2014年4月3日木曜日

楽天Koboのマーケティング戦略 ── JEPAセミナーレポート

楽天 田中はる奈さん

4月3日にJEPA主催で行われた「楽天KoboとAquafadasのマーケティング戦略」セミナー、まずは前半の楽天Koboからレポートさせていただきます。後半 Aquafadas の記事はこちら。講師はブックス事業 副事業部長の田中はる奈氏です。JEPAのサイトで資料(PDF)と動画が公開されているので、詳細を確認したい方はそちらをご覧下さい。前半、後半、それぞれ1時間くらいです。



まず2013年の振り返りです。


「マーケティング」「ユーザー」「コンテンツ」「プロダクト」という4つのテーマでサービス拡充を行ってきたそうです。


コンテンツ


楽天Koboは、2012年12月に日本語コンテンツ10万点を突破しています。そして、2014年1月には20万点突破と、1年間で倍増しています。

単純に数だけの話なら、恐らく富士通BooksVが最多なのですが、雑誌記事のバラ売り(1~2ページ)を1コンテンツとしてカウントしているので、同じ土俵で比較をするのがおかしいです。まあ思い起こせば、Koboもローンチ当初はWikipediaとか楽譜とか、いろいろ涙ぐましい努力をしていました……。

2013年は、講談社、KADOKAWA、小学館、集英社などの大手出版社がかなり積極的に電子化を進めていたので、ボクもはっきりどこの電子書店も1年前とは雲泥の差だと、自信を持って言える状態になっています。

多くの電子書店が網羅率70%突破!夏アニメ2013関連書籍の電子化検証まとめ」を最後に、検証をやめたのはそれが理由です。もう、そういう比較にあまり意味がなくなってきています。


プロダクト


楽天Koboのローンチ当初は「kobo Touch」以外では読めない状態だったのですが、Androidアプリ、iOSアプリ、デスクトップアプリと対応環境を増やし、「マルチプラットフォーム」になりました。Kindleに先んじてデスクトップアプリを出せたのは、雑誌コンテンツが拡充しつつある今、優位性になってますね。

また、「楽天ブックス」とのサイト統合が開始されたのも大きなトピックスでしょう。紙の本との比較機能や、レビュー機能、買い物カゴ機能、シリーズまとめ買い、お気に入り機能、楽天アフィリエイトとの連携、モバイル対応など、カナダのKoboサイトを日本語化しただけの「楽天Koboイーブックストア」に比べると、遥かにきめ細やかなサービスになっています。


マーケティング


TV CMは、ローンチ当初は「端末」を訴求していたのですが、2013年には「品揃え」を訴求するようになったそうです。



他にも、新聞広告、交通広告といったマス広告や、楽天Koboスタジアム(コボスタ)など、ブランド名認知獲得の活動も積極的に行っています。

電子書籍ブランド純粋想起1位!って、どこ調査?

「電子書籍ブランド純粋想起」で1位になったそうです。え、どこ調査?


ユーザー


ここの施策は、「新規ユーザー獲得」と「リピート購買」に分かれます。

新規ユーザー獲得は、ローンチ当初は「とにかく端末配れ」だったそうです。しかし、Androidアプリを提供し始めたら、アプリのほうがユーザー獲得しやすく、コンテンツ購入率もあまり変わらないことが分かったそうです。現状、新規ユーザーの8割がアプリ経由とのこと。

だから、楽天ブックスはじめ、楽天グループ内の他サービスから積極的にKoboへの誘導を図っているそうです。また、「きんどうのzonさんと楽天を訪問してKoboの今後の戦略について聞いてきた」でもピックアップしたリアル書店との提携は、既に全国124店舗になっています。書店提携はカナダの成功事例を踏襲しているそうで、Amazonが追従しづらい差別化ポイントだけに、今後も注力していくでしょうね。

そういった施策により、累計ユーザー数(有料コンテンツを購入したことがあるユーザーの総数)は、1年間で5倍になったそうです。

また、リピート購買してもらうための施策(CRM戦略)は、メルマガをタッチポイントとして活用しているそうです。ユーザーの読書状況などをチェックし、決済まで進んだのに買わなかった場合は「買い忘れではありませんか?」メール、試し読みして買ってない場合は「プレビューの続きを読みましょう!」メール、読み終わったタイミングで「次に読む本はお決まりですか?」メールと、楽天らしい(メール・ボム)施策をKoboでもやってます。

また、ジャンル別に異なる施策を行っており、例えばコミックは「シリーズ」購入の促進、小説は「著者」購入の促進が効果的だそうです。ラノベみたいに続刊がたくさんある場合は、「シリーズ」購入促進の方が効果的かな?


今後の戦略


子会社化した Aquafadas を活用した雑誌コンテンツの拡充や、Kobo Writing Lifeの日本展開、楽天ブックスに新機能(予約販売、プレビュー、レコメンド機能)の追加や、出版社へデータ分析のためのBIツール(Business Intelligence)の提供、コボスタを活用したブランド強化策などが予定されているそうです。Aquafadasの話は、次の記事にて。


楽天Koboのミッション


“Empower Readers and Content Creators” だそうです。読者だけじゃなく、「本を創る人」もエンパワーすると明言しているのがいいですね。


質疑応答


Q. 「楽天Kobo電子書籍ストア powered by 楽天ブックス」と従来の「楽天Koboイーブックストア」の売上比率は?
A. 日本での売上全体で、「楽天Kobo電子書籍ストア powered by 楽天ブックス」の占める割合は4分の1くらいです。

Q. 教育分野に関する取り組みの話がなかったが?
A. スタンスは変わっていないので、「楽天いどうとしょかん」などのCSR活動は引き続き行っていきます。

Q. 自己出版サービスを今年中にという話だが、もう少し具体的に
A. いまでもKobo Writing Lifeは頑張れば日本からでも使えるが、日本スタッフのサポート体制がまだない状態。要するにローカライズするということです。

Q. Kobo用の制作マニュアルってあります?
A. 既に一般公開してますが、まだ充分じゃないことは認識しています。1ヶ月以内くらいにもう少しちゃんとしたものを公開します。

Q. いま楽天市場で紙の楽譜販売をしているショップだが、ショップがKobo用のデータを販売できるようにならないか?
A. ご提案ありがとうございます。持ち帰って検討します。確かにあった方がいいですね。素晴らしいアイデアだと思います。

……という感じのセミナーでした。

質疑応答の1つ目はボクの質問なんですが、名乗った瞬間「あっ」って言われた……楽天社内で少々有名人になりすぎたようです。

後半 Aquafadas の記事はこちらです。

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