2012年7月30日月曜日

電子書籍ストアレビュー「BOOK☆WALKER」

今回は、何度も言及してきた「BOOK☆WALKER」をレビューします。他のストアと同じ観点でのレビューは、まだやっていなかったんですよね。



BOOK☆WALKERは、株式会社角川グループホールディングスの100%子会社である株式会社ブックウォーカーが運営する電子書籍ストアです。要するに出版社自身が直販をしているわけです。設立は2005年12月1日です。



ボクの中では、まず「総合ストア」を優先的にレビューをする、という思いがありました。だから、出版社の直販ストアであるBOOK☆WALKERのレビューは、これまで後回しにしてきました。

しかし……


新たに作品を配信予定の出版社は、一迅社、ジー・ビー、小学館、スクウェア・エニックス、ストレン、創芸社、ティー・オーエンタテインメント、手塚プロダクション、NEO、ハーレクイン、バンダイビジュアル、PHP研究所、ワニブックスの13社となる。

これで、昨年末から配信開始していたソフトバンククリエイティブと合わせ、14社のコンテンツが近い将来BOOK☆WALKERに並ぶことになります。「出版社の直販ストア」であるのと同時に「総合ストア」でもあるという状態になっていくわけですね。これはそろそろレビューしなければ。



レビューは今までどおりこちらのエントリーの


・ラインナップが充実していること
・読みたい本を簡単に探せること
・簡単に買えること
・いつでもどこでも簡単に読めること
・いつまでも保管できること

という5つの要素に基づいて行わせて頂きます。

※このレビューは投稿時点でのサービス内容に基づいています。

ラインナップは充実しているか?


総数が記載されていないので、ジャンル別で検索して合計してみました。「本棚デザイン」まで合わせて6,662件あります(※7月30日朝の時点)。

ジャンル件数(巻)
ライトノベル1,895
コミック2,152
文芸955
新書361
実用書665
画集18
ゲーム/攻略本142
ケータイ小説332
本棚デザイン142

ライトノベル・コミック・ゲームなど、サブカルチャーが強いのが特徴です。レーベル別の件数もカウントしましたが、TABLEにするのが非常に面倒なので、GoogleDriveのスプレッドシートで一般公開にしておきます。提携発表したばかりの出版社作品も、既にいくつか登録されています。

特筆事項としては、ライトノベルで最も冊数が多いレーベルが富士見ファンタジア文庫の626冊はいいとして、2番目が昨年末にリクルートから買収したメディアファクトリーのMF文庫Jで305冊、3番目がソフトバンククリエイティブのGA文庫で216冊という点です。おいおい角川レーベル。

ただ、電撃文庫は「本格参戦!」からまだ日が浅いのですが、短期間で94冊まで増えているので今後に期待です。


読みたい本を簡単に探せるか?


ウェブ版トップページの画面レイアウトは、上部に「~館」という形のジャンル分けタブ、左カラムにカテゴリ・レーベル・著者別、右カラムにお知らせ・ランキング、真ん中に各レーベルからのお知らせと、新着や人気作品の一覧という形になっています。


「ライトノベル館」「コミック館」「文芸館」「新書・雑誌・実用書館」「ゲーム館」「ガールズ館」は、基本的にはレーベルをカテゴリ別に分類し、それぞれにトップページを設けたものです。左カラムに「話題のシリーズ」というメニューや、中央に「特集」「イチオシ!」「人気作品」といったメニューがあります。なお、「ガールズ館」はカテゴリ関係なく、女性向けジャンルだけを集めた場所になっています。


「人気作品」からは、シリーズをまとめてカートに入れられるようになっています。


検索は、タイトルだけではなく、カテゴリ・レーベル・発行元・著者名・イラスト・キャラクター原案や、作品情報も検索に含めることができます。ただちょっと残念なのが、作品によってはデータの登録が甘くて、例えばイラストレーターの「いとうのいぢ」さんで検索しても、コミックのキャラクター原案では登録されていても、ライトノベルのイラストに一部しか登録が無いといった状態になっています。また、サジェスト機能にも未対応です。


