2013年10月18日金曜日

帝国データバンク「出版業界2012年度決算調査」で電子書籍が悪者にされていたので理由を尋ねてみた

帝国データバンク 出版業界2012年度決算調査

昨日、帝国データバンクから「出版業界2012年度決算調査」が発表されました。なんとなくニュース記事を斜め読みしていたので見落としていたのですが、マイナビニュースがタイトルに


と書いているのを見て、「は?」と思わず声が出ました。



帝国データバンクの資料(PDF)を読むと、実際そのような記述があります。

各社ともに、今後の成長が期待される「電子書籍」への対応・展開を進めているが、売り上げへの寄与は限定的なものにとどまっている。現状ではむしろ、電子書籍の台頭が紙媒体の一部需要を奪う“負の側面”が大きいようだ。

いまさらカニバリズム論です。

資料中ではそれまで一切言及のない電子書籍が、「まとめ」でいきなり悪者にされていてすごく唐突感があります。因果関係が全く提示されていないのですよね。これはいったいどういうことなのだ?と思い、帝国データバンクの担当の方に電話インタビューをしてみました。

電子書籍を業績悪化の理由にしているのは、出版社の方でした。

帝国データバンクの方いわく、決算資料などで何社か「電子書籍の台頭が紙媒体の一部需要を奪う“負の側面”が大きい」的なことを言っているそうです。具体的にどこというのはさすがに教えてもらえませんでしたが、小規模なところだけではなく、中堅どころでもそういった言及をしているところはあるそうです。


そういう次元の議論は、もう数年前に通り過ぎたと思っていたのですけど……「日本とアメリカは違うのだ!」と言ってた方々も、Kindle上陸以後には意見を変えているのかと思ったら、そんなことはなかったようです。


むしろ相乗効果で「紙の売上も伸びる」というのが定説になっているのですが。ただ、紙と電子の同時発売じゃないと、あまり相乗効果は得られないようです。

紙と電子を同時に発売すると相乗効果が生まれるということは随分前から言われていて、講談社はKindleが日本へ上陸する1年前から同時発売を試みています。


こういう試みをした上で、「電子書籍は紙媒体の売上を奪う」というカニバリズム論を語るなら理解できます。でも、恐らくそうおっしゃる方々は、ただの印象論でしか語っていないのではないでしょうか。新しいモノを敵視するだけじゃ、前に進めないと思うのですけどねぇ……。


「電子書籍に関心はない」と言っていて「好調」だと記事に書かれていた宝島社が、実際には売上上位10社の中では最も対前年比の落ち込みが酷い(▲18.9%)というのは皮肉な話です。

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