2013年4月25日木曜日

日本電子出版協会(JEPA)主催の「EPUB25 セルフパブリッシング狂時代」に行ってきた

EPUB25 セルフパブリッシング狂時代


登壇者がライブドアブログ担当ディレクターの佐々木大輔さん、ブログ「みたいもん!」のいしたにまさきさん、業界関係者にさまざまな波紋を投げかけたブログ「電子書籍の世紀-21st century eBook Story-」の鈴木秀生さんで、テーマがセルフパブリッシングということで、こりゃ面白そうだと行ってきました。司会は電書ちゃんのでんでんコンバータを作った高瀬拓史(ろす)さんです。



ちなみに日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーなので会員社なら無料ですが、フリーランスだとお金がかかります。2000円ですけど。登壇者のどなたか失念してしまったのですが「セルフパブリッシングがテーマということで著者の方が多いかと思っていたら、意外と出版社の方が多かった」とおっしゃっていましたが、まあ会員社の方が多かったのだろうな、と。

で、資料が配信されたのは鈴木秀生さんだけ(上記「epubcafé」のリンク先にあります)というのがちょっと残念だったのですが、佐々木大輔さんもいしたにまさきさんも具体的な数字を挙げた資料になっていたので致し方ありません。だから(?)レポートも、ざっくりとした形でまとめさせて頂きたいと思います。


佐々木大輔さんの場合


LINE株式会社の執行役員でライブドアブログ担当ディレクターと、著者・代々木犬助さんという2つの立場からのプレゼンテーション。基本的には昨年11月にKindleで刊行された著書「セルフパブリッシング狂時代[第二版]」をさらにアップデートするような内容でした。

セルフパブリッシング狂時代 [第二版]
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セルフパブリッシングを自分でやってみて、EPUBの制作が一番大変だったという経験からライブドアブログにEPUB出力の機能を追加し、さらに共同編集機能を利用して毎号5万字の「ダイレクト文藝マガジン」を発行するというアクティブさ。約2ヶ月間で10号発行というのは、凄まじいペースだと思います。


ボクもこの「自分でやってみる」というのはすごく大切なことだと思っていて、やってみないとわからないことはたくさんあるんですよね。だからといって「やってない人が語る資格はない」とは思わないのですが、どうしても表面的なところをなぞるだけになってしまったり、ピントのずれた話になってしまう可能性が高くなってしまうのかな、と。
※安直に批判してしまう自分への戒めです

プレゼンが終わった後に会場から投げかけられた質問が非常に鋭かった。佐々木大輔さんは高瀬拓史さんから「Kindleダイレクト・パブリッシングをまるで自分の遊び場みたいにして一番楽しんでいる男だと思う」と評されていたのですが、趣味や遊びならば儲からなくてもいいという話になってしまいかねないのですよね。実際のところどうなのか?という問いかけに対し、「赤字を垂れ流しながらの"趣味"ではない」と明言されてました。


鈴木秀生さんの場合


この方は経歴が面白い。

1996年、株式会社トーハン入社後、書籍新刊業務や事業開発等を担当。2004年からイーブックイニシアティブジャパンに転職し、eBookJapanサイト及びオリジナル電子出版事業等をプロデュース。電子書籍元年2010年以降は、Fujisan.co.jp等ネット書店にて出版情報メディアや電子書籍専用端末ストアを立ち上げる。

「電子書籍元年」と言われた時を、何度も何度も渦中で体験してきているわけです。その回想録がブログ「電子書籍の世紀-21st century eBook Story-」で、それを著書の形にしたのが「日の丸電子書籍はなぜ敗れたか」ということになります。内容についてはいろいろ批判もあるようですが、渦中にいた人がその体験を語るというのはあまりないことなので、貴重な声だとおもいます。この本の内容に関しては、別エントリーを書く予定です。


鈴木さんがおっしゃっていたことで印象深かったのが、これまで電子書籍関連の仕事に関わってきていろんな体験をしてきたけど、著者の立場になったことがなかったのが自分の弱みだったと思う、という話。この本を出したのも、過去さまざまな取り組みを行なってきた中で「とにかく電子だけで黒字化するには?」という実験をすることが1つのテーマだったそうです。こちらも「自分でやってみる」ですね。

自分で書いて、自分で編集して、自分で校正して……という工程を、トータルで100時間と最初から決めていたとのこと。だから、これまで気にしていた細かな点(奥付けがどうとかルビがどうとか)は全て捨てた、と。結果的に「採算はとれた」けど、セルフ編集・セルフ校正には難があることがわかったので、できれば編集はいた方がいいと思ったそうです。ただ、今後は編集・デザイン・校正もレベニューシェア(売れた分だけ配分)という方向性になるのではないか、という見解でした。なるほど。

