「越境取引への消費課税閣議決定」「BooCa事業化へ」「LINEマンガ インディーズ」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #157(2015年2月23日~3月1日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「越境取引への消費課税閣議決定」「BooCa事業化へ」「LINEマンガ インディーズ」などが話題になっていました。

【新文化】 – 電子書籍配信、国外事業者にも消費課税へ ※2015年2月23日

既定路線ですが、閣議決定。10月1日から。越境取引の金額は広告の方が圧倒的にでかいので、AmazonというよりGoogleを狙い撃ちにしたものだと捉えた方がいいような気がします。

海外事業者に公平な課税適用を求める緊急フォーラム (Archive)」で紀伊國屋書店社長が、「消費税率が10%になった時にはうちも白旗を揚げる」とか「電子書籍はどこで買っても同じだから価格だけの勝負になってしまう」などと言ってましたが、これでどうなるか。消費税分の価格優位性がなくなったところで、簡単にユーザーが他の電子書店へ移るとは思えませんが。

「2014年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態調査」のレポートが公開 | カレントアウェアネス・ポータル ※2015年2月23日

レポートはこちら。アクセシビリティという観点から、各電子書店の配信フィーマット、ビューワの対応状況などを調査したものです。行間調整・音声出力まで対応しているのは、Kindleストアだけという。

電子図書館:広がるか…24時間貸し出し、自動で「返却」 – 毎日新聞 ※2015年2月23日

電子図書館の現状についての記事。先にDOTPLACEへ寄稿した2月のまとめ記事にも書いたのですが、利用者のメリットは「無料」「24時間貸出」「自動返却」といろいろ挙げられます。

ネックはラインナップ不足。記事には話題のベストセラーや新刊本が少ないとありますが、むしろ過去に紙で出版された膨大な本がまだデジタル化されていない点の方が、図書館の果たす役割を考えると大きな問題のように思います。

LINEマンガで連載だ! 作品投稿ができる「LINEマンガ インディーズ」がスタート – ITmedia eBook USER ※2015年2月25日

真っ赤な海が見える……「pixiv」「TINAMI」「ニコニコ静画」「comico」「マンガボックスインディーズ」「少年ジャンプルーキー」などに、LINEマンガが殴り込みです。

学研が出版子会社を統合、一部事業を廃止 – ITmedia ニュース ※2015年2月25日

「学研M文庫」や一部のムック(歴史関係や一部の女性向け実用分野)などの事業が廃止されるそうです。本来の意味でのリストラクチャリング(事業の再構築)ですね。

青空文庫支援のポイント寄付、BOOK☆WALKERで着実に根付く – ITmedia eBook USER ※2015年2月26日

寄付額が着実に伸びてますね。BOOK☆WALKERは「コイン」に切り替わった関係で、3月末日にポイントが失効になってしまいます。マイページに所持ポイント数の表示があるので、残っている人は是非寄付しましょう。

「坊っちゃん」原稿料148円…今なら50万円 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2015年2月25日

「今なら50万円」というのを読んで、へーそんなもんなのか、と鵜呑みにしていたのですが、Facebookで「当時の価値に直す計算がおかしいのでは」という指摘が。むむむ。

まあ今だと、原稿料なし、初版印税のみって場合も多いし……。

図書館を地域活動の拠点に――来館者に電子書籍サービスを提供する中野区立中央図書館 – ITmedia eBook USER ※2015年2月26日

凸版印刷によるWi-Fiスポット型電子図書館サービス。明和町立図書館に次ぐ2例目かな。「サービスは現在のところ2016年3月31日まで継続される予定」という記述が気になる……実証実験なんだろうか。

電子書籍で100社連合 アマゾンに対抗 :日本経済新聞 ※2015年2月27日

実書店での電子書籍販売、実証事業を踏まえ事業化へ – ITmedia eBook USER ※2015年2月27日

「BooCa」の実証事業が終了、事業化へ。あえて日経とeBook USERの両方をピックアップ。というのは、JPOのプレスリリース(PDF)別紙(PDF)総括資料(PDF)を一通り見たけど、どこにも「アマゾンに対抗」なんて書いてないので。誰かそういう発言をした人がいるんでしょうかね? 日経さん。

eBook USERは西尾編集長の署名記事なので、さすがにレベルが違う。最後の1文「事業化に当たって、運営は楽天が行うことになった」に仰天。これ他の電子書店、どうするんだろう?

自分の書いた過去記事から引用。

コンソーシアムに参加していて実証事業には参加していない、ソニーマーケティング(Reader Store)、大日本印刷(honto)、ブックウォーカー、紀伊國屋書店(Kinoppy)の動向も気になるところです。説明会で質問したところ、「システム構築に半年くらいかかるので、実証事業期間中に参加するのは難しい」とのことでしたが。

この続報がない。JPOの資料にも。

グノシーが「少年ジャンプ+」と連携–業界初のコミック配信 – CNET Japan ※2015年2月27日

おもしろい提携。新聞の4コマ漫画みたいな。

70年以上続いた「編集局」、講談社から消える : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2015年2月28日

こちらも本来の意味でのリストラクチャリング(事業の再構築)。「書籍や雑誌を編集して終わりではなく、読者へ届ける方策まで意識し、関連事業も含めて発展させることを目的」としているそうです。

出版状況クロニクル82(2015年2月1日~2月28日) – 出版・読書メモランダム ※2015年3月1日

毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクル。リブロ池袋本店が6月で閉店という情報。あと、アマゾンで本を買う人は「読者」じゃないとでも言いたげな言い回しが気になる……。

書店で買うことを習慣とする読者は困っても、アマゾンがある限り、消費者は不便を感じないシステムが構築されてしまった

他にも、相変わらず「コミックやコミックス誌のデジタル化でリアル書店が窮地に」という論調なんですが、コミック対前年比1.1%増の要因は『ワンピース』と『進撃の巨人』だけなんでしょうか? どちらも、2013年もバカ売れしてるはず(※オリコン年間ランキング2013)なんですけど。しかも2014年は、電子書籍の売上もガンガン伸びているのに。

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