検索結果は「人気順」「リリース順」「タイトル順」でソートできます。


「詳細表示」では1画面の表示数を20件or40件に、「簡易表示」では30件or90件に切り替えられます。これはBOOK☆WALKERに限った話ではありませんが、マウスホイールで縦方向には簡単にスクロールできるので、「1ページの表示件数」という概念というのは単にシステム上の都合(表示件数が多いと重くなる)ではないかな……?と思うのですが。

下図は30件の簡易表示です。TwitterやGoogle+などの、縦にスクロールしていけば続きが自動で読み込まれて表示されるというインターフェースに慣れてしまうと、いちいち「次へ」を押さなければならない画面構成をちょっと苦痛に感じてしまうのです。これ、ボクだけでしょうか?


一覧表示をした時に、カテゴリがアイコンで表示されているのは非常に判りやすいです。他のストアだと、ライトノベルとコミックが混在してしまい見分けが付かない状態になっている所も多いですからね。

ただ、この状態からカテゴリでソートかフィルタリングができたら、もっといいのにな……と思います。検索キーワードに直接「コミック」や「ライトノベル」と入力すれば絞り込めるのですけどね。

詳細画面ではサンプルや関連商品を見ることができます。Twitter・Facebookへの投稿にも対応しています。もはやお約束ですが、Google+1にも対応して下さいお願いします……。


[追記] 2012年9月4日に気がついたのですが、PinterestやGoogle+1ボタンに対応しました。これは嬉しい。

しかし、この詳細画面でシリーズまとめ買いに対応していないのは、なんだかもったいない気がしますね。クリック履歴からのリコメンドや、「この本を買った人は」などのリコメンドに対応していてもいいのではないかと思います。

なお、モバイル端末向けにはiOSアプリとAndroidアプリが用意されており、ともにアプリからの購入にも対応しています。


上図はiPadでストアを開いた画面、下図はAndroidでストアを開いた画面です。



簡単に買えるか?


未ログイン状態からカートに入れようとすると、ログインを促されます。これはウェブからでも、モバイルアプリのストアからでも同じです。


会員登録のために入力が必要な項目はかなり少なく、メールアドレス・パスワード・性別・生年月日と、お知らせメールを希望するかどうか、利用規約に同意だけです。


公式で会員登録方法の案内動画も用意しています。親切。



ウェブからの購入は、ログイン済みであればカートに入れた後に[レジに進む]をクリックで……


初めての購入時は、決済方法の入力になります。


クレジットカードだけではなくWebMoneyにも対応しているので、クレジットカードを持っていない・持てない人でも購入できます(ウェブ・Android共通)。

iOSからの購入は、AppleIDによるアプリ内課金に対応しています。


[購入する]をタップすると、AppleIDのパスワード入力画面になります。


いつでもどこでも簡単に読めるか?


アプリはiOS3.2以降のiPhone・iPod touch・iPadと、Android2.1以降に対応しています。「よくある質問」には、「同一アカウントであっても、共有できる機器の台数には上限があります。」と記載されていますが、何台までできるかは不明です。使わなくなった機器の共有認証解除方法も不明です。もしかしたら、台数制限そのものが実は存在しないのかも……?

また、本棚の名称や書籍の並び順、本棚デザインの適用状況、何ページめまで読んだか?といった情報は端末固有で、異なる端末間で共有はされません。

BOOK☆WALKERのウェブサイトからは、サンプルを見たり購入はできても、購入した電子書籍を読むことはできません。ただ、実はニコニコ静画(電子書籍)と連携することで、ウェブブラウザから閲覧可能です。


これ、凄く良いことなのに、BOOK☆WALKERの「初めてのお客様へ」や「よくある質問」には記載されていないんですよね。もっとアピールしてもいいと思います。


なお、ニコニコ特有の機能である「コメント」は、任意で非表示にできます。

[追記]よくある質問」の一番下【BOOK☆WALKER Webストア】のところに、ニコニコ静画(電子書籍)で閲覧できる旨が記載されました。こうやって投げたボールがちゃんと返ってくると嬉しいですね。


いつまでも保管できるか?