[追記] epubcaféでムービーが公開されていました。




いしたにまさきさんの場合


いしたにまさきさんは、堀正岳さんがGoogle+のハングアウトオンエアを利用し毎週日曜日の夜に配信している「ライフハック Liveshow」に出演されているので何度か姿はお見かけしているのですが、実はブログもTwitterもフォローしていないし著書を読んだこともないということに今さら気がつきました(ごめんなさい)。

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ブログは基本的に一人でなんでもやるのが当たり前だけど、紙での出版しかできない人は例えば「プロモーションは自分の仕事じゃない」と考えている。組織で仕事をすれば役割分担するのが当たり前ですけど、今後はそれでは立ちゆかなくなってしまうのではないか、という話ですね。

短期的に成功するブログなんてなくて、毎日書き続けて積み上げていくしかない。自分の著書にレビューを書いてもらえるのは、自分がいっぱいレビューを書いているからだ。自分がやって欲しいことは、まず自分が先にやるというのがネットの世界の原則だ、というのがいしたにさんの哲学になっているようです。

[追記] スライドが公開されました。


ムービーも公開されました。




パネルディスカッション


パネルディスカッションでは、高瀬さんから登壇者に3つ質問が投げかけられました。それぞれの回答を箇条書きしておきます。

Q.海外ではISBN発行ベースで年間25万冊もの本がセルフパブリッシングで生み出されているが、今後日本でもセルフパブリッシングが主流になっていくと思うか?


  • Kindleでは出版社なのか個人なのかが区別されていないので、既に一般化はされているのではないか(佐)
  • 日本の書籍は紙も作りも上質で、日本語の情報密度は英語の3倍くらいあるから、海外の本はとてつもなく分厚く重いということをまず考慮しなければ(い)
  • コミックマーケットというとてつもないセルフパブリッシング市場が既に存在していて、KDPにこれないのは大半がグレーゾーンの二次創作だから(い)
  • 電子書籍はスマートフォンで読めるということを知らない人がまだ意外に多い。認知されてくると大きく変わってくるのでは(い)
  • 今後はセルフパブリッシングが出版の入り口になり、紙の出版物はプレミアム商品で年間1万点発行、という時代になると思う(鈴)


Q.セルフパブリッシングのコンテンツが広く一般に読まれるようになるには何が必要か?


  • 書く人はたくさん読むから、セルフパブリッシングをやる人が増えれば読む人も増えるのでは(鈴)
  • 書く人はたくさん読むから、書き手を増やすことが先決だ(い)
  • 文学部の女の子がセルフパブリッシングで出した本がバーンと売れるような話題性が欲しい(い)
  • Kindleとは違った発想のサービスが必要になるのでは(佐)
  • 「書き手のコミュニティ」がまだ育っていない(い)
  • 最初に読んで感想を書いてくれる人(ベータリーダー)が必要(佐)


Q.お金も人手もかからないセルフパブリッシング時代をどうサバイバルするか?

※これは鈴木さんからの質問とのことでした

  • ビジネスとして考えたら、コンテンツの生産者ではなくプラットフォーマーになること(佐)
  • 「書き手」として考えたら、とにかく書き続けるしかない(佐)
  • コンテンツは積み上げだから、毎日書いている人と3日に1回しか書かない人とでは、年月が経てば自ずと大きな差がつく(い)
  • 持続可能なものをどれだけもてるかが重要(い)

鈴木さんがプレゼンでもおっしゃっていましたが、「議論している時間があったら、とにかく動いてみる」ことの方が先決なのかな、と。ボクがこのブログを始めたのは「インプットするばかりではなく、アウトプットをしてみよう」と思ったからなのですが、実際に書き始めてみたらいろんなところからいろんな反響が貰えるんですね。アウトプットしていると、どんどんインプットも増えていくんです。まさに「情報は発信するところに集まる」なのだな、と。で、発信し続けていたらお仕事も頂けるようになりました。まあ、運も良かったと思いますが。

チャンスは勝手にやってくるのではなく自ら掴むもの、ですね。↓これはボクの「自分でやってみた」の1つの形です。

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これまでのところ、売れた冊数は鈴木さんの本より多かったみたい。


[登壇者自身の感想]


[追記] パネルディスカッションのムービーも公開されました。

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