「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングを試す(制作編)」をITmedia eBook USERへ寄稿しました

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1305/22/news006.html

Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングを試す(制作編) – ITmedia eBook USER

配信編の原稿はもうだいたい書き終わってます。今週末か、来週頭くらいかな……?

さて、今回の記事で繰り返し「簡単じゃない」と言ってるのは、粗製濫造された作品でストアが埋め尽くされて、しかも売ったら売りっぱなしということになると、いわゆる「レモン市場」になってしまうからです。

ちょっと長いですが、そのまま引用します(自分の書いた文ですし)。

レモンは皮が固いため、中がどうなっているかわかりません。生産者はそれをいつ収穫したかを知っています。その情報が生産者や販売者に隠されていたり偽られていたとしても、消費者にはわからないのです。これを情報の非対称性といいます。

よくレモン市場の例えで用いられるのが、中古車市場です。むかしの中古車市場は、メーター改ざんは当たり前、事故車を事故車じゃないと偽って売ったり、複数の事故車をぶった切って一台にして売る「ニコイチ」とか、展示在庫ではない(どこかの駐車場で撮ってきたような)写真をオトリ広告に使ったりと、めちゃくちゃだったそうです。

もちろん、ちゃんとした業者もいれば、悪い業者もいます。でも、消費者にはそれを判断する術が無かったため、「中古車販売店は全て信用できない」という判断をする人も多かったようです。これによって、新車信仰、すなわち日本では新車の方が中古車より断然売れる※という不思議な状況を生み出していました。つまり、一部の悪いことする奴らが、中古車市場全体の足を引っ張っていたということです。

※ 日本自動車販売協会連合会の発表している中古車登録台数には、業者間取引も混ざっています。

日本の中古車市場が大きく変わったきっかけは、買取専門店ガリバーの登場と、中古車情報誌の登場だと思います。ガリバーは、中古車の下取という概念に革命を起こし、自動車メーカー自身が系列販売店を守るために中古車へ注力せざるを得ない状況を生み出しました。中古車情報誌は、消費者が安心して中古車を購入できるように、情報の非対称性を解消するための努力を続けてきました。最近の中古車情報は、以前では考えられないほど品質に関わる情報がオープンになっています。

ところで、中古車の販売店になるためには何が必要かをご存知でしょうか?もちろん商品を仕入れるための資金や、仕入れをするためのオークション会場会員になること、店舗・展示場なども必要ですが、そういった商売に必要な要素以外で特別に必要なのは、警察が発行している古物商の免許だけ※です。そしてこの古物商免許の取得には、特別な審査や資格は必要ありません。申請をするだけ※で取得できます。

※ 古物商の免許は中古品全般の売買に必要です。中古車の売買だけに必要なものではありません。

※ ただし、むかしに比べると最近は警察もうるさくなって、簡単には許可が降りないようです。

自動車整備士になるためには国家資格が必要です。つまり、国家試験に合格する必要があります。また、自動車整備を事業として行う際には、国からの認証が必要です。でも、中古車の販売店をやるだけなら、整備は外部へ委託すればいいので、これらの資格や認証は必要無いのです。

この参入ハードルの低さが、悪いことをする奴らに中古車市場が荒らされてきた原因と言えるでしょう。極端な話、仕入れの資金と手段さえあれば、店舗や展示場すら必要無いのです。

著者が信頼を落とすだけならまだしも、市場全体の信頼を貶められてしまうのは困るのです。まあ、Kindleストアを始めとする電子書店は「試し読み(立ち読み)」に対応しているところがほとんどですし、レビューや評価点、SNSやブログでの反応などを購入前にチェックすれば、情報の非対称性はかなり埋められるのですが。

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