2012年6月21日木曜日

違法ダウンロード刑事罰化が決定したので、自分の身を守るためにどうすればいいか把握しておこう


(※写真:写真素材 足成より)

昨日とうとう、違法ダウンロード刑事罰化の著作権法改正案が、参議院本会議を賛成多数で可決されてしまいました。


※ 毎日新聞・東京新聞の記事は見つかりませんでした。


この件に関しては、ボクは反対の立場からエントリーを書いたり、選挙区の国会議員に陳情書を送ったり、いろんなことをやってきました。が、こうなってしまったら「悪法もまた法なり」なので、従うしかありません。

[参考]

衆議院を通過して参議院の審議が始まってから修正条文が公開されるという「なんだそりゃ?」状態だったわけですが、これでようやく仮定に基づいた話ではなく、実際のところどうなのか?という話ができるようになりました。以下で検証してみます。



結論から言えば、著作権法第30条1項3号に手は加えず罰則が付いただけという仮定は正しかったので、留保付きで書いたエントリーを修正する必要は今のところ無いようです。

下記が「違法ダウンロード刑事罰化」著作権法119条3項の条文です。

第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

詳しい解説は法律の専門家にお任せしたいのですが、いろいろ解釈ができてしまうツッコミどころの多い条文なので、専門家でも困っているようです。


じゃあボクたち一般ユーザーは、何を基準に判断すればいいでしょう?


著作権法は親告罪です

※著作者名を偽って販売した場合など、例外的に非親告罪になっている条項もあります。詳細はこちらをご参照下さい。

ここが最もシンプルな判断基準です。著作権者が「これは著作権侵害だ!」と警察に届けるところが出発点なのです。要するに、自分がもし著作権者の立場だったら?と考えると判りやすいと思います。

例えば、もし著作権者がこんなファイルをネットで見つけたら、激怒しますよね。

  • 発売直後のCDアルバムがまるごとアップロードされている
  • 発売直後のDVD作品がまるごとアップロードされている

著作権者の立場で考えてみましょう。発売直後という一番売れて欲しいタイミングで、無料で見聞きできてしまう状態になっているわけです。これは誰でも怒ります。初回限定版だけに付いている映像特典なんかも危ないですね。

逆に言えば、著作権者が「いいよ!」と言ってるなら合法です。


他にもいくつかポイントがあります。


対象は「有償著作物」です


「有償」の解釈が何通りもできてしまうので法律の専門家は困るでしょうけど、著作権者の立場で考えてみれば、公式が無料で配信しているファイルで罪に問うことはない、という推測ができます。


対象は「録音」「録画」データです


「画像」や「文字」は対象ではありません。ゲームプログラムは「映画」や「音楽」の著作物として認められた判例がありますので、対象に含まれると考えた方が自然でしょう。


対象は「自動公衆送信」からの受信行為です


つまり、CD-ROMやUSBメモリでデータを貰った場合や、メールで添付されて送られてきた場合は、対象にはならないということです。違法ファイルを無差別に送りつけても、自分が逮捕されることはあっても、相手を逮捕させることはできません。


対象は著作権侵害だという「事実を知りながら」行った場合です


どう考えても「事実を知りながら」を証明するのは難しいと思うのですが、例えば違法ファイルの巣窟である場所として有名なWinnyやShareを使ってダウンロードしていた場合、「知らなかった」と強弁するのは難しいでしょう。

また逆に、ニコニコ動画やYouTubeはJASRACなどの著作権管理団体と楽曲使用許諾契約を結んでいるので、音楽に関しては「基本的に合法な場所」として認知されています。「違法ファイルとは知らなかった」という言い分は通りやすいように思われます。


改正前に遡って適用されることはありません


法律には不遡及原則というのがあります。日本の場合、憲法第39条に定められています。

ネットからファイルを落とさないから「自分は平気だ」なんて思って高をくくっていたら、とんでもないことになるかもしれない。長期に渡って同一PCを使っていたなら、今回の改正で違法とされるファイルの1つや2つはあるかもしれない。それらが数多あるフォルダの中にうずもれてしまった場合、PCを押収され検索されれば、出てくるわけで、忘れていたファイルのために「クロ」判定されて強引に有罪に持ち込まれる可能性だってある。警察庁も恣意的な運用はしないと言ってはいるが、将来的にどうなるかは未知数だ。

だから、このようなエントリーが流れていて心配していた方がいますが、罪に問われるのは10月1日の施行後の行為です。もしそれ以前の著作権侵害ファイルがパソコンに保存されていたとしても、罪に問われることはありません。

ただ、アップロードは全く別問題です。アップロードしたまま削除をしなければ、「自動公衆送信」行為をし続けていることになるからです。

最後に、おすすめの本です。

著作権とは何か ―文化と創造のゆくえ (集英社新書)
福井 健策
集英社
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知財専門の福井健策弁護士による著書です。新書なので安価でページ数も少なく、平易な文体で書かれているので判りやすいと思います。自分の身を守るためには、勉強も必要です。

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