告または著作権情報センターへの広告(こっちが8300円)。

質問:4月から本格運用するのであれば、今後増えそうだと見込んでいる分野は?
瀬尾:試験問題集。図書館資料や郷土資料などのウェブ公開。報告書(公的に出すべきもの)。同人誌の復刻。

質問:TPP保護期間延長が影響している?
瀬尾:死後50年であっても、すぐにわからなくなってしまう。
三田:地方の文学館、例えば宮沢賢治の著作権保護期間はもう切れているが、宮沢賢治が出した同人誌に参加した他の方々はわからなくなっている場合が多い。

質問:4月以降の体制は?
瀬尾:今回の実証事業次第。ニーズがある場合ない場合、手間がかからない場合かかる場合で、採算がとれるのか赤字になるかが変わってくる。だから、引き受けるところも変わってくると思うので、決めていない。オーファンの具体的な数がまだわからないので、3月のシンポジウムをお楽しみに。
三田:はっきり言って、儲かるような話じゃないですよ(笑)
赤松:マンガ分野は商利用を前提とした実証事業を行う予定。亡くなった漫画家「柴山薫」先生の作品です。

赤松健

質問:手数料がゼロになることは?
瀬尾:それはあり得ない。

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