「Kindle Singles日本でスタート」「楽天Koboライティングライフ正式スタート」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #166(2015年4月27日~5月3日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Kindle Singles日本でスタート」「楽天Koboライティングライフ正式スタート」などが話題になっていました。

著者が“最も適切と思う長さ”で電子出版できるサービス–アマゾンが日本でも開始 – CNET Japan ※2015年4月28日

「Kindle Singles」がようやく日本でも開始。低価格・短時間で読める「イーシングル」は2011年ごろから開始され、日本でも2012年には話題になっており、そのころ既に「impress QuickBooks」や「カドカワ・ミニッツブック」などが登場しています。

だから正直、ずっと情報を追ってきた身としては「今さら」な感じなんですが、「アマゾンが始めた」という1点で話題になってしまうのだろうなあ。KDPとの違いは誰でも掲載できるわけではない点のようです。掲載希望申請をされた方によると、審査に最長6週間かかるとのこと

楽天Koboライティングライフが正式スタート、新たに予約販売機能を追加 – ITmedia eBook USER ※2015年4月30日

昨年12月にβ版としてスタートした「楽天Koboライティングライフ」が、いよいよ正式スタート。β版開始時の記念イベントはマガジン航にレポートしていますが、予約販売機能が追加されたのが当時との違いです。ちなみに『公式ガイド』読んでみましたが、うーん……800円出して買う価値はないかも。ヘルプページより図版が多くて分かりやすいのは確かですが。

【新文化】 – 三省堂書店神保町本店、アウトレット本コーナーの売上げ5倍に ※2015年4月28日

「新刊書店で古本」というのがいつごろから始まっているかを改めて調べてみたのですが、朝日新聞によると2000年に広島市のフタバ図書が開始した事例が最初のようです(※2008年1月17日の記事)。ただ、まだまだ古本を置いている新刊書店は珍しいのが事情。三省堂書店神保町本店は周囲が古本屋だらけというのもあり、仕入れに困らないという強みはあるかもしれません。そういえば1月にhontoが古本買取を開始とか、4月にブックオフが新刊複合事業部を新設というニュースもありました。

村上春樹作品、国内初の電子書籍化、「村上さんのところ」コンプリート版を今夏発売 -INTERNET Watch ※2015年4月30日

「村上春樹作品、国内初の電子書籍化」とありますが、NHK出版の方が先みたいです。日本語原文と英訳版が一緒に載っている、NHKラジオ『英語で読む村上春樹―世界のなかの日本文学』からの単行本。

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何にせよ、これをきっかけにして電子書籍に興味を持つ人が結構出てくるのではないでしょうか。他のビッグネームもはよ!

サイバーエージェントのバイラルメディア「Spotlight」に写真盗用記事 著作者の抗議にライター「傷ついた」と“逆ギレ” – ITmedia ニュース ※2015年5月1日

バイラル・キュレーションメディアの勝手な無断転載はどうして止まらないのか? – 週アスPLUS ※2015年5月1日

ちょうど拙書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。』が出た直後に、バイラルメディア関連が大きな話題になっています。なんというタイミング。本の中でも、バイラルメディア問題については触れています。

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しかし、こういう問題が起きてしまう要因を改めて考えると、媒体社側のライター教育が足らないとか、編集が機能していないとか、そもそも編集の人数が少ないだろうなとか、編集側も何がダメなのか判断できていないのかも、という問題以外に、ライターへの報酬がどんどん低額化しているのも大きな要因ではないかと思うのです。

Spotlightのライター氏がブログ(もう消えてる)に「1件あたり1000字~のライティングで1件500円貰ってます」って書いていて、それでも他に比べればわりがいい(ランサーズやクラウドワークスなどの「クラウドソーシング」サービスだと、1記事100円とかざらにある)みたいな状況下では、モラルハザード起こさない方がおかしい。もっとも、コピペするだけなんて誰でもできるから、低額化するのも無理はないのですけど。うーん、闇は深い。

まちの書店は個性で勝負 農産物販売やカフェ運営:朝日新聞デジタル ※2015年5月3日

先に挙げた三省堂書店神保町本店の件もそうですが、新刊書店が新刊を売るだけではもはや立ちゆかなくなっているので、事業を複合化するのは自然の成り行きなのでしょう。上記の朝日新聞記事に取り上げられたちょっと珍しい事例以外にも、神奈川に何店舗かある文教堂併設スリーエフとか、愛媛のセブンイレブン併設書店、広島のローソン併設書店などコンビニ併設店の事例や、レンタルと書店併設の「TSUTAYA BOOKS」が全国701店舗ある(2013年)とか、「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードの決算説明資料を見ると書籍売り上げの比率は10%以下だったりとか。そのうち「新刊書籍雑誌専門店」の方が珍しくなるかもしれませんね。

お知らせ

日本独立作家同盟主催で5月16日に、日本SF大賞受賞作家である藤井太洋氏を講師に迎え「電子時代、独立作家の執筆・出版手法」というセミナーをやります。藤井氏が処女作『Gene Mapper』をセルフパブリッシングする際に採った手法や、商業出版で得られた経験を余すところなく紹介いただきます。特に、宣伝手法はセルフパブリッシング作家に限らず、あらゆるジャンルで活かせることでしょう。入場料は一般2000円です。チケットはPeatixにてお求めください。

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