ログインIDの購入履歴から、いつでも再ダウンロードできます。再ダウンロード期限もありません。ストアが存続する限り、失われる心配はありません。

なお、昨年末に角川傘下に入ったメディアファクトリーは、iOSで「MFラノベ・コミック」というアプリを提供しており、BOOK☆WALKERとは別に、ライトノベル・コミックをアプリ内課金の形で販売しています。


「MFラノベ・コミック」で購入した電子書籍は今のところ「MFラノベ・コミック」でしか読むことができないのですが、年内には「本棚同期」という形で、BOOK☆WALKERと融合していく形になるようです。


どのストアで購入した電子書籍も、共通の本棚で管理できるようになるといいんですけどね……。



結論


ライトノベルやそのコミカライズ作品などを電子書籍で読むなら、このストアは外せません。冒頭に触れた提携により、近日中にガガガ文庫(小学館)・一迅社文庫(一迅社)・ガンガン(スクウェア・エニックス)辺りが追加でラインナップされます。

無いのは、主要なところではスーパーダッシュ文庫(集英社)・講談社ラノベ文庫(講談社)・HJ文庫(ホビージャパン)・このライトノベルがすごい!文庫(宝島社)辺りでしょうか。角川と仲が悪い講談社・集英社は、恐らく無理でしょうね……。



ここから少し余談です。

他の出版社がBOOK☆WALKERにコンテンツ提供するようになった理由として、単純に販売力に魅力を感じたということなのかな?とボクは思っていたのですが、IR情報を調べていたら実際のところどうなのか判らなくなってしまいました。


ネット・デジタル関連では、出版作品から生み出されたコンテンツをゲームソフトや電子書籍で展開し、特に、配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」は、積極的なコンテンツ投入、新規ジャンルの販売、ニコニコ動画、GREEとの連携によりユーザー数と販売数を伸ばし、前期比43.4%増加しております。

売上が伸びていることは確かですが、調べた限りではBOOK☆WALKER単独での売上"額"が判らないので「前期比43.4%増加」という伸び率は大きくても、もしかしたら差額は小さいかもしれないからです。ましてや、前期はBOOK☆WALKERが始まったばかりのタイミングですからね。

また、角川グループの電子書籍はBOOK☆WALKERで独占配信していたのですが、2012年に入ってから戦略を大きく転換し、他ストアにもコンテンツを提供するようになりました。


これはソニーに限った話ではなく、紀伊國屋書店BookWebやBookLive!など、他の電子書籍ストアにもほぼ同時に展開しています。提供を受けた電子書籍ストアは、それまで売りたくても売れなかった魅力的なコンテンツを手に入れたわけです。特に主要ライトノベルのレーベルは、大半が角川傘下ですからね。他の電子書籍ストアにBOOK☆WALKER経由で卸しているとしたら、2012年3月期の売上にも寄与していることになります。

逆に言うと、BOOK☆WALKERは「ここじゃないと買えない」という強みを失ってしまったので、他の出版社のコンテンツも販売して「総合ストア化」しなければ、既に総合ストアとして運営している他ストアとの競争に負けてしまいかねないわけです。角川グループはコンテンツメーカーとしての立場ですが、BOOK☆WALKERは小売店の立場ですからね。

ただ、つい先日夏アニメの電子書籍販売状況を調べたのですが、他のストアでは配信時期がBOOK☆WALKERより遅いといった形で差別化を図ろうとしているようです。


正直これは、微妙な駆け引きです。消費者置いてけぼりなのは間違いありません。ただ、そうしなければ自分たちの立場が危ういという状況も、理解はできます。納得はできませんけど。


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