全国685館で閲覧・複写可能な「図書館送信(図書館向けデジタル化資料送信サービス)」がまだあまり認知されていない


昭和6年当時の新刊広告が話題になっていたけど、全国685館で閲覧・複写可能な「図書館送信(図書館向けデジタル化資料送信サービス)」のことは、まだあまり知られていないのだなと痛感した話。



国立国会図書館に行かなければ読めないという勘違い


話題になっていたツイートはこちら。


なかなか強烈な広告です。Togetterで反応がまとめられていました。



まとめを読むと、「島洋之助」という著者名や『童貞の機関車』というタイトルから、「NDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)」や「国立国会図書館デジタルコレクション」や「国立国会図書館サーチ(NDL Search)」で調べて存在を確認する人が現れます。

ところが、国立国会図書館に行かなければ読めないと勘違いしている人も意外と多いのです。これは、Togetterでまとめられている反応やコメント欄だけではなく、まとめに対するはてなブックマークやTwitterの反応を確認しても同じ。「図書館送信」があるのに!


「図書館送信参加館内公開」とは?


島洋之助『童貞の機関車』は、「国立国会図書館サーチ(NDL Search)」の検索結果を見ると、昭和5年に赤炉閣書房から発行された本だということがわかります。


検索結果の「著作権処理情報」の「著作権状態」を見ると、「国立国会図書館/図書館送信参加館内公開」と書いてあります。このまま右上の「見る・借りる」から「国立国会図書館デジタルコレクション」を開くと、下図のような表示になってしまいます。


この資料は、著作権の保護期間中であるか、著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません。 閲覧を希望される場合は、国立国会図書館または図書館送信参加館へご来館ください。

著作権保護期間が満了した資料、著作権者の許諾を得た資料、文化庁長官の裁定を受けた資料は、インターネット上の「国立国会図書館デジタルコレクション」で画像が公開され、誰でも閲覧できます。ところが島洋之助『童貞の機関車』は、残念ながらまだ館内限定公開なのです。

とはいえ、国立国会図書館まで行かなければ閲覧できない、というわけではありません。上記引用文に「または図書館送信参加館へご来館ください」とありますね。これが「図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)」です。

デジタル化資料送信サービス(図書館送信)は、国立国会図書館がデジタル化した資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等(当館の承認を受けた図書館に限ります。)の館内で利用できるサービスです。

つまりこの「図書館送信」に参加している図書館へ行けば、その館内でなら閲覧可能なのです。複写できる館もあります。参加館は2016年5月2日時点で、なんと685館。公共図書館は、北は北海道から南は沖縄まで、全国47都道府県すべてが網羅されています。大学図書館、その他の図書館もたくさん参加しています。



これは使わないともったいない!


ところが未参加館は、図書館員でも存在を知らない……


たまたま昨日、ライトノベル市場のことを調べるため、近所の図書館へ行く機会がありました。残念ながらそこは「図書館送信」未参加館。ただ、近くて便利なのでぜひ導入して欲しいと思い、図書館員にあえて質問してみました。

「国立国会図書館の、デジタル化資料送信サービスって対応してます?」
「えっ?」
「えっ?」

……どうやらご存じない様子。スマホで国立国会図書館の画面を見せつつ説明すると、何人かリレーされたのち、当館は未導入であること、導入予定もないこと、そして恐らく、導入検討の俎上にすら載せられていないことがわかりました。公共図書館の図書館員でも知らない人が多いなら、一般ユーザーが知らなくても無理はないですよね……トホホ。

ただ、電子出版制作・流通協議会(電流協)の『電子図書館・電子書籍貸出サービス調査報告2015』によると、2015年4月~5月に公共図書館に対し行われたアンケート調査(n=791)では、この「図書館送信」導入済みが18%135館、今後導入計画があるのが21%92館という状態でした。現時点で685館というのは、たったの1年間ですっごい普及したってことですよね。今後に期待しましょう!