2015年3月23日月曜日

「楽天がOverDriveを買収」「紀伊國屋書店と大日本印刷が合弁会社」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2015年3月16日~22日)

Kindle Paperwhite

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「楽天がOverDriveを買収」「紀伊國屋書店と大日本印刷が合弁会社」などが話題になっていました。



小学館、入手困難な昭和の名作を紙と電子で同時発売する新レーベル「P+D BOOKS」 -INTERNET Watch ※2015年3月16日


「現在入手困難となっている昭和の文芸名作」って、小学館が品切れ重版未定にしているからなのでは……というツッコミを入れるべきかどうか悩みます。あと、ペーパーバックで在庫を持つくらいなら、思い切ってオンデマンドにしちゃった方が……というツッコミを入れ(ry


文化庁、マンガ・アニメなどの作品情報を集約したデータベースを開設 - ITmedia eBook USER ※2015年3月17日


これは文化庁、良い仕事。「登録されている情報は、利用規約に沿う形であれば商用利用も可能」というのがいいですね。


【新文化】 - 講談社、「講談社学芸クリエイト」設立へ 社内外の編集を受託 ※2015年3月17日


講談社が組織改革に動いています。編集部門を子会社として切り離し、編集プロ化するということは……?


「マンガボックス インディーズ」、作者に広告収入を還元 - ITmedia ニュース ※2015年3月18日


記事を読んだ最初の印象は「あ、面白そう」だったのですが、よくよく考えると一般公開を意図的に遅らせているだけなので、あまりよろしくないような。作者が任意で設定できるようですが、続きを読むのをやめちゃう読者がどの程度現れるか。DeNAですから、たぶんその辺りはきっちりデータを取って舵取りするでしょうけども。

ちなみに「特定アプリのインストール」「特定Webサービスの会員登録」というのは、「ニコニコポイント」などがやってる成果報酬型広告システムです。「会員登録でポイントが貰える」特典と、「会員登録で続きが読める」特典と、どっちが良いでしょうね?


KADOKAWA、講談社、紀伊國屋書店が設立した日本電子図書館サービスのビジネスモデル ── JEPAセミナーレポート:見て歩く者 by 鷹野凌 ※2015年3月18日


自分のブログ記事ですが。セミナー終了直後に現地からアップしました。電子図書館システム「LibrariE(ライブラリエ)」のビジネスモデル、よく練られていると思います。4月から正式サービス開始。そういえばOverDriveも4月から本格展開って言ってたな、と思ったら……(下の記事へ続く)。


楽天、電子図書館最大手の米社買収へ 500億円規模 :M&Aニュース :企業 :マーケット :日本経済新聞 ※2015年3月19日


楽天がOverDriveを買収して100%子会社へ。Koboを買収した時以上の衝撃をもって受け止められているようで、視界の範囲が騒然としていました。しかし、記者会見が15時からなのに、日経の記事は14時に出ているってことは……まあ、細かいことは言うまい。

「OverDriveと業務提携しているメディアドゥはどうなっちゃうの?」という声があちこちで見られたので、ちょいと私見を。前提として、楽天の主な狙いは間違いなく海外ですが、ここは日本国内に限った話をします。

楽天が直接取引している出版社がどれだけあるか分からないですが、「図書館への配信」許諾は電子書店とは別に必要なので、取次であるメディアドゥの役割は依然重要でしょう。楽天とメディアドゥが敵対する理由もないし。メディアドゥの営業的には、強い後ろ盾ができて頼もしい、という感じじゃないでしょうか。

ちなみにINTERNET Watchには「楽天による買収後も、メディアドゥとの提携により国内展開する見込みで、楽天もこれをサポートするかたちになる」と書いてありました。


紀伊國屋書店と大日本印刷が合弁会社、電子書店システムやポイントの共通化など検討 -INTERNET Watch ※2015年3月19日


楽天×OverDriveのニュースに埋もれてしまった感がありますが、こちらも大きなニュース。hontoポイント(ジュンク堂・丸善・文教堂で使える)と紀伊國屋ポイントの共通化は、書店で本を買う人にはメリットが大きいのでは。想像ですが、将来的にTポイントカードや楽天ポイントとの連携という可能性も? 注視しておきたいところ。

電子書店の方は、紀伊國屋書店Kinoppyはインフォシティ、hontoはモリサワのシステムを使っています。取次はモバイルブックジェーピー(大日本印刷系)、出版デジタル機構(旧ビットウェイ・凸版印刷系)、ブックリスタ(紀伊國屋書店が1.1%出資している)が混在していてよくわかりません。冷静に考えると、これ、共通化できるのか……?

紙本の通販システム側はあまり詳しくないのですが、インフォシティやモリサワは直接関与していないように思います。物流って別モノですもんね。こっちの共通化は、コスト削減効果が大きいかも。


アマゾンで児童ポルノ販売幇助か 関連社の男を書類送検:朝日新聞デジタル ※2015年3月19日


家宅捜索までやったけど、結局書類送検されたのは関連会社勤務の派遣社員だけ。つまり、Amazonが組織的に関与していたわけではなく、派遣社員が勝手にやったこと、という判断になったということなのでしょう。


楽天、電子書籍「両輪作戦」の勝算:日経ビジネスオンライン ※2015年3月20日


これも楽天×OverDriveの記事ですが、あえて別途ピックアップします。記事中に「米国の公共図書館における電子書籍普及率はわずか6%」とありますが、ボクは、米国図書館には電子書籍貸出サービスがめっちゃ普及していると認識していたんですよね。

というのは、過去に電子図書館関連の記事を書く際、いろいろ資料を確認しているんです。例えば、国立国会図書館関西館が運営しているカレントアウェアネス・ポータルには「米国では9割以上の公共図書館が電子書籍を提供:米国の公共図書館の電子書籍の利用状況調査の2014年版が刊行」という記事が載ってます。こちらの出典はLibrary Journalで、2014年の普及率は95%だそうです。

日経ビジネスの数字は楽天のリリースに典拠しているようで、資料を見ると「出典:PWC report 2013; Library Journal eBook Survey 2013」とあります。ところが、Webを調べた限り「6%」と書いてあるPWCやLibrary Journalの資料は見つけられませんでした。

イッタイコレハドウイウコトナノダロウ。



大日本印刷、本に関するキュレーションサービス「MEETTY」 -INTERNET Watch ※2015年3月20日


MEETTYを経由して1カ月に5万円(税別)以上購入されたキュレーターには、販売額の1%(100円未満は切り捨て)が、hontoクーポンで還元される

えーっと、Amazonアソシエイトという、紙の本が売れたら3%、電子の本が売れたら8%をキャッシュまたはAmazonギフト券で還元する、非常に使いやすくて便利なアフィリエイトシステムがあるのですが、MEETTYは何が優れているの?


TPP交渉、米がネット著作権強化を要求 違法投稿に削除義務 :日本経済新聞 ※2015年3月20日


日本も "Notice and take down" を導入しろ、ということのようです。後半には保護期間延長を受け入れる方針という記述も。何度でも言いますけど、TPPって秘密交渉ですよね? なぜこういう情報が中途半端にリークされるんでしょう?

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)では、知財条項をTPPから切り離し、きちっと情報公開した形で協議して欲しいという緊急声明への賛同者を募集しています。

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