2016年1月25日月曜日

「軽減税率書籍の線引きは見送り」「バズフィード日本版正式オープン」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2016年1月18日~24日)

iPadのKindle

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「軽減税率書籍の線引きは見送り」「バズフィード日本版正式オープン」などが話題になっていました。



京都の「街の本屋」が独立した理由 〜堀部篤史さんに聞く【後編】 « マガジン航[kɔː] ※2016年1月18日


誠光社の在り方を模索する際に、堀部さんが念頭に置いたのは取次に依存しない書店経営、すなわち出版社と直で取引するという思い切った展開だった。

いまから書店を始めようと思ったら、やはりそういう方向性になりますよね。書店は取次を飛ばして粗利率アップを図り、出版社は直販で粗利率アップを図る。いずれにしても取次受難の時代だなあ、という感じ。


軽減税率、「書籍」の線引きを今国会は見送り 政府・与党 :日本経済新聞 ※2016年1月18日


この件、山田太郎参議院議員が非常に素晴らしい動きをしてくれました。菅義偉官房長官が「政府で決めると表現の自由などの問題がある。有害図書は自主規制してもらい、議員立法で決めることが必要だ」などと言っていたのですが、山田議員の質問によって、それは憲法87条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする(租税法律主義)」に反する、すなわち自主規制で税率を決めることはできない、という答弁を引き出したのです。いまのところ東スポ選挙ドットコムなどの一部メディアしか取り上げていないっぽいですが、「表現の自由」を守る大変グッジョブでありました。

山本太郎や山本太一や山本一郎や山田太一と混同しないように。


(インタビュー)出版流通の壁 スイッチ・パブリッシング社長、新井敏記さん:朝日新聞デジタル ※2016年1月20日


村上春樹さんのエッセー『職業としての小説家』が、「紀伊國屋書店による買い占め」や「Amazonに対抗」などと報じられたけど、そうではないことが明らかにされたインタビュー。中小出版社が「配本手数料」などの名目で取次に取られる「歩戻し」の見直し交渉がうまくいかず、資金繰りにも困ってたところを紀伊國屋書店が助けた、というのが真相だったようです。要するにこれも「取次飛ばし」だったわけですよね。


EBook2.0 Magazine – 『ポッター』E-Book版「開放」の舞台裏 ※2016年1月19日


この件は、このコメントがすべてという気がします。

The Digital Readerのネイト・ホフェルダー氏は、本件は出版社による直販が有効ではないことを証明したものではなく、ただ出版社による独占販売が成功しないことを示しただけであると述べている。

流通チャネルを特定の場所だけに頼るのはリスクが高いので、直販含め複数チャネルの組み合わせというのがセオリー。「Kindleストアだけでいい」などという意見は危険ですぞ。


クックパッド創業者が現経営陣と対立か 取締役刷新を求め株主提案 - ITmedia ビジネスオンライン ※2016年1月19日


クックパッドはイーブックイニシアティブジャパンの筆頭株主。「料理から離れた事業に注力」という意味ではモロに引っかかりそうなので取り上げておきます。


新潮社がBook Bangをはじめたわけ « マガジン航[kɔː] ※2016年1月21日


まつもとあつしさんによるインタビュー。素早い。素晴らしい。いまのところ収益事業として位置づけられておらず、運営のリソースは一部「デイリー新潮」と共用しているそうです。大丈夫かな? ちなみに、オープン直後に公式アカウントに尋ねたのですが、「Book Bang」とスペースを空けるのが正しい表記だそうです。


JTBパブリッシング、成田空港第3ターミナルで電子書籍サービス「たびのたね」クーポンカードを販売開始 – hon.jp DayWatch ※2016年1月21日


Offline to Onlineの取り組み。旅行と空港という親和性の高いところがいいですね。見てみたいのですが、成田空港第3ターミナルはちょっと遠い。


誤報でないときの事後対応にみるメディアの〈誠実度〉(上) ~朝日の一例~(楊井人文) - 個人 - Yahoo!ニュース ※2016年1月21日


「Amazonの始めた紙本の値引き販売に筑摩書房が参加」というのは主客が逆転していると、筑摩書房が抗議文を掲載した件の顛末がまとめられています。

山野社長は読んだ瞬間、「これは主客が転倒していて間違いだ。こんなことを書かれては会社がつぶれかねない」と危機感をもったという。

ここがすごく気になります。この記事だけで会社がつぶれかねないという危機感を抱かせてしまうとは。「再販制護持」を唱えない出版社は、書店や取次から爪弾き者にされる、ということなのでしょうか? 「時限再販は再販制を守るため」というのは、理屈はわからないでもないけど、いちユーザーとしては納得ができない話なのですが。


バズフィードが閉鎖的な日本のメディア業界に「革命」を起こすかもしれない3つの理由(藤代裕之) - 個人 - Yahoo!ニュース ※2016年1月21日


藤代裕之さんによるバズフィード日本版の評価。「技術と編集の融合」「グローバル」「ソーシャル」と理由を挙げているのですが、ではなぜ2013年には「ハフィントン・ポスト日本版は失敗する(藤代裕之) - 個人 - Yahoo!ニュース」という記事を書いたのかが疑問でした。それをTwitterに書いたら、本人から回答アリ。


これは「日本版『BuzzFeed』は失敗すると思う理由(ふじいりょう) - 個人 - Yahoo!ニュース」のこと。なんか、なんだかなあ。苦笑するしかない。


Buzzfeed Japanはヤフーがコンテンツ制作に乗り出す狼煙である(いしたにまさき) - 個人 - Yahoo!ニュース ※2016年1月21日


いしたにまさきさんによるバズフィード日本版の評価。こちらは、ヤフーと組むことの意味についてしっかり語られていてわかりやすい。ハフィントンポストが朝日新聞社と組んだのと好対照。ヤフーの子会社がやってる「THE PAGE」の立場は、という気もしますが。



30代、40代、50代のライター鼎談|定年なきフリーライターが10年後も生き残るために必要なこと【後編】 | THE LANCER(ザ・ランサー) ※2016年1月22日


いろいろ身につまされる記事。

オバタ:何でも書くライターでやっていくのはありえないんじゃないかな、と。ありえるのは専門家でしょうね。このテーマだったら彼だよね、彼女だよねってなれば、仕事は来るから。ただそういう人は、俺の年代ではほとんど大学の先生になっている。

思わず「あっ」と声が出ました。非常勤講師だと安いんですけどね……。



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