「ヤマダイーブック終了」「外部ストア閉鎖時の補償サービス」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #119(2014年5月26日~6月1日)

Nexus 7 の楽天Kobo

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「ヤマダイーブックサービス終了」「Discover21が外部ストア閉鎖時の無料ダウンロード補償サービスを提供」などが話題になっていました。

honto、新たに出版社12社で電子書籍購入後のダウンロード期限を撤廃 – ITmedia eBook USER ※2014年5月26日

これで主だったところでダウンロード期限が残っているのは、光文社(1年間)、小学館コミック(5年間)、中央公論新社(1年間)、ハーレクインコミックス(1年間)となりました。hontoを利用される場合はご注意を。

図書館での電子書籍貸出にまつわる課題 – ITmedia eBook USER ※2014年5月26日

アメリカの公共図書館向け電子書籍の価格が高過ぎる、という話。電子版は実際に所有するわけではないけど、紙の本は乱暴に扱われ壊れてたり汚されたりして破棄しなければならない場合もあるから、トレード・オフだと思うのですけどね。

ちなみに去年の電流協フォーラムで聞いた話では、米国の電子図書館サービスにおける貸し出しモデルにはいくつかパターンがあるという話と、「電子書籍の小売価格と図書館仕入価格が公開されており、図書館仕入価格の方が数倍高い」「倍率はマチマチで、すべて市場相場で決定されている」という話がありました。複数同時に借りられるライセンスなら、数倍高くてもおかしくはないと思うのですが。

アマゾンは天使でも悪魔でもない « マガジン航[kɔː] ※2014年5月27日

AmazonがHachetteに対して行っている締め付けは、寡占市場のリーダーとしてやるべきことをやっているだけですよ、という大原ケイさんの指摘。個人的には、寡占市場を作られたら天使も悪魔になる、ということなのだと思いますが。サプライヤーに対する締め付け方は、とてもTOYOTAっぽい。生かさず殺さず。コワイコワイ。

電子書籍、高速Wi-Fi、楽天市場の人気スイーツなどが楽しめる「楽天カフェ」いよいよオープン – ITmedia eBook USER ※2014年5月27日

全席電源、無料Wi-Fi完備というところで、ノマド向けスポットになりそうな感じ。Koboの書店提携と同様、楽天がリアルな拠点でユーザーとの接点を持ち始めた、という点に意味があるのだとは思いますが。

DRM回避は「電子書籍のコストを増大させる」 日本電子出版協会が“コミスケ事件”にコメント – ITmedia ニュース ※2014年5月28日

JEPAが奥歯に物が挟まったような言い方をしているので、ろすさんが解説してくれました。

JEPAの会員社には、WindowsをフリーズさせるDRM技術(※いまは不具合修正済み)を提供していたサイファー・テック株式会社が入ってたりしますもんね。

宝島社“付録商法”撤退のナゼ – 日刊サイゾー ※2014年5月28日

「ナゼ」についてが「ワンマン社長によるテコ入れ策」と、理由になっていないのですが。まあ、普通に考えたら、付録によって部数が伸び、売上額が増えたところで、利益率が圧迫されるでしょうしねぇ……。

hontoとブクログ、本のレビューで連携 – ITmedia eBook USER ※2014年5月28日

昨年12月に開始したBookLive!との提携に次ぐ、2例め、だと思います(見落としてたらごめんなさい < 大西さん)。[追記:ブックパスにも提供しているそうです]

コミックシーモア、一般書籍の配信開始 – ITmedia eBook USER ※2014年5月28日

地球書店のサービス終了で、リソースをシーモアに集中させているようですね。ラインナップ大幅拡充です。

ヤマダイーブックがサイト閉鎖――購入した電子書籍は無駄に – ITmedia eBook USER ※2014年5月29日

「買った電子書籍が無駄になる」は「記載不備」 ヤマダイーブックがサービス終了告知についておわび – ITmedia eBook USER ※2014年5月日

既に当ブログでも記事化しています。ツッコミし忘れてた(というか見落とした)のですが、「記載不備」で「誤解を生じさせ」という表現は燃料を追加するような真似なので、他社の広報担当者はこれまた他山の石とするといいでしょう。

電子書籍ストアが閉鎖しても購入済み書籍を補償、出版社側が無料DLサービス -INTERNET Watch ※2014年5月30日

ヤマダイーブック終了という業界全体に対するネガティブな情報に対し、素早い対処で株を上げたディスカヴァー・トゥエンティワン。なにしろ即日対処ですから、恐らく以前から「どこかが閉鎖したら発表しよう」と決めていたのではないでしょうか。

「楽天Raboo」終了時のeBookJapanによる救済サービスや、「エルパカBOOKS」終了時の楽天Koboによる救済サービスは、正直「ちょっと遅いな……」という感覚があったのですよね。今後も閉鎖される電子書店は相次ぐと思うので、事前に対処は決めておいた方がいいと思います。

互助的な仕組みが作れればいいけど、いくつも構想が出ては消えてるので、あまり期待できそうにないんだよなあ。ちゃんとしてるの、KADOKAWA(BOOK☆WALKER)系の本棚共有くらいだもん。

アマゾンと戦うには出版社は巨大になるしかない:JBpress(日本ビジネスプレス) ※2014年5月29日

英フィナンシャル・タイムズ紙による提言。なんか、1990年代後半に自動車業界で言われていた「400万台クラブ」みたいな話。日本の出版社も、足腰が弱ったところから巨大資本に飲み込まれていく未来が……?

巨大な組織は大きな変化への対応が遅れがちなので、むしろ進化できない組織が死んでいくのが生態系としてのあり方なのではないかな、と思うのですが。

国立情報学研究所の電子図書館事業が終了――2015年度末をめどに – ITmedia eBook USER ※2014年5月30日

ちょっと気になる動き。国の電子化支援をJ-STAGEに一本化する動きに依るもののようですが。

出版状況クロニクル73(2014年5月1日~5月31日) – 出版・読書メモランダム ※2014年5月31日

毎月楽しみな、小田光雄さんによる出版状況クロニクル。日本ABC協会による、デジタル雑誌部数報告が興味深い。2013年7~12月の平均部数です。

号あたり1000部以上が24誌。日経ビジネスが23,523部と突出しています。日経ビジネスは2012年時点で224,952部らしいので、だいたい10%くらいなのかな? 先日チラッと耳にした「電子市場は、まだ紙の10分の1から20分の1くらい」という数字と合致します。

ところで、日経ビジネス電子版はどこで売ってるんだろ? と思って調べたら、どうもKindleストアを始めとする一般的な電子書店や、Fujisan.co.jpみたいな雑誌ストアですら取り扱っていない。唯一、GALAPAGOS STOREで定期購読だけ対応しているのを発見しました。

どうやら、日経ストアで直接契約か、Newsstandで購入するのが一般的のようです。それでこの部数か……凄いな。考えてみたら紙版もあまり書店には置いてなくて、直接定期購読する方が断然多いらしいのですよね。強い。

日経BP社

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Kindleストアにも、アソシエはあるんですけどね。

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