2013年4月27日土曜日

ワーキングラウンジ EDITORY 神保町のプレオープニングトークイベントに行ってきた


Facebookで「マガジン航[kɔː]」の仲俣暁生さんに招待いただき、ワーキングラウンジ EDITORY 神保町のオープニングトークイベントに行ってきました。

出版の街・神保町に、フリーの編集者、ライター、カメラマン、デザイナーなどが、取材や打ち合わせの合間に仕事ができる場所(コワーキングスペース)を用意するということで、名前は「TERRITORY(領域)」を「EDIT(編集)」するという意味だそうです。運営はツクルバで、料金は1DAY利用が2000円、法人登記が可能なフリーアドレス席プランが月額2万6250円。365日24時間利用可能とのことです。

EDITORY

4月29日が正式オープンなのですが、それに先立ち3日連続のトークイベント(※リンク先は要Facebookアカウント)が行われています。昨夜は「編集」、今夜は「広告」、明日は「建築」をテーマとするそうです。昨夜の「編集」回についてレポートさせて頂きます。



運営ディレクターの江口晋太郎さん
運営ディレクターの江口晋太郎さん

運営ディレクターの江口晋太郎さんは、ウェブや雑誌を中心に活躍するフリーライター・プロデューサー・エディター。1984年生まれで、出版社で働いたことはないそうです。

マガジン航[kɔː]の仲俣暁生さん
マガジン航[kɔː]の仲俣暁生さん

仲俣暁生さんは1964年生まれ。大学在学中に書店アルバイトや編集プロダクションでバイトをし、出版社に就職しようとして失敗。数年フラフラした後に、街の情報誌を発行する小さな出版社へ就職。当時入稿がすべて鉛筆と原稿用紙という前近代っぷりに驚いたとのこと。ソフトバンク、草思社、WIREDなどで編集経験を積んだ後に独立してフリーになったとのことです。

江口さんは、約2年前にマガジン航[kɔː]へ寄稿しています。


神保町「本と街の案内所」がオープンした際のルポです。

古書の街・神田神保町。明治時代から続く書籍の街として有名な地域ですが、本を読む人口がしだいに減っているせいか、全盛時にくらべると賑わいも衰え、とくに若い人の来る機会が減っています。

仲俣さんはこの冒頭の一文を読んで、若い人は神保町と縁がないのか……と驚いたそうです。が、よくよく考えてみると、学生時代に書店アルバイトで神保町に来るまで、仲俣さん自身も縁がなかったとのこと。

電球の傘が本になっている

神保町は、出版社、取次、新刊書店、そして世界最大の古書店街を抱える「本の街」です。しかし、新宿・渋谷といった活性化した西側と、いわゆる「都心回帰」の動きで活性化し始めた浅草や秋葉原といった東側からは取り残され、訪れる人は団塊世代よりさらに上の方々が多いというような街になりつつあるそうです。


若い人が神保町・古本屋に興味を持つには?


「新刊書店はおもしろくないと思ってる人が多い」と仲俣さん。「地上波テレビみたいな感じ」という例えがおもしろい。本の並べ方がワンパターンで、カラーがないところが大半だと。でも、古本屋には何があるかわからないから意外な出会いがあるとのこと。

編集者として企画が煮詰まったときに、古本屋へ行くと刺激を得られる。文脈のないところに放り込まれることで、いわゆるセレンディピティ(何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能)が芽生えると。本の多様性が可視化されているのが神保町という街だ、とのこと。

「ネットを検索してわかること」というのは、キーワードが入力できる時点で既に「わかっている」わけで、言語化できていないことをいかにして探すか? 興味を持っているはずだけど自分で気がついていないこととどう出会うか? という観点でいうと、古書店はとても面白いとのことです。江口さんは「(神保町の)ツアーをやりたい」とのこと。


再起動せよと雑誌はいう


雑誌が売れなくなっています。若い人はほとんど雑誌を買わず、ネットで検索して済ませてしまいます。読みたくない部分までついてくる、興味のない記事までバンドルされているという点が嫌がられていると。ただ、書店と同じで「意外な出会いがある」というのが雑誌の面白さでもあるとのこと。そういう観点で連載した記事をまとめた本が、この「再起動せよと雑誌はいう」だそうです。



結構雑誌に対し辛辣なことを書いているのに、「雑誌への愛を感じる」と評されているそうです。「雑誌に対して愛なんかないんだけどなー」と仲俣さん。

雑誌の買い方で一番いいのは、定期購読することだそうです。即読む必要はなくて、貯めておく。そして「そういえばこんなことあったな」と掘り返すのがいい、と。雑誌は買った瞬間はそれなりに価値があるけど、数ヶ月経つとゴミになってしまう、でも10年後には宝になるという面白さがある、と。自分の興味以外の部分に目を向けるきっかけになると。


コンテンツそのものではなく、コンテキストやコミュニティに価値がある


マガジン航[kɔː]は、ドットブックのボイジャーにスポンサーになってもらっているけど、お金だけ出してもらってあとは自由にやらせてもらっているそうです。月に数回というのんびりしたペースで更新しているためアクセスは少ないし、システムもWordPressを使ってやっててそんなに難しいわけじゃないけど、読んでくれる人は数万人規模でいて、結構IT企業の人も気にしてくれていると。

だから、メディアを立ち上げるのはシンプルで構わないし、いっしょに同じ問題を考えてくれる読者・書いてくれる人のコミュニティにこそ価値がある、と思うようになったそうです。どんなコンテンツがアクセスが多いか出してみないとわからないし、ウェブは情報が流れていってしまうから、発見されづらい(ディスカバビリティー)という問題もあるから、今度はそれをどうストックに変えていったらいいかというような話をよく考えるそうです。


紙の本のこれから


紙の本は減るけど、なくなることはないと思うと仲俣さん。つまらない本があるから素晴らしい本が輝くのであって、素晴らしい本しか出ないというのも何かつまらない。ウェブが好き、紙の本が好きだけど、両方の特徴を備えた"電子書籍"はまだ過渡期だよね、と。

その時々で読者に届く手段を用いればいい、と。江口さんはいまネット選挙の本を書いているそうですが、参院選(7月)までに紙の書籍で発行するのは無理なので、電子書籍という手段を選んだそうです。ストックとフローという観点もあって、フローの情報を紙でやろうとすることには無理があるけど、保存性・保管性という役割は紙の方が優れている。アメリカであればペーパーバック、日本なら文庫本がみんな電子書籍になるのではないか、とのこと。


人が出会う場所であること


ソーシャルネットワークがなかった時代は、出版社がセキュリティ的にも非常におおらかで、著者には変な人が多いから変な人でも自由に入り込めてしまう場所だったそうです。フリーランスの人が勝手に入り込んで、編集者としゃべって、そこから企画が生まれたりということがあったとのこと。なにそのおもしろ空間。いまは盗難とかいろいろあったせいで、社員証ないと入れなくなってしまったそうですが。

EDITORYがそういう役割が担える場所として、機能するといいですね。顔を合わせて話をすると、文字だけでは伝わらない情報が伝わります。非言語手段のコミュニケーションの方が、割合としては大きいそうですからね。

アフォーダンス(環境に埋め込まれた情報)という言葉、知らなかった。

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