2012年8月8日水曜日

パブーが手数料30%だったのが急に60%を要求してきたという話の不可解な点


昨晩、佐々木俊尚さんが急にパブーを口撃し始めました。



パブーと佐々木俊尚さんは蜜月関係だと思っていたのに、いったいどうしたというのでしょう?



!?

びっくりしました。そりゃ怒るだろ、と。

で、冷静になって考えてみると、なんだかいろいろ不可解なのです。そのことについて、簡単にまとめておきます。




ライバル不在?


パブーのような、セルフパブリッシングの支援をサービスとして提供している企業は他にもいくつもあります。どこか1社が独占しているわけではなく、はっきりいって乱立しています。


これ以外にも、一時期話題になっていたGumroadや、PayPalといった、手数料がもっと安い方法もあります。逆に、国内で手数料率が30%以上というのはまぐまぐの有料メルマガが50%くらいでしょうか。

これだけいろんな手段があって、パブーがセルフパブリッシング市場を独占しているわけではないのに、どうして急に60%なんていう手数料にして納得させられるというのでしょう?普通に考えたら、あり得ない判断ですよね。

ちなみに、ボクもパブーで著書を販売していますが、いまのところ手数料率がアップするというお知らせは届いていません。他でも聞いたことがないので、恐らく現時点では佐々木俊尚さんにだけ話がきているのでしょう。


セルフサービスのはず?


そうなると、なぜ急に60%なんてことを言いだしたのか、理由が気になります。



うーん、手厳しい。実際ボクも、電子書籍を出して1週間ほどピックアップに掲載されていましたが、買ってくれたのは大半がボクがGoogle+などで告知をしたことに拠るもので、パブーのストアパワーというのはあまり期待できるものではないのが現状だと思います。その辺りの詳細はこちらのエントリーに。


だからボクも、「もっとパブーが『売る』ことに力を入れてくれないと、手数料率30%というのは辛いなぁ」と感じていました。ちなみに、パブーのトップページには、佐々木俊尚さんの著書のバナーが2枚も貼られています。「いいなあ……」と羨ましく思いますが、普通に考えたら広告宣伝費が別途かかるでしょう。もしかかっていないなら、佐々木俊尚さんがパブーの宣伝をするといったバーター取り引きがあるのでしょうね。


※「中抜き」ではなく「中間搾取」だと後ほど訂正ツイートが入りました。

ちょっとこの辺りは佐々木俊尚さんによる意訳が入っているので、文字通り受け止めることはできませんが、パブー側が何を主張しているかはなんとなく想像がつきます。



パブーは基本的にセルフサービスです。上記のエントリーや、マニュアルを読んで頂くとわかると思いますが、本来、パブーが何か手作業をすることは無いはずです。つまり、恐らく佐々木俊尚さんはWordか何かで書いた文章をパブーに渡し、後工程は全て任せていたのではないでしょうか。そうでなければ、人件費が別途かかるようなことはないはずです。


後工程には価値がない?


ではもし仮に、佐々木俊尚さんが原稿ベタ打ちのテキストファイルをパブーに送って、後工程を全て任せていたとしたら、+30%は妥当でしょうか?


※「中抜き」ではなく「中間搾取」だと後ほど訂正ツイートが入りました。

ほんとうに何の価値もない工程なら、お金を払う必要はないでしょう。ではこのケースはどうか?というと「+30%は妥当ではない」が、少なくとも「無価値ではない」と思います。印税率を減らす形ではなく、一定額を要求するのであれば、納得してもらえたかもしれません。

東京国際ブックフェアのシンポジウム「電子書籍時代に出版社は必要か?」で、コーディネーターの福井健策さんが「出版社は何の役に立つのか」という資料をプロジェクターに映していました。

出版社の機能論:
理念上は
作家を発掘し育成する「発掘・育成機能」
作品の創作をサポートし、時にリードする「企画・編集機能」
文学賞や雑誌媒体に代表される信頼により世に紹介・推奨する「ブランド機能」
宣伝し、各種販路を通じて展開する「プロモーション・マーケティング機能」
作品の二次展開において窓口や代理を務める「マネジメント・窓口機能」
上記の初期コストと失敗リスクを負担する「投資・金融機能」

もう少し細かく分解すると、編集・校正・表紙デザインなどの装丁・配信データへの変換・プロモーション・盗賊版対策などなど、これらの機能を全部自前でできるなら、決済機能だけPayPalを使って直接ユーザーに販売するのが一番安上がりです。

でも、何もかも全て自前でできるスーパーマンなんて、ごく一部だと思うんです。結局のところ、どこまでの機能を対価を払い他人に任せるか、自前でやるかというバランスの問題だと思うのです。



ちなみにKindleの場合、30%の手数料とは別にDelivery Costs(通信費)がかかるので、実質は50%くらいです。それでもKindle Storeに任せて納得できるくらい「売れる」ならいいですし、納得できないなら他の手段を使えばいい話です。


ボクも、ほんとうにパブーの手数料率が60%になるなら、他のサービスへ移転します。ウェブ上でEPUB変換できるforkNwookかな? 代替手段はたくさんあります。

しかし、古い話を掘り返して恐縮ですが……



こうやって持ち上げていたGumroadではなく、PayPalをプッシュするんですね。Gumroadには別途PayPal手数料がかかることを当時は見落としていたんでしょうか?この辺りもちょっと不可解でした。

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