2013年5月8日水曜日

「Gene Mapper -full build-」藤井太洋さんのトークイベント&サイン会に行ってきた

山積みになっている「Gene Mapper -full build-」

Kindle、Kobo、iBookstoreでのセルフパブリッシングによる実績を引っさげ、商業デビューを果たした藤井太洋さんのトークイベント&サイン会に行ってきました。



藤井太洋さんと初めてお会いしたのは、Kindleストア日本上陸2週間前に行われた、eパブリッシング交流飲み会「ePubPub」のときでした。そのときお聞きした衝撃的な話の数々に魅入られると同時に、ここまでやらないとセルフパブリッシングできないのか……と怖気づいた記憶があります。

左:仲俣暁生さん、中央:藤井太洋さん、右:朝日新聞の林智彦さん
左:仲俣暁生さん、中央:藤井太洋さん、右:朝日新聞の林智彦さん

朝日新聞の林智彦さんも、藤井太洋さんに魅入られた一人です。当時日本でサービス開始したばかりのKoboイーブックストアで、商業ルートではない作品が1位に入っていることから注目し、どこよりも早くインタビュー記事を書いています。


電子出版業界にとって激動の2012年。ボクは、どうやったらユーザーがもっと電子書籍に慣れ親しんでくれるようになるだろうか?という観点で、電子書店のレビューをやっていました。つまり、どういう電子書店があって、どんな特色があって、どういう機能があるのか?というシステマチックな方面から切り込んでいった形です。Kindle上陸までに、国内勢がもう少し正当に評価されたら、もう少しKindleに対抗できるようになってくれたら、という思いもありました。結局のところ、Kindle圧勝状態になってしまっているのですが……。

いっぽう、藤井太洋さんは2012年を「ユーザーに楽しんでもらえるコンテンツを供給する」という方向から戦い、見事に勝利を収めたと言っていいでしょう。藤井太洋さんの何が凄いかって、列記してみるとこんな感じ。

  • 小説を書くのはこれが初めてだった
  • 会社勤めで執筆時間は通勤電車の中片道40分、執筆環境はiPhoneだった
  • 1つのデータでスマートフォン向けとタブレット向けにルビの大きさが変わるような配慮まで施していた
  • Gumroadを使ってポッターモアより先にマルチプラットフォーム対応をしていた
  • Kobo、Kindle、iBookstoreと、それぞれ日本上陸前までにちゃんと準備を済ませて"独力で"配信をした
  • 「書く(著者)」「作る(制作者)」だけではなく「売る(プロデューサー)」という点でもきっちり実績を残した
  • 繁体中文版など、翻訳版も展開している
  • セルフパブリッシングによる実績から商業出版デビューを果たした

なにこのスーパーマン。そこに痺れる憧れるゥ!



いまは「Gene Mapper -full build-」出版にあわせ、会社を辞めて専業作家になられたそうです。さすがに「Gene Mapper -full build-」はiPhoneで書いているわけではなく、こんな感じの制作環境になっているそうです。

藤井太洋さんの執筆環境

MacBook Airを台に載せ、キーボード部分にゲラやメモなどを置き、一切文字が書かれていない墨/無刻印モデルのキーボードを外付けにしています。モデル名を聴き逃してしまったのですが、たぶんこれ。


デスクトップ機はもっていないそうです。

「Scrivener」という執筆支援ツールを使っているそうです

で、いまは「Scrivener」という執筆支援ツールを使っているそうです。調べてみたら、2008年に堀正岳さんが紹介しているエントリーを発見したのでリンクを貼っておきます。「カード」とか「プロット」とか「シーケンス」とか、要するに物語を構造から組み立てていく支援をするツール、ということになるでしょうか。

ぜんぶデジタルというわけではなく、こういう創作メモも。なんと登場人物のスケッチまで。すごく背の低い登場人物が、かなりでかい登場人物を肘で突くと、太ももぐらいになるよな……というようなイメージを実際絵に書いてみたのだとか。

創作ノートにはなんと登場人物のスケッチが

こちらは早川書房の編集者が赤入れしたゲラ。Scrivenerで書いた文章が、40文字17行の文庫本サイズになった時にどういう紙面になるかを把握するために、なんとゲラも自分で組んでいるのだとか。この徹底的なこだわりがあるからこそ、ああいった魅力的な作品が生まれるのかな……という気もします。

早川書房編集者に赤入れされたゲラ

少し救われた思いがするのは、1年前ならいざ知らず、今はさまざまなツールもガイドも出ているし環境も整っているから、今なら当時ほどのエンジニアリングは必要ないと、藤井太洋さん自身も思っているという点です。商業デビューしても、セルフパブリッシングをやめるつもりはないそうですが、今後は「書く」方向にウェイトが置かれるようになるような印象でした。

まあそれでも、趣味の世界で「売れても売れなくても構わない」というなら話は別ですが、個人できっちり売れてなおかつ評価もされる作品を世に送り出そうと思ったら、やっぱり「書く」「作る」「売る」をマルチにこなさなきゃダメなんでしょうね。

藤井太洋さんのサイン!

ボクは本にサインを貰ったのですが……



Kindle Fire(たぶんHD)にサインを貰ってる強者もいました。

Gene Mapper -full build-
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ボクも頑張ろう……。

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