2016年4月21日木曜日

楽天が「楽天Kobo」とは完全に別の電子書店「楽天マンガ」を始めた理由は


昨日、楽天は新サービス「楽天マンガ」をリリースしました。「楽天Kobo」とは完全に別系統の電子書店で、同じ楽天IDでログインしても本棚は共有できません。楽天はなぜこんなことをしたのでしょう? 理由を考えてみました。



楽天マンガはメディアドゥとの提携


私が驚いたのは、楽天マンガは電子取次メディアドゥとの提携だという点。勘違いして欲しくないのですが、メディアドゥが悪いと言っているわけではありません。東証一部上場で、売上利益ともに伸び続けている優良企業です。この提携によって、株価も急伸しています。



メディアドゥは、「LINEマンガ」や「ポンパレeブックストア」といった電子書店のバックエンドを提供している、いわゆる「武器商人」です。既に他のサービスで多くの会員を獲得している企業が、まったくのゼロから手っ取り早く電子書店を始める場合の選択肢の一つです。同業他社にはシャープ、インフォシティ、モリサワ、アクセス、セルシス、ボイジャーなどがあります。

ところが楽天の場合、2011年に買収した子会社 Rakuten Kobo, Inc. が既に存在しています。電子書店を自社で持っているのですから、普通に考えたらわざわざメディアドゥと提携する理由がありません。


国内電子コミック市場は大幅成長中


出版科学研究所「出版月報」によると、2015年の電子出版市場は1502億円。そのうち1149億円が電子コミックで、占有率は76.5%、対前年比は130.3%と急成長しています。ここにはもちろん、楽天Koboの売上も寄与しています。

では楽天Koboの売上はどれくらいの規模なのか? 残念ながらIR資料には載っていません。MMD研究所の利用率調査(2016年)では、「電子書籍利用者(n=442)」の45.0%がKindleストア、2番手が楽天Koboで27.6%です。利用頻度や購入点数の違いを無視して荒っぽくこの数字をそのまま適用すると、楽天KoboはKindleストアの6割くらいの売上規模、ということになります。

日本国内だけを考えると、Kindleストアの背中を追いかけていれば、ひとまず市場の拡大とともに堅調な成長が見込めそうです。


Rakuten Koboは世界第3位、らしい


では世界ではどうなのか? Rakuten Kobo の自己申告ですが、Kindle store、iBooks store に次ぐ、世界第3位というポジションのようです。



問題は恐らくここにあって、世界戦略で動いていると、日本国内向けだけの施策が打ちづらいのではないでしょうか。人口が多い英語圏向けの開発が、どうしても優先されることが予想できます。

これは実は Amazon や Apple も状況は同じで、大きい会社でも開発リソースは限られており、ローカル向けの対応はとても鈍重です。例えば、そのシステム開発によって売上対前年比120%伸張が見込まれる、みたいな「数字」を根拠をもって示す必要があったりします。


「兵は拙速を尊ぶ」


恐らく楽天は、日本国内における電子書店事業を「市場の拡大とともに堅調な成長」程度ではなく、Kindleストアに追いつき、追い越すような急成長をさせたいと思っているでしょう。

日本では大幅に成長している電子コミック市場に特化した動きで、シェアを拡大したい。でも、Rakuten Kobo のリソースがいまは割けない。であれば、社外と提携してでもさっさとやる、というような判断だったのかな? と予想します。

ひとまず楽天IDで紐付けしておけば、あとから本棚を統合することもできるし、いざとなれば楽天ポイントを付与すればいい、と。要するに「兵は拙速を尊ぶ」というやつです。少々まずい作戦であっても、勝てばいいのです。

勝てれば、ね。

週間人気投稿

月間人気投稿