「谷崎潤一郎や江戸川乱歩などのパブリックドメイン作品が青空文庫で公開」「2015年出版物販売額(紙)1兆5200億円」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #201(2015年12月28日~2016年1月3日)

iPadのhonto

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「谷崎潤一郎や江戸川乱歩などのパブリックドメイン作品が青空文庫で公開」「2015年出版物販売額(紙)1兆5200億円」などが話題になっていました。

KADOKAWA、二次創作OKの小説投稿サイト「カクヨム」で作品の受付開始、ウェブ小説コンテストも実施 -INTERNET Watch ※2015年12月28日

作品受付開始。コンテストは「他サイト等に発表されている作品であっても応募を可とします」という条件になっており、観測範囲の創作者さんたちはかなり高い関心を示しています。

人工知能と著作権 ~増大するAIコンテンツを握るのは誰か?~ -INTERNET Watch ※2015年12月28日

AIによる創作物に著作権を認めるかどうか? という問題。実は年末に某雑誌の取材で「近い将来、AIによる創作物が人間の生み出した創作物と判別できなくなる日がくるかも」という話をして、その直後にこの記事を読んで「なんという偶然」と驚きました。

今年の出版物販売額、落ち込み最大に240万部超 「火花」で書籍健闘も、雑誌の不振深刻(1/2ページ) – 産経ニュース ※2015年12月29日

出版科学研究所による2015年「紙の」出版物販売額は1兆5200億円。定期刊行される雑誌によって成り立ってきた流通インフラが危機的状況なのは間違いありません。ただ、これはトーハンのデータを元にした推計値で、電子出版の数字が含まれていないことには留意する必要があります。

毎度荒っぽいですが、インプレス『電子書籍ビジネス調査報告書2015』の2015年予測1890億円を合計して、1兆7090億円とします。2014年「紙の」出版物販売額は1兆6065億円、電子出版は1411億円なので、合計1兆7476億円。つまり対前年比はマイナス385億円。ちなみにこれは「出版物販売額」だけの話で、出版社には他に広告、グッズ、IP、不動産などの収益源があります。

LINEマンガまとめ2015発表。総閲覧ページ数は880億!ストア人気トップはキングダム!2位は監獄学園 ※2015年12月29日

いろいろ数字が出ています。累計ダウンロード数1200万は、マンガアプリ系トップクラス。年間総閲覧ページ数881億8579万5458ページ、年間総閲覧回数25億1331万8023回。ダウンロード数で割ると、約7350ページ・209回ということになりますね。

元リリースを見ても「LINEマンガインディーズ」について “無料連載(インディーズ含む)” しか触れられていないのがわたし気になります。

『火花』のヒットでも太刀打ちできない本屋の苦しい実態……2015年出版流通業界10大ニュース【前編】|サイゾーpremium ※2015年12月30日

2016年もアマゾンからの容赦無い圧力は続くのか……2015年出版流通業界10大ニュース【後編】|サイゾーpremium ※2015年12月日

謎の佐伯雄大さん+どこかの出版社+どこかの書店員による覆面対談。サイゾー系あまり触れたくないのですが、紙の市場しか見ていない人の視点だとこうなるのね、というのが分かって興味深い。電子出版市場が2割くらいを占めたら、彼らの視界にも入るようになる?

新人作家デビューの新しい手段として定着―「小説投稿サイト」の2015年を総括 | ダ・ヴィンチニュース ※2015年12月31日

台頭する「なろう」系小説 – ニューススイッチ ※2016年1月1日

年末年始のタイミングに、まったく別の媒体(ニューススイッチは日刊工業新聞社)から、似たような題材の記事が出たのが面白い。ダ・ヴィンチの方で挙げられているサイトは「野いちご」と「taskey」以外は知ってました。

青空文庫に谷崎潤一郎「春琴抄」、江戸川乱歩「二銭銅貨」など登場 – ITmedia ニュース ※2016年1月1日

Happy Public Domain Day! なお、元旦の青空文庫「そらもよう」には、著作権者存命作品の受け入れを再開するという告知がありました。

出版状況クロニクル92(2015年12月1日~12月31日) – 出版・読書メモランダム ※2016年1月1日

毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクル。やはり電子出版系には一切触れず。

本の値段、どうあるべきか 多様化する販売網と価格:朝日新聞デジタル ※2016年1月1日

津田大介さん、山野浩一さん(筑摩書房社長)、柴野響子さん(上智大准教授)、植村八潮さん(専修大学教授)によるコメント。全員「時限再販もっと積極的にやろうぜ」と言ってるのが面白い。書店サイドはどういう見解なのかしらん? この件、あとで別記事に。

発表! 2015年 電子書籍重大ニュース!(KADOKAWA)|株式会社KADOKAWAのプレスリリース ※2016年1月2日

最後の方にサラッと “NTTドコモの雑誌読み放題アプリ「dマガジン」の契約者数が250万人を突破しました” と書いてあったのでピックアップ。半年で+50万人。

「活字離れ」論の文化史 「定義」と「統計」の実証研究 日本出版学会春季研究発表会 林 智彦 – SlideShare ※2016年1月3日

林智彦さんが昨年5月の日本出版学会春季研究発表会で公表したスライドがお年玉として(?)SlideShareに公開。“結論:「活字離れ」論に根拠はない” です。

タイトルとURLをコピーしました