2014年12月5日金曜日

JTBパブリッシングの電子書籍サービス「たびのたね」の試み ── JEPAセミナーレポート

JTBパブリッシングのJEPAセミナー

12月5日のJEPAセミナー、JTBパブリッシングの電子書籍サービス「たびのたね」のレポートです。



資料は SlideShare で公開されているので、詳細はこちらをご確認ください。


ムックスタイルの旅行ガイドブックは、基本スタイルが30年前に確立し、大きくは変わっていないそうです。ただ、旅行スタイルや行動はマスツーリズムからパーソナライズへと大きく変わっており、ネット環境の充実で簡単に情報へアクセスできるようになっていることから、旅行ガイドブックにイノベーションを起こしたという思いが「たびのたね」開発の動機になったとのこと。

ウェブ上に情報は溢れかえっており、むしろ自分が本当に必要とする情報へ辿り着くのが困難。だからある程度「編集」された記事にはUGC (User Generated Content) にはない魅力がきっとある。その表現手段として、電子書籍を選んだのだと。初めから電子書籍ありきで進んだ企画ではない、ということを強調していました。

また、「デジタルが紙より不便でどうする!」という思いから、ソーシャルDRMを導入してユーザーが好きなビューワで読めるようにし、また、複数の電子書籍を用途に応じてまとめ直すことができる機能も提供しています。

今年も複数の電子書店が閉鎖し、そのたびに「読めなくなる!」問題が浮上していました。そんな中で、ソーシャルDRMの採用というのは、ユーザーサイドに立った英断だとボクは思います。

あとは、媒体や版元の枠を超えたサービスという点も、大きな特徴。要するに、版元運営の電子書店なのに、自社の本だけではなく、他社の本も扱っているのです。スタンス的にはKADOKAWAのBOOK☆WALKERと似ていますね。ご当地出版社と提携しているところがユニーク。現地の書店でしか扱っていないご当地出版社の旅行ガイドが結構あるそうです。

登壇した青木氏(冒頭の写真)が数十社のご当地出版社を直接訪問して営業したそうですが、「きっかけさえあれば絶対に満足させられる!」というこだわりと自信のある出版社が多く、タイトルが認知されていないからAmazonでの検索でも引っかからないと悔しがっていたとか。

ソーシャルDRMについても、どんなに強力なDRMを施したとしても海賊版を100%防ぐことはできないという前提で、それでもソーシャルDRMという弱い縛りが版元にとってどういうリスクがあるかをかなり丁寧に説明した上で、ご納得いただき参加いただいているとのこと。

「我々が版元で、自らソーシャルDRMを導入しているからこそ、納得して貰いやすかったのではないか」とおっしゃっていました。それ、すごく分かる気がする。絶版マンガ図書館(Jコミ)もそうだし。


開発の苦労話


「まとめ機能」開発の苦労話。右綴じと左綴じの本を一緒にするとき、そのままくっつけて順番通りに読むと途中から逆順になってしまうので、見開きを解除してページ順に並べ替えるようにしたそうです。また、判型が違う本をくっつける場合は、余白を自動的に挿入する処理を入れたそうです。

「分冊ツール」は、提携出版社が分冊したものを入稿するのではなく、JTBパブリッシング側で分冊できるように開発したツールです。分冊したときに「表紙をこのページにしたい」とか、広告ページや電子化の許諾がとれていないページを削除したいといった要望があるため、自動的にダミーページを挿入する機能を搭載したとのこと。

ソーシャルDRMは、当初全ページの余白部分にメールアドレスを埋め込む方式を検討していたそうですが、コンテンツによって余白の位置が異なるので、埋め込まれたメールアドレスがコンテンツの利便性を妨げてしまうケースがあるのが大きなネックになったとのこと。

結局、「ページをめくる毎にいちいち自分のメールアドレスを見させられたら、萎えるよね」というユーザーサイドに立った考えに基づき、全ページに埋め込むのではなく、最終ページにメールアドレスが記載されるだけ、という形にしたそうです。これもまた英断。

今後は、リフローとフィックス混合の「まとめ」ができるようにしたいとか、全国展開、世界展開も検討しているそうです。頑張って欲しい。




マンガも扱ってたりします。